瑕疵物件の売却は難しい? 知っておきたい売却のコツや方法を解説

瑕疵物件の売却は難しい? 知っておきたい売却のコツや方法を解説

見た目は普通の物件でも、過去のトラブルや法律上の問題などにより「売りづらい」とされる不動産があります。いわゆる「瑕疵物件」と呼ばれるものです。

こうした物件は一般的な物件と比べて敬遠されやすく、売却には工夫が必要です。しかし、売却のハードルが高いからといって、必ずしも売れないわけではありません。状況に合った方法を選ぶことで、納得のいく形で売却を進めることも可能です。

本記事では、瑕疵物件の種類や売却時の告知義務具体的な売却方法、さらに売却を成功させるためのポイントまで、わかりやすく解説していきます。

「どうすればスムーズに売却できるのか」「どこまで情報を開示すればいいのか」といった不安をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した人

売買事業部岩富係長

岩冨 良二

後楽不動産 売買事業部 係長

不動産業界歴26年のベテランで、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格を持つエキスパート。豊富な知識と実績でお客様から厚い信頼を得ており、売買事業部のエースとして活躍中。複雑な取引もスムーズにサポートし、最適な提案を行う頼れるプロフェッショナルでありながら、社内のムードメーカーとしても周囲を明るくする存在。

目次

そもそも瑕疵物件とは?

瑕疵物件とは物理的・法的・環境的・心理的な欠陥がある物件のことを指します。これらの瑕疵があると、市場価値が下がったり売却が難しくなったりすることがあります。

物理的瑕疵物件

例:雨漏り、シロアリ被害、壁や屋根の損壊、配管の故障など

構造の欠陥や設備の不具合が原因の瑕疵がある物件を、物理的瑕疵物件と呼びます。これらの瑕疵は、建物の安全性や機能に直接影響を与えるため、売却時に買主へ告知義務があります

修繕して売却するか、そのままの状態で相場より低い価格で売却するかのどちらかが一般的な売却方法です。

法的瑕疵物件

例:違法建築、建築基準法違反、境界問題、共有名義のトラブルなど

法律上の問題が原因で価値が低下した物件が法的瑕疵物件です。所有権や利用権に影響を及ぼすため、売却時に買主へトラブル内容を告知しなくてはなりません

法的瑕疵物件の売却方法は、弁護士や司法書士などの専門家に助言を受けて問題解決後に売却するか、瑕疵を明らかにした上でそのまま売却する方法が選ばれます。

環境的瑕疵物件

例:騒音や悪臭、近隣トラブルなど

騒音や悪臭、近隣トラブルなど、周辺環境が原因で物件の価値が下がってしまう場合、その物件は「環境的瑕疵物件」に該当します。たとえば、幹線道路や鉄道の近くにあり日常的に騒音が発生する物件、あるいは工場や下水処理場が近隣にあり、季節や風向きによって悪臭が漂うような物件がこれに当たります。

こうした周辺環境は売主側で改善が難しいケースが多いため、売却の際には価格を相場よりも下げる、あるいは立地条件に価値を見出す特定の買い手層を意識して販売戦略を練るなど、柔軟な対応が求められます。

心理的瑕疵物件

例:物件内での死亡事故や事件、孤独死、周辺での事件や事故など

買主に心理的な抵抗を与える可能性があるような事故や事件などが起きた物件が、心理的瑕疵物件と呼ばれます。売却物件だけでなく、隣接する物件での事件や心霊スポットといった噂が影響する場合も含まれます。

売却には告知義務が発生する場合があり、買主へ伝える際も慎重に行うことが必要です。告知を怠ると契約解除や損害賠償のリスクがあるため、取引の際には専門家の助言を受けながら適切に情報を公開するようにしましょう。

瑕疵物件を売却する際の告知義務

瑕疵物件における告知義務とは、売主や不動産業者が買主に対して物件の欠陥や問題点を正確に伝える責任のことを指します。本章では、瑕疵物件を売却する際に発生することがある、告知義務について詳しく解説していきます。

告知義務の期限と内容

告知義務の対象となるのは、物理的・法的・心理的瑕疵物件です。環境的瑕疵物件については、人によって騒音や匂いに対する感じ方が違うため、告知内容や期限の明確な規定はありません。ただし、売却後に瑕疵が発覚した場合は契約不適合責任を問われる可能性があるため、売主は売却前に把握している事実をすべて不動産会社と買主に伝えておく必要があります。

心理的瑕疵物件は、賃貸の場合原則として事案発生から3年間は告知の義務があります。自殺か他殺か、事故の発生日時や場所・状況、特殊清掃の有無などが告知すべき内容です。

