【任意売却】って何? メリット・デメリットについて解説!

住宅ローンの支払いが滞りそう、またはすでに滞ってしまっている場合、物件を売却する選択肢を考える方も多いでしょう。しかし、「任意売却」とは何か、「競売」とはどう違うのか、そしてそれぞれのメリット・デメリットについて理解している方は少ないかもしれません。今回は、これらの疑問を解説し、任意売却の具体的な内容について詳しくご紹介します。

さらに、「こういった不動産業者には気を付けるべき」というポイントも掲載していますので、今後住宅ローンを組む予定がある方もぜひご参考にしてください。

目次

「任意売却」とは?

「任意売却」とは?

任意売却とは、住宅ローン滞納時に金融機関へ相談し、ある程度こちらの条件で不動産を売却しその売却金額でローンの残債を賄うというやり方です。またローンの支払いが滞った際に強制的に競売にかけられることを避けるための方法でもあります。

任意売却と抵当権の関係

ここで「抵当権」との関係を見てみましょう。まず、「抵当権」とは、金融機関で住宅ローンを組む際に、その物件を金融機関側が担保とする権利のことを指します。物件を売却する際には、この抵当権を抹消する必要があります。

しかし、ローンの返済が滞っていて残債がある場合、一括返済をして抵当権を抹消することはできません。このようなときに「任意売却」という解決方法があります。

「任意売却」のメリット・デメリット

「任意売却」のメリット・デメリット

任意売却メリット5つ

  • 市場に近い値段で売却ができる
  • 任意売却後、ローンが残っても返済ができる
  • 売却の条件を金融機関と相談してある程度、意志反映ができる
  • 売却の理由を誰にも知られずにすむ
  • 自己破産をしなくてすむ

・市場に近い値段で売却ができる

任意売却は、競売に比べて市場に近い価格で売却できる可能性が高いです。これは、通常の不動産取引と同様に情報提供や内覧が可能で、買い手が詳細を把握しやすいためです。競売では価格が市場価格の50~70%程度になることが多いですが、任意売却では交渉次第で市場価格と同程度かそれ以上で売れることがあります。結果として、より有利な条件で売却できる可能性があります。

任意売却後、ローンが残っても返済ができる

任意売却は金融機関と相談しながら売却条件を決めていくので、金融機関次第なところもありますが、割と好条件で話をすすめることが可能です。任意売却後にローンが残った場合でも、新しくローンを組み直し現実的に考えられる返済となるでしょう。

売却の条件を金融機関と相談してある程度、意志反映ができる

競売と比較すると自分主導で売却条件を決めることができます。通常、競売で買い主が決まり、所有権移転登記がなされると、すぐに引っ越さなければなりませんが、任意売却の場合は引っ越しのタイミングも相談にのってくれるので、そのためにも早めの、相談が必要です。

売却の理由を誰にも知られずにすむ

金融機関とのやりとりのもと売却になるので、住宅ローンを滞納していた事実が他人に知られることはありません。競売の場合ですと物件の情報が公開されてしまいローン返済が滞っていたことがバレてしまいますが、任意売却の場合はそれがないので、大きな心理負担は背負わなくてよいでしょう。つまりプライバシーの侵害はなく安心して売却できるということです。

自己破産をしなくてすむ

任意売却をするとローンの残債支払い義務はのこるものの、現実的な返済の方法にもっていけるので、「ローンが払えずに自己破産しなくてはいけない」とはなりません。(ただ、ローン滞納をしていた記録はしばらくの間消えません。)競売に切り替わるまでの時間にゆとりを持たせたいならば、金融機関へ早めの相談が必要です。

任意売却デメリット5つ

  • 信用情報に傷がつく
  • 必ずしも誰もが任意売却できるとは限らない
  • 売却後のローン残債に支払い義務は残る
  • 任意売却は後に自動的に競売へと変わってしまう
  • 任意売却をしてくれる仲介業者を自分で探さなければならない

信用情報に傷がつく

「ローンの返済が滞って家を売却した」ということは任意売却の場合、周囲に知られることはありませんが、個人の信用問題には傷がついてしまい、いわゆるブラックリストにのってしまうので、今後新しいローンを組むことやクレジットカードを作りづらくなることは覚えておきましょう。

必ずしも誰もが任意売却できるとは限らない

 任意売却するには下記の条件が必要です。

▶︎任意売却の条件

ローンの返済が困難であることギリギリ返済できているうちは認められません。しかし、早めの相談は必要です。
金融機関の許可がおりている金融機関(債権者)に認められ、抵当権を外してもらうことが必要です。
共有名義や連帯保証人の同意が得られている競売でも任意売却でも共有名義や連帯保証人の同意がなければ売却はできません。
物件の開札日までに時間が十分にある開札日までに買主を見つける時間はが必要です。そこが短いと「競売」に切り替わってしまいます。
税金の滞納がないこと税金の滞納で役所などから差押えされている場合には、任意売却には許可がないとできません。

売却後のローン残債に支払い義務は残る

任意売却をして売却額でローンの残債を賄えてしまえばいいのですが、そういったケースは多くはありません。ただ、当初のように住宅ローン返済ができずに困っていた状況よりは、より現実的な返済が分割できるでしょう。

任意売却は後に自動的に競売へと変わってしまう

任意売却には販売活動の期限があり、一般的には6ヶ月〜12ヶ月程度とされています。この期間を過ぎると、金融機関が裁判所に競売の申し立てを行い、強制的に競売へと進みます。

競売が開始されると任意売却は不可能となるため、限られた期間内に買い手を探し、売却を終える必要があります。

任意売却をしてくれる仲介業者を自分で探さなければならない

任意売却を仲介を担当してくれる仲介不動産は多くありません。通常の売買とは違い、金融機関との交渉や調整も入ってくるため、そういったことに慣れた業者を探した方がいいでしょう。

「競売」とは

「競売」とは?

