【初心者でも安心】不動産売却の流れを5ステップで徹底解説
初めて自宅を売却する場合、不動産会社の選び方や売買契約の進め方など、分からない点が多いのではないでしょうか。あらかじめ不動産売却の流れを把握し、何をすればいいのかを理解した上で行動すると、初めての売却でも円滑に進められます。
不動産の売却は、大きく分けて以下の5ステップがあります。
- 不動産会社へ相談・査定
- 不動産会社との媒介契約
- 売却活動を開始する
- 売買契約を締結する
- 物件の引渡し・決済リスト
本記事では、不動産会社へ相談するところから物件の引き渡しまで、上記5つのステップにそって解説しています。初めての不動産売却で不安な方は、本記事を参考に不動産売却の流れを理解し、自宅の売却をスムーズに行えるように準備しておきましょう。
この記事を監修した人
岩冨 良二
後楽不動産 売買事業部 係長
不動産業界歴26年のベテランで、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格を持つエキスパート。豊富な知識と実績でお客様から厚い信頼を得ており、売買事業部のエースとして活躍中。複雑な取引もスムーズにサポートし、最適な提案を行う頼れるプロフェッショナルでありながら、社内のムードメーカーとしても周囲を明るくする存在。
目次
不動産会社へ相談に行く
不動産会社は日常的に訪れる場所ではないため、「どの不動産会社を選べばいいのか」「いつ相談に行けばいいのか」で悩む人もいるのではないでしょうか。本章では、不動産会社の選び方から、相談するベストなタイミングまでを分かりやすく解説していきます。
まずは査定を依頼しよう
自宅を売却したいと思ったら、まずは現在の自宅の価値を客観的に評価してもらうために、不動産会社に査定を依頼することになります。査定は通常無料であり、依頼した不動産会社と必ず契約を結ぶ必要はありません。
自宅に近い地域密着型の不動産会社や大手の不動産会社など、異なる特徴を持つ会社を含めて、最低でも3社程度に査定の見積もりを依頼することをおすすめします。
初回の査定は「机上査定」といって、依頼者が出したデータをもとに査定額を割り出す査定方法がメインです。電話やインターネットでの依頼も可能で、最短即日~3日程度で結果が出ます。
机上査定には、複数の不動産会社に一度に査定依頼を提出できる「一括査定」のサービスもあります。査定後は各不動産会社と依頼者が直接やり取りを行うことになるので、メールや電話の対応に追われる可能性もあり、注意が必要です。
不動産会社を選ぶ
机上査定だけでは現地特有の事情が反映されないため、精度の高い査定額が出せません。そこで、机上査定の結果を見て1~2社程度まで候補が絞れたら、「訪問査定」を依頼します。訪問査定は、実際に不動産会社の担当者が自宅を訪れ、細かい部分までチェックしたのちに査定額が算出されます。
訪問査定の結果が出た後は、提示された査定額だけでなく、不動産会社の対応力や契約条件、過去の実績などを総合的に比較検討し、契約する不動産会社を選びましょう。不動産会社には、マンションの売買実績が豊富な会社、SNSでの発信が得意な会社、特定のエリアに強い会社など、さまざまな特色や強みがあります。そのため、自分が売却したい物件の特徴と不動産会社の強みが合致しているかどうかを確認することが重要です。
さらに、担当者の連絡はスムーズに行われていたか、電話やメールでの印象が良かったかなども考慮に入れておきましょう。不動産会社の担当者とは、今後長く付き合うことになるので、相性も重要です。
相談に行くタイミングはいつがベスト?