心理的瑕疵物件の売買契約においては、明確な期限はありませんが重要な影響がある場合は告知する必要があります。判断に迷う場合は、不動産会社に相談するようにしましょう。後述の「心理的瑕疵に関するガイドライン」の章も参考になさってください。

告知義務に違反した時のリスク

告知が正しく行われていなかったケースで、「瑕疵について知っていたなら購入しなかった」という買主も多いはずです。告知義務を怠ると、買主から契約解除や損害賠償請求、減額請求などを受ける可能性があります。特に心理的瑕疵を隠した場合、売却後に問題となるケースが多いため、正直に伝えることが重要です。

契約解除

買主が瑕疵の存在を知った場合、契約不適合責任を理由に契約解除を求めることができます。特に心理的瑕疵や法的瑕疵が隠されていた場合は契約解除となる可能性が高くなります。

損害賠償請求

告知義務違反が発覚した場合、買主は損害賠償を請求することができます。また、心理的瑕疵が原因で買主が精神的苦痛を受けたとして、慰謝料を請求されることもあります。

減額請求

瑕疵物件の告知義務違反により買主が不利益を被った場合、購入価格の一部を返還する減額請求が行われるパターンもあります。

心理的瑕疵に関するガイドライン

心理的瑕疵については、これまで告知に係る明確な判断基準がなく、現場での判断が難しいという理由から、令和3年に国土交通省による新たなガイドラインが策定されました。

告知義務の対象物件内で発生した殺人、自殺、事故死などの死亡事案
告知不要なケース自然死、日常生活での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)
告知義務の期間(賃貸)事案発生から概ね3年間は告知が必要
告知義務の期間(売買)明確な期限なし(買主の判断に重要な影響を与える場合は告知)
共用部分での死亡事案3年経過後は原則として告知不要

なお、告知不要としたケースにおいても、事件性や社会に与えた影響が特に高い(ニュースで取り上げられたなど)ケースは告知する必要があるとしています。また、事故の発覚からの期間や死因に関わらず、買主や借主から質問があった場合は告知する必要があります

参考:報道発表資料:「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました – 国土交通省

瑕疵物件を売却する方法は?

瑕疵物件の売却方法としては主に下記の3つの選択肢があります。物件の状況や売主の事情に応じて、最適な方法を選びましょう。

瑕疵物件を売却する方法
  • 瑕疵物件として売却する
  • 瑕疵を解消してから売却する
  • 更地にしてから売却する

瑕疵物件として売却する

瑕疵物件を売却する方法の1つ目は、瑕疵物件と明示した上で物件の状態はそのままに売却する方法です。瑕疵の影響を考慮して市場価格より安い売却価格を設定しなくてはなりませんが、リフォーム費用や解体費用などはかかりません。

売却価格を低めに設定しても、仲介での売却が難しい場合は、瑕疵物件専門の買取業者への売却も検討してみましょう。また、一般の買い手よりも、古い物件をリノベーションして販売したり賃貸に出したりする大家業の人向けに売り出した方が、買主がスムーズに見つかる可能性もあります。

この方法がおすすめな人

・費用をかけずに売却したい人
・安くてもいいので早く売却したい人

瑕疵を解消してから売却する

物理的瑕疵と法的瑕疵については、瑕疵を解消してから売却することも可能です。物理的瑕疵の場合は、リフォームや修繕を行い、瑕疵部分を取り除いてからの売却になります。

法的瑕疵の場合は、建ぺい率や容積率の超過、接道義務違反などの瑕疵であれば、建物の改修や一部撤去を行うことで基準を満たせる場合もあります。瑕疵の種類や状況に応じて必要な対策があるため、瑕疵の解消は専門家に相談しながら慎重に進めましょう。

この方法がおすすめな人

・なるべく高く売りたい人
・資金に余裕がある人
・瑕疵部分が軽微な物件や人気のあるエリアの物件を所有する人

更地にしてから売却する

瑕疵のある建物を取り壊して更地にすることで、物理的な瑕疵は取り除くことができます。ただし、法的瑕疵・心理的瑕疵・環境的瑕疵については、建物の解体後も土地に対して残る可能性があるため注意が必要です。

特に心理的瑕疵は、過去にその土地や建物で発生した事件や事故に起因するものであり、建物を解体したとしても事実自体が消えるわけではありません。売買契約においては、心理的瑕疵が買主の判断に重大な影響を及ぼすと考えられる場合、明確な期限が定められていないながらも告知義務が生じる可能性があります。そのため、過去の事案については正確に伝えることが重要です。

とはいえ、更地にすることで建物に関連するマイナスイメージが軽減され、土地としての利用範囲が広がることもあります。一方で、解体費用や更地による固定資産税の増額といったデメリットも伴うため、売却方針を決定する際には、コストや影響を十分に見極める必要があります。

この方法がおすすめな人

・心理的瑕疵の影響を軽減したい人
・老朽化した瑕疵物件を所有する人
・スピーディな売却を求めている人

瑕疵物件を売却するコツや注意点は?

