【マンション売却のベストタイミング】高く売るための時期と注意点

マンションの売却を検討している方は、「いつ売るのが一番高く売れるのか」「ベストなタイミングはいつか」という部分でお悩みではないでしょうか。
同じ物件でも、市場の動向や周辺環境の変化によって売却価格に差が出ることがあるため、慎重に検討することが重要です。
本記事では、マンションを少しでも高く売るためのベストタイミングについて解説していきます。また、マンション売却の際に気を付けることや、売却時期と税負担額の関係についても詳しく解説しています。
マンションのベストな売却時期を知りたい方に役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を監修した人

岩冨 良二
後楽不動産 売買事業部 係長
不動産業界歴26年のベテランで、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格を持つエキスパート。豊富な知識と実績でお客様から厚い信頼を得ており、売買事業部のエースとして活躍中。複雑な取引もスムーズにサポートし、最適な提案を行う頼れるプロフェッショナルでありながら、社内のムードメーカーとしても周囲を明るくする存在。
マンションの売却時期を考えるために知っておきたい市場の動向

中古マンションの価格が上昇している背景を知ることで、売却のタイミングを判断する参考になります。本章では、近年の中古マンション価格上昇に影響を与えている主な要因を3つ紹介します。
新築マンション価格の上昇
2025年1月に不動産経済研究所がまとめたところによると、東京23区内の新築マンション価格の平均は1億1,181万円で、2年連続1億円を超える高値継続となっています。住宅市場全体の供給不足や、建築資材費と人件費の高騰などが高値の要因とされていますが、建設コストは今後もさらに増加する予想で、高値は続くとみられています。
こうした新築マンションの価格高騰により、新築を購入するのが難しい人が中古マンションを買い求める傾向が見られ、中古マンション価格が上昇している要因のひとつとなっています。
参考:首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年のまとめ(株式会社不動産経済研究所)
リモートワークの普及
リモートワークの普及で通勤距離を気にせずに勤務できるようになり、都心から離れたエリアでの中古マンションの需要が増えました。都市部から離れているとはいえ、首都圏近郊の主要駅周辺は商業施設も充実しており、静かな環境と利便性を両立できます。
都心エリアのマンションでは手の届かない広い間取りは、自宅で過ごす時間が多いリモートワーカーにとって大きな魅力だと言えるでしょう。
外国人の不動産購入ブーム
外国人投資家による不動産購入が増えていることも、中古マンション価格が上昇している理由のひとつと考えられます。都心部の高級マンションが特に人気が高く高値で取引されるため、それにつられる形で周辺のマンション相場も上がっています。
さらに、多様な文化を発信する東京の魅力や、日本の安定した政治経済状況も外国人投資家にとって魅力的なようです。投資先としての信頼性が高く、多くの外国人投資家が長期的な視点で不動産を購入していることから需要が増加し、価格上昇が続いています。
マンションの売却のベストタイミングはいつ?