不動産会社に売却の相談を持ち掛けてから、実際に引き渡しが終了するまで、最短でも3か月程度はみておかなくてはなりません。また、物件の状態(立地や築年数、マンションか戸建てかなど)によって、さらに売却活動期間が長引くことも予想されます。
売却を希望する時期の約半年前には、不動産会社へ相談に行くのがおすすめです。特に、売却希望価格が相場より高い場合は、買い手が見つかりにくく、売却までの時間がかかることがあります。早期売却を目指すなら、不動産会社と相談して、価格調整や広告戦略の見直しなど適切な売却プランを検討しましょう。
自宅をなるべく高く売りたいのならば、売却期間が長くかかることも想定し、早めに不動産会社に相談しておくとよいでしょう。
不動産会社との媒介契約
査定を経て契約したい不動産会社が決定したら、不動産会社との媒介契約を結びます。媒介契約を行うことで、不動産会社は売主のために物件を宣伝し買い手を探す業務を請け負うことができます。
本章では、不動産会社との媒介契約の種類やその内容、注意点などについて解説していきます。
媒介契約の種類と内容
媒介契約には、「専任媒介」「専属専任媒介」「一般媒介」の3種類があり、それぞれ契約条件が異なります。
専任媒介 | 専属専任媒介 | 一般媒介 | |
自己発見取引 | 〇 | × | 〇 |
複数の不動産会社との媒介契約 | × | × | 〇 |
レインズへの登録義務 | 媒介契約締結後7日以内 | 媒介契約締結後5日以内 | 任意 |
売主への活動報告義務 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 | 任意 |
契約期間 | 最長3か月 | 最長3か月 | 任意 |
専任媒介と専属専任媒介の場合、1社のみの契約になるため選ばれた不動産会社の責任が重くなり、一般媒介に比べて積極的に売却活動を行ってもらえるメリットがあります。さらに、不動産流通標準情報システムのレインズへの登録義務があることで、不動産業者間での情報共有がなされ、買い手が早く見つかりやすくなります。
媒介契約を選択する際の注意点
一般媒介と専任媒介は、売主自らが買い手を見つけて取引を行う「自己発見取引」が可能です。自己発見取引では、不動産会社への仲介手数料が不要になりますが、不動産に関する知識が乏しい場合、当事者間で取引内容に齟齬が生じたり、取引後にトラブルが発生する可能性もあります。そのため、自己発見取引を希望する場合でも、事前に不動産会社に相談しながら進めることが望ましいでしょう。
また、一般媒介契約では売主が複数の不動産会社と同時に契約できるため、より多くの買い手にアプローチできる可能性があります。ただし、売主が各社と直接やり取りをしながら売却活動を進める必要があるため、手間や負担が増える点には注意が必要です。一方、専任媒介や専属専任媒介は、契約する不動産会社を1社に限定するため、売却活動を一任しやすく、効率的に進められるメリットがあります。
媒介契約の種類で迷った場合は、それぞれのメリットとデメリットをよく理解した上で、自分の状況や売却活動に求める内容を明確にし、不動産会社と相談して最適な契約形態を選択しましょう。
売却活動を開始する
不動産会社との媒介契約を結んだら、売却活動が開始されます。本章では、具体的な活動内容や、売却活動中の注意点について解説していきます。
売却活動の具体的な内容とは?
不動産売却活動の例
- 指定流通機構(レインズ)への物件登録
- 不動産ポータルサイトや自社サイトへの物件掲載
- 新聞折込広告やチラシの配布
- 住宅情報誌への物件掲載
- SNSでの発信
- オープンハウスや内覧の開催
- 条件や希望に合った既存顧客への物件紹介
売主と媒介契約を結んだ不動産会社は、上記のような方法で買い手を探す活動を行います。売却活動中は、物件に対しての反応や問い合わせ、新たに行った売却活動などがあれば、営業担当者から定期的に報告されます。
売却活動の具体的な内容は、各不動産会社によっても異なります。どのような方法を用いて売却活動を行っているのかは、事前に確認しておくとよいでしょう。
売却活動中に売主が行うべきことは?
売却活動中は不動産会社が売主に代わり買い手を探してくれますが、早期売却のためには売主の協力が不可欠です。オープンハウスや内覧は、購入希望者の要望があればすみやかに行いましょう。
また、内覧の際には少しでも良い印象を持ってもらうために、家の掃除や片付けを行って自宅が魅力的な物件に見えるように心がけましょう。必要に応じて、売主も積極的に売却活動に協力することが、スムーズな売却につながります。
売買契約を締結する
買い手が見つかったら、売主と買主の間で売買契約の締結が行われます。本章では、売買契約締結の流れや必要な書類などについて解説していきます。
売買契約締結の流れ
売買契約当日は以下のような流れで進みます。
- 売主と買主の顔合わせ
- 重要事項の説明
- 売買契約書の確認・署名捺印
- 手付金の受け渡し
- 仲介手数料の支払い
- 今後のスケジュールを確認し終了
売買契約の締結当日は、売主と買主・不動産会社の担当者が一同に会して、顔合わせをするところから始まります。顔合わせ後は宅地建物取引士の有資格者が、買主に対して重要事項の説明を行います。
説明内容は、取引条件や取引物件に関する説明・特約の説明などです。売主には重要事項の説明を受ける義務はないものの、契約についての理解を深めるために、説明に同席するのが望ましいでしょう。
重要事項の説明が済んだら、売買契約書の読み合わせと確認が行われ、売主買主双方が売買契約書へ署名捺印します。手付金が買主から売主へ支払われ、仲介手数料の支払いが済んだら、今後の引き渡しや決済のスケジュールについて確認し、売買契約の締結は終了です。