売却したい物件が瑕疵物件であっても、ポイントを押さえた売却活動を行うことで、スムーズな売却ができる場合もあります。本章では、瑕疵物件を売却するためのコツや注意点について解説していきます。

売り出し価格を相場よりも下げる

瑕疵物件は、一般的な物件と比べて購入希望者の心理的なハードルが高くなる傾向があります。そのため、市場価格よりも低めに売り出すことで、興味を持ってもらいやすくなり、売却までの期間を短縮できる可能性があります。

特に心理的瑕疵の場合、物件自体に物理的な問題がないケースもありますが、過去の事案によって買い手の感じ方はさまざまです。一部には、心理的瑕疵を重視しない買い手もいますが、多くの場合は十分な説明と価格面での納得感が必要です。購入者の不安を軽減しつつ、価格に反映させることでスムーズな取引に繋がることもあります。

物件のメンテナンスや清掃を実施する

瑕疵の影響を減らすためには、メンテナンスや清掃を行うことで買い手の印象を良くし、売却の成功率を上げる努力をしましょう。孤独死の場合は、家の中に大量の家具や日用品が残っている場合があるため、すべて撤去し家の中を空の状態にしておきます

また、庭の手入れも行い、物件訪問時の第一印象アップを目指しましょう。

瑕疵物件の取り扱いに慣れた不動産会社を選ぶ

通常の物件に比べて買い手が見つかりづらい瑕疵物件は、不動産会社選びが重要です。瑕疵物件の売却実績があり、ノウハウを持っている不動産会社に仲介を依頼すると、スムーズに売却できる可能性が高まります。

不動産会社によっては、事故物件は積極的に売却活動を行わないというケースもあります。できるだけ幅広く買い手を募れるように、瑕疵物件の取り扱いに慣れている不動産会社を選ぶようにしましょう。

市場の状況に応じて適切なタイミングで売却を進める

買い手が限定されるであろう瑕疵物件は、通常の物件よりもさらに市場の状況に応じて適切なタイミングで売却を進める必要があります。需要が高まる2~3月にかけての売却を計画すると、心理的抵抗が強い瑕疵物件でも比較的スムーズに売却できる可能性が高まるでしょう。

一方で、不況や金利上昇など市場全体の需要が低下するタイミングでは、瑕疵物件が一層売却しにくくなるため注意が必要です。不動産会社と連携し最新の市場動向を分析するなど、戦略的なアプローチで売却活動を実施しましょう。

リフォームするなら費用対効果を考えて行う

瑕疵物件をリフォームする際は、費用対効果を十分に考慮してから実行しましょう。リフォームによって瑕疵が解消され物件の市場価値が大幅に向上する場合は、投資効果が期待できます。

しかし、リフォーム費用が売却価格の上昇幅を上回る場合、逆に損失となってしまう可能性があります。特に建物が古い場合や大きな瑕疵がある物件では、修繕よりも更地にして売却する方が効率的なケースもあります。

不動産会社と相談し、費用対効果を検討してからリフォームを決定しましょう。

買い手や不動産会社に情報を正確に伝えることが重要

瑕疵物件を売却する際には、買い手や仲介する不動産会社に対して、物件に関する情報を正確に伝えることが非常に重要です。仮に瑕疵の内容を適切に告知しなかった場合契約解除や損害賠償請求といった深刻なトラブルに発展する可能性があります。

売主が瑕疵について正確に開示しておくことで、不動産会社はその情報をもとに適切な販売戦略を立てることができ、結果として円滑な売却につながりやすくなります。また、買い手にとっても情報が正しく提供されていることは、取引に対する安心感や売主への信頼感を高める要因となります。

不動産売買は、売主と買主の信頼関係によって成り立つ取引です。トラブルを未然に防ぐためにも、常に誠実で透明性のある対応を心がけましょう。

まとめ

本記事では、瑕疵物件の売却について詳しく解説しました。瑕疵物件の売却方法は主に3つあり、瑕疵の種類によっても向いている売却方法は異なります。自分が所有する物件に適した売却方法を、正しく見極めて売却することが売却成功への道のりです。

急速に進む高齢化社会の中では、孤独死が原因で瑕疵物件となる建物も今後増えていくことが予想されます。瑕疵物件の売却問題は、現在瑕疵物件を所有している人だけでなく、誰にでも起こり得るものです。

いざという時に慌てないように、瑕疵物件の売却について正しい知識を身に付けておくとよいでしょう。本記事がその一助になれば幸いです。

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