マンションの売却を考える際には、以下のタイミングを狙うとよいでしょう。
築5年、10年、15年の区切りの時
マンション購入の際にもっとも考慮される要素が築年数です。築年数が浅い物件ほど人気が高く、古くなるほど売れにくくなる傾向があります。
築5年までは新築に近い状態のため、新築時の価格から大きく下げずに売却できる可能性が高いでしょう。築10年のマンションは、価格は築5年の時点より下げなくてはなりませんが、割安感がありながらも設備や内装はきれいな状態が多いため、中古市場で人気があります。
築15年になると資産価値の下げ止まり時期となり、価格の下落幅はゆるやかになります。売却のベストタイミングは売り手の状況によっても異なるものの、これらの築年数によるマンションの価格や特徴も、売却時期の目安にしてみてください。
大規模修繕工事後
マンションの大規模修繕工事は、12年~15年周期で行われるケースが一般的です。このタイミングで売却を検討すると、建物の外観や設備が整い、買い手に良い印象を与えやすくなります。
特に修繕工事完了直後は、外観がきれいになり、設備のメンテナンスが行き届いているため、購入を検討する人にとって魅力が増す要素となります。また、外壁や共用部分の修繕が行われることで、建物の耐久性が向上し、管理状態の良さがアピールしやすくなるでしょう。
ただし、売却価格が必ずしも上がるとは限らないため、周辺の相場や市場の需要を考慮しながら売却計画を立てることが重要です。
周辺環境に変化があった時
駅周辺の再開発や、新駅や大規模商業施設の開業などがあった場合、その周辺エリアは不動産価値が上昇します。こうした変化のタイミングは、マンションを高く売却できるチャンスと言えます。
自宅マンションの売却を検討中ならば、自治体の広報誌やニュースリリース、新聞や不動産関連のニュースサイトなどをチェックして、周辺環境の動向を把握しておきましょう。
2月~3月の不動産取引が増える時
一般的に不動産市場は2月~3月が一年で最も取引が増える時期です。新年度に向けて就職や転職・進学で引越しする人が多く、賃貸物件を中心に取引が活発になります。
売買物件も、4月からの入居を希望する買い手が2月頃にピークとなります。この時期に売却に出すと他の時期よりも早く売れる可能性は高いでしょう。
生活に変化があった時
引っ越しや転職・家族構成の変化など、自身や家族の生活に大きな変化があった際には、タイミングを逃さずに売却を検討しましょう。家族が増えた時や減った時、転職や退職のタイミングなど、ライフスタイルの変化によって住み替えを検討することがあります。
ライフスタイルに合わない住まいに住み続けていると、住居費用に無駄が出たり通勤時間が長すぎてストレスを感じたりという問題が出てきます。ライフステージに応じた住居選びが重要です。
住宅ローン金利が下がっている時
住宅ローンの金利が下がっている時は、買い手にとって有利であるため、不動産の需要が高まります。こうしたタイミングで売却できると、高値での売却が期待できるでしょう。
普段から金利の動向をチェックしておき、タイミングを見て売却を進めることが重要です。日本銀行の公式サイトでは、政策金利や金融政策に関する最新情報を確認できます。
他にも、各金融機関の公式サイトでも短期金利や長期金利の情報を発信していますので、チェックしておくとよいでしょう。
マンション売却タイミングと税金の関係

売却タイミングによって税金の負担が異なることを理解しておきましょう。売却益に対する課税や控除の適用範囲が変わるため、計画的に売却活動を行わないと損することになりかねません。
本章では、知っておきたいマンション売却タイミングと税金の関係について解説します。
「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」
マンションを売却した際の利益には、譲渡所得税がかかります。所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」として課税され、税率は39%です。
一方、5年を超えて所有していた場合は「長期譲渡所得」として扱われ、税率が大幅に下がります。所有期間5年前後で売却する場合は、5年を超えてから売却すると税率がお得になるので意識しておきましょう。
項目 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 |
---|---|---|
所有期間 | 5年以下 | 5年超 |
課税対象 | 不動産を売却した際の所得 | 不動産を売却した際の所得 |
税率(所得税) | 30% | 15% |
税率(住民税) | 9% | 5% |
合計税率 | 39% | 20% |
控除 | 3,000万円特別控除の適用はあり | 3,000万円特別控除の適用はあり |
適用条件 | 譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下 | 譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年超 |
「3,000万円特別控除」を活用しよう
マイホームを売却した際に、一定の条件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例を、通称「3,000万円特別控除」と呼んでいます。
- 売却する物件が現に自分が住んでいる家屋、または以前に住んでいた家屋であること
- 住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売却したものでないこと
- 売却年の前年および前々年にこの特例や他の特例の適用を受けていないこと
例えば、自宅マンションを売却し譲渡所得が4,000万円発生した場合、この特例を適用することで課税対象となる譲渡所得は1,000万円となります。なお、3,000万円特別控除を適用するには、確定申告が必要です。
マンション売却のタイミングで注意しておくこと