すべての手続きにかかる時間は、契約内容や参加人数によっても異なりますが、おおむね1時間半~2時間程度となります。
売買契約締結に必要な書類
売主側が用意する書類など
- 本人確認書類(顔写真付きのもの)
- 実印
- 印鑑証明書(3か月以内に発行したもの)
- 不動産登記済証または登記識別情報
- 物件状況報告書
- 設備表
- (マンションの場合)管理規約
- 固定資産税納税通知書
- 印紙代
売買契約の締結時には、上記の書類が必要です。当日の手続きをスムーズに行うために、必要書類は早めに準備しておくようにしましょう。
売買契約をキャンセルする場合
不動産の売買契約は、やむを得ない事情がある場合などは、途中でキャンセルすることができます。売買契約締結前のキャンセルであれば、売主と買主の間でキャンセル料は発生しません。
売買契約締結後のキャンセルの場合は、買主都合でのキャンセルなら手付金の放棄で、売主都合でのキャンセルなら手付金の倍額を違約金として支払うことで、契約のキャンセルが可能です。また、売買契約締結後のキャンセルだと、不動産会社に支払った仲介手数料は戻ってきませんのでご注意ください。
決済と物件の引渡し
基本的に、売買契約が完了してから1か月以内に、決済と物件の引き渡しが実施されます。決済は多額の金銭が動く手続きになりますので、十分な知識を持って臨むようにしましょう。
それでは、不動産売買の決済と引き渡しについて、以下で詳しく解説していきます。
不動産売却における決済の流れ
不動産売却における決済とは、売主から買主へと不動産の所有権を移転し、売買代金の支払いを行う手続きのことです。住宅ローンを利用して不動産売買を行う場合、決済の流れは以下のようになります。
- 登記関連書類・契約書を確認
- ローンの実行
- 残りの売買代金支払い
- 仲介手数料の支払い
- 所有権の移転登記手続き
決済の際には、売主と買主の他に、不動産会社の担当者、司法書士、銀行の住宅ローン担当者などが同席します。司法書士による登記関連書類の確認が済んだら、買主の住宅ローンが実行されます。
ローンの実行でいったん買主の口座に振り込まれた融資金は、その場で出金され売主に支払われます。売買代金から売買契約時に受け取った手付金の分を引いた金額が、決済時に支払われる金額です。
仲介手数料は、売買契約時に50%を支払い、残りの50%を決済日に支払います。不動産会社によっては、決済日当日に全額を支払う場合もありますので、確認しておきましょう。
売主の抵当権などが抹消済みであることを確認したら、司法書士によって所有権を買主へ移転する手続きが行われます。所有権移転登記の費用については、権利を得る側の買主負担で行われるのが一般的ですが、事前に双方で負担について確認しておくと安心です。
所有権移転登記の完了までにかかる期間は、地域や手続きの状況によって異なります。通常は1~2週間程度が目安とされていますが、具体的な日数については事前に司法書士に確認しておくとよいでしょう。登記が完了すると、司法書士から登記完了書類が交付されますので、内容をよく確認し、大切に保管しておきましょう。
物件の引き渡し
決済の手続きが完了したら、売主から買主へ鍵や物件に関する書類を渡す「引き渡し」が行われます。
引き渡しの際に売主から買主へ渡されるものは?
- 物件の鍵(スペアキー、勝手口なども含む)
- 物件に付随する設備や備品の保証書
- 重要事項説明書など
必要な書類は事前に準備しておきましょう。スペアキーを紛失している場合は、買主に紛失している旨を報告し、同意が得られればそのまま引き渡します。
売却にかかる費用について
不動産売却にかかる費用の中には、不動産会社へ支払う仲介手数料や税金など、いくつかの項目があります。以下に主な内訳をまとめています。
仲介手数料 | 不動産業者に支払う手数料 | 売却価格の3% + 6万円(税別) |
登記費用 | 所有権移転登記にかかる費用(司法書士の報酬) | 数万円 |
印紙税 | 売買契約書に貼付する印紙の費用 | 契約金額に応じて変動 |
リフォーム費用 | 売却前に物件を整えるためのリフォームや修繕にかかる費用 | 数十万円~ |
譲渡所得税 | 不動産を売却して得た利益に対して課税される税金 | 譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 諸経費) |
引越し費用 | 引越し代、不用品処分費、新居の諸費用など | 数万円~数十万円程度 |
どのタイミングでどのような出費があるのかは、事前にある程度把握できます。直前になって慌てることがないように、準備しておきましょう。
不動産売却するなら早めに不動産会社に相談しよう
本記事では、不動産売却の流れを5ステップで解説しました。
不動産の売却は、思っている以上に買い手の募集や手続きに時間がかかることがあります。マンションと戸建てでは、売却までの期間は地域の需要や物件の状態によって異なるため、売却を希望するエリアの特性をよく理解することが重要です。不動産会社に相談し、売却スケジュールや計画を具体的に立てることをおすすめします。
不動産を満足のいく形で売却するためには、資金やスケジュールの計画をしっかりと立て、余裕を持った準備が必要です。また、信頼できる不動産会社と連携しながら売却を進めることで、よりスムーズに取引が進むでしょう。
自宅を売却したいと思ったら、まずは不動産会社に相談するところから始めてみましょう。訪問やオンライン相談など、状況に応じて最適な方法を選択してください。