ここで少し、競売についても見てみましょう。
競売とは、ローンの返済が滞ったときに、抵当権が設定されている物件を強制的に売りに出し、債務を回収する方法です。これは任意売却と同時に行われることもあります。

競売には2種類ある

競売には2つの種類があります。
1つめは「強制競売」で、これは抵当権を持たない債権者でも、債務名義をもとに実施することができます。2つめは「担保不動産競売」で、これは抵当権にもとづいて行われる売却です。

本文で記載している「競売」とは、この担保不動産競売を指しています。

任意売却と競売との違い

▶︎任意売却と競売の違い

任意売却競売
売れるまでのタイムリミットあり→自動的に切り替わる→なし
売却価格の決定権売主(金融機関)裁判所
売却の同意金融機関物件所有者
最終売却価格価格相場で売却の可能性あり相場よりも安いことが一般的

任意売却の場合はある程度の条件が反映され売主にとって好条件での売却が可能です。

競売の決定権は裁判所となるので、こちらの条件などは反映されずに一般的には市場の相場よりも売却値が、任意売却と比べて安くなります。

「任意売却」の具体的な進め方

「任意売却」の具体的な進め方

ここまで任意売却のメリットやデメリット、競売の違いをみてきました。
次に、任意売却の具体的なステップについてみていきましょう!

  • STEP1:現状を把握してから金融機関へ相談する
  • STEP2:売却準備のため不動産と仲介を結ぶ、物件の査定
  • STEP3:金融機関(債権者)との話し合い
  • STEP4:売却活動の開始
  • STEP5:買主が見つかったら契約を締結
  • STEP6:物件の引き渡し

STEP1 現状を把握してから金融機関へ相談する

まずは金融機関や不動産に相談し、本当に任意売却が必要かどうか判断します。ある程度、残債額を把握しておいた方がいいでしょう。その方が売却後の残債返済計までみてもらえます。

STEP2 売却準備のため不動産と仲介を結ぶ、物件の査定

競売よりもリミットが短いのが任意売却なので必要な書類や物件の査定など準備を進めましょう。

不動産の担当者には金融機関との交渉や調整に立ち会ってもらうので、信頼関係をもてる間柄でいることがポイントで悪徳業者に騙されないように注意しましょう。

STEP3 金融機関(債権者)との話し合い

不動産で受けた査定額が決まったら、それを金融機関に持っていきましょう。最終的な売却値の判断は金融機関(債権者)によります。金融機関より売却値の許可が降りれば次は、売却活動です。

STEP4 売却活動の開始

仲介不動産は売り出し価格のもと活動を始めます。飼い主からの売り出し値を下げる交渉が発生した場合は、債権者の決定が必要なので、金融機関に相談します。

そのほかは一般的な不動産の情報の公開と変わりなく、購入者を募集し内見などを済ませます。

STEP5 買主が見つかったら契約を締結

買主が見つかったら、金融機関の許可のもと契約を結びます。任意売却は抵当権の抹消、その他の精算もあるため通常よりは工程が増えます。

売主は売却価格の5%〜10%の手付金が受け取れます。

STEP6 物件の引き渡し

決算をして物件の引き渡しを行い、売却代金はそのまま、返済に充てます。

この時点での残債も支払いが残っているので新たにローンを組み、無理のない範囲での返済を続けましょう。

「任意売却」がうまいくためのポイント

「任意売却」がうまいくためのポイント

任意売却を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。以下のポイントに注意して、スムーズな売却を目指しましょう。

POINT1 早めに相談をする

ローンの返済が滞った場合、または滞りそうな場合には、毎月返済している金融機関や任意売却に強い不動産会社へ早めに相談しましょう。任意売却にはタイムリミットがあり、期間内に買主が見つからなければ「競売」に切り替わってしまいます。任意売却の成功には、売却活動の期間をどれだけ確保できるかが鍵となります。

POINT2 任意売却の経験が豊富な不動産会社へ相談をする

任意売却は金融機関との交渉や調整が重要な要素となります。売却額やその他の条件について交渉を有利に進めるためには、任意売却の経験が豊富な不動産会社を選ぶことが大切です。経験豊富な不動産会社は、さまざまな状況に対応できるノウハウを持っているため、スムーズな売却を実現できます。

POINT3 悪徳業者に注意

任意売却を進める際には、悪徳業者に注意が必要です。

  • 任意売却情報公開後に自宅まで訪問し、「競売にする」と脅してくる業者。近所に訪れるのは迷惑です。
  • メリットのみを話し、デメリットや不利益を隠す業者。相手の利益を度外視している業者もあります。

上記のような業者は避け、時間が許す限り複数の不動産会社を比較検討することをおすすめします。信頼できる不動産会社を見つけるためには、慎重な判断が求められます。

まとめ

まとめ

任意売却は、住宅ローンの返済が滞った際に、金融機関と不動産会社が協力して、物件を「競売」ではない方法で売却することを指します。この方法では、ローンの支払いが滞っていることが周囲にバレることなく売却できる点が大きなメリットです。

ただし、売却に至るまでには共有名義や連帯保証人、金融機関などの許可が必要です。そのため、手続きに時間がかかり、競売に切り替わるまでの時間が限られているため、希望通りの条件で売却できなかったケースもあります。

しっかりと良い条件で売却するためには、現状の整理や好条件で交渉・調整が得意な不動産会社を見つけることが重要です。さらに、売却後の残債返済計画についても、事前に見通しておくことが大切です。

生活の立て直しが困難になる前に、任意売却のメリット・デメリットをよく理解し、早期に金融機関と不動産会社への相談を行いましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次