マンションを売却するタイミングに関して、知っておいてほしいことや注意点をまとめました。マンション売却の際になるべく損することがないように、これらの注意点を確認しておきましょう。
築25年過ぎると売却しにくい
築25年以上のマンションは、老朽化や維持管理費用の増加などが懸念されるため、売却の難易度が高くなるケースもあります。しかし、管理状態が良好であれば一定の需要があり、リノベーション目的で購入を検討する買い手も増えています。
また、築年数が経過したマンションでは、水回り(キッチンや浴室)などの設備の劣化が進んでいることが多いため、リフォームが必要になる場合もあります。リフォームを行うかどうかは、物件の状態や市場のニーズ、売却価格とのバランスを考慮して判断するとよいでしょう。
売却を検討する際には、周辺の相場やマンションの管理状況を確認し、不動産会社やリフォーム会社に相談することで、適切な売却戦略を立てることが重要です。
周辺の不動産相場を知っておく
マンションの売却を検討しているならば、周辺の似た価格帯のマンションの相場を把握しておきましょう。相場を知っておくことで適正な価格設定ができ、売却の機会が増えるでしょう。
相場よりも高い価格を設定すると売却までに時間がかかってしまいますし、その間にもマンションの資産価値は下がり続けることになります。逆に相場より安い価格を設定すると売却はスムーズにいくかもしれませんが、得られたはずの利益を逃すことになってしまうので注意しましょう。
経済状況の変化にも注目する
不動産市場は、経済状況の変化にも影響を受けます。景気が良い時期には不動産の需要が高まり、価格も上昇しやすくなります。
一方景気が悪化すると不動産需要も減少し、売却が難しくなるでしょう。経済指標や金利の動向をよくチェックして売却のタイミングを見極めることが重要です。
住宅ローンの残債を確認しておく
住宅ローン返済中の場合、売却前にローン残債を確認しておきましょう。残債が多いと売却利益が少なくなり、住み替え後の生活に影響が出る場合があります。
売却金額よりもローン残債が多い場合はオーバーローンとなり、不足分を自己資金や他の借入れで補ってローンを一括返済しなくてはなりません。自己資金が用意できないと、任意売却となり売却後もローンの残債を分割で支払っていくことになるので、慎重に検討しましょう。
項目 | オーバーローン | アンダーローン |
---|---|---|
定義 | 売却価格よりもローン残債が多い状況 | 売却価格よりもローン残債が少ない状況 |
売却後の対応 | 自己資金や他の借入れで不足分を補う必要がある | 売却価格でローン残債を完済し、残りは売却益となる |
任意売却の可能性 | 高い(金融機関との交渉が必要) | 低い(基本的には不要) |
信用情報への影響 | 任意売却や自己破産の場合、信用情報に影響が出る可能性あり | 特に影響なし |
不動産の評価 | 市場価値がローン残債を下回る | 市場価値がローン残債を上回る |
返済の負担 | 売却後もローン返済の負担が残ることがある | ローン完済後、返済負担なし |
最適なタイミングで迷ったら不動産会社に相談
マンションの売却タイミングについて迷ったら、信頼できる不動産会社を見つけて相談しましょう。不動産の専門家による、市場の動向や周辺の相場を考慮したアドバイスを受けることで、より最適なタイミングで売却できるでしょう。
売却を依頼する不動産会社が、中古マンションの売却に強いかどうかも確認しておいた方がよいポイントです。中古マンションの売買実績が豊富にあり、口コミや評判の良い不動産会社がおすすめです。
適切なタイミングを選んで、高値でのマンション売却を目指そう
本記事では、マンション売却のベストタイミングについて詳しく解説しました。マンションの売却タイミングには、様々な要素が関わってきます。
中でも築年数は最も重要な要素で、築年数が浅いほど売却価格は高くなり、築25年を過ぎると売却そのものが難しくなってしまいます。マンションの売り時である5年、10年、15年の節目を意識しつつ、ライフステージの変化を予想しながら売却計画を立てていきましょう。
金利の動向や経済の状況、周辺環境の変化など、マンション売却を考えているならば意識しておきたいことは多岐にわたります。マンション売却の最適な時期を確実に把握するためには、信頼できる不動産会社のサポートが必要不可欠です。
ベストタイミングでの売却を実現するために、実績がある不動産会社と協力して満足のいく結果を目指しましょう。