「また水道管が…」空き家の冬トラブル、放置と決断の分かれ道

「使っていないから大丈夫」そう思っていませんか?
特に冬は、水道管の凍結や破裂など、空き家ならではのリスクが潜んでいます。放っておくと、高額な修理費や水道料金がかかるだけでなく、建物自体の価値も下がってしまうことも。
この記事では、
- 空き家の冬に起きやすいトラブル
- 凍結・破裂を防ぐための基本対策
- 管理を続けるか、売却するかの判断ポイント
をわかりやすく解説します。
「今はまだいいかな」と思っている方にこそ、読んでほしい内容です。
この記事を監修した人

岩冨 良二
後楽不動産 売買事業部 係長
不動産業界歴26年のベテランで、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格を持つエキスパート。豊富な知識と実績でお客様から厚い信頼を得ており、売買事業部のエースとして活躍中。複雑な取引もスムーズにサポートし、最適な提案を行う頼れるプロフェッショナルでありながら、社内のムードメーカーとしても周囲を明るくする存在。
なぜ冬の空き家は危険なのか

空き家で見落とされがちな冬季リスクの代表が、水道管の凍結・破裂です。特に気温が氷点下になる地域では、使われていない水道管の中に残った水が凍り、膨張することで管が破裂してしまうことがあります。
このリスクは居住中の住宅よりも空き家で深刻化しやすいのが実情です。というのも、空き家は基本的に「人の目が届かない」「使用されていない」状態であるため、凍結や破裂が発生してもすぐに気づくことができません。
発見が遅れると、破裂した水道管から水が流れ続け、床下が浸水したり、外壁や設備に深刻なダメージを与える可能性があります。さらに、水道料金の請求書が届いてはじめて事態に気づくというケースも多く、気づいた時には数万円〜十数万円規模の損害になっていることも珍しくありません。
また、外気温の影響を受けやすい地中・床下・外壁沿いの管やメーター周辺は特に凍結リスクが高く、管理されていない空き家では、冬の1〜2カ月だけでも重大な劣化が進行していることがあります。
つまり冬の空き家は、表面上は何も変わっていないように見えて、内部では確実に建物の劣化と損害が進んでいる危険な季節なのです。
水道管破裂がもたらす深刻な被害

水道管の破裂は、ただの「水漏れ」で済まないことがほとんどです。特に空き家の場合は、発見が遅れることで被害が拡大し、経済的・構造的な大きな損失を引き起こします。
以下に代表的な被害を挙げます。
高額な水道料金の発生
空き家で水道管が破裂すると、誰もいない家で水が出続け、水道メーターも止まらずに回り続けます。そして、数日〜数週間放置されたままだと、水道料金が数万円から十数万円にまで膨れ上がることもあります。
たとえば、1時間に10リットルの水が漏れ続けた場合、1日で240リットル、1週間で1,680リットルもの水が無駄に流れ出る計算になります。
「使っていない家なのに、こんなに高額な請求が…」
そんな通知が届いて初めて、水道管が破裂していたことに気づくケースも少なくありません。発見が遅れるほど請求額も被害も大きくなってしまうのが、このリスクの厄介なところです。
地中・床下の配管修理費の増加
水道管が破裂した場所が、床下や地中など目に見えない位置にある場合、修理には大掛かりな作業が必要になります。
たとえば、
- 室内の場合:床板やフローリングを一度すべて剥がす
- 屋外の場合:外構(駐車場や庭)のコンクリートを掘削する
といった工程が発生し、通常の修理に加えて解体・復旧の費用がかかるため、費用は10万円〜20万円を超えるケースも珍しくありません。
さらに、漏水した状態で放置されていた期間が長いと、
- 木材の腐食
- 土台や断熱材へのカビの発生
- シロアリなどの害虫被害
など、配管だけで済まない“二次被害”まで広がってしまう可能性もあります。結果として、「管の破損を直すだけ」で済んだはずの修理が、構造的な修繕工事にまで発展するリスクがあるのです。
外壁・内装・床下への水害
破裂した水道管が外壁沿いや床下など建物の構造部近くにある場合、水が長時間にわたって染み出し続けることで、建物全体に深刻な二次被害をもたらす可能性があります。
特に空き家の場合、破裂に気づかずに“数日〜数週間”放置されてしまうことが多く、以下のような損傷が進行します。
- 木造の柱や土台が水分を吸い、腐食や変形を引き起こす
- 断熱材が濡れた状態になり、断熱性能の低下やカビの温床に
- クロスや内装材の裏側に水がまわり、見えない箇所で劣化が進む
- 床下が常時湿った状態となり、シロアリの被害リスクが高まる
特に木造住宅では、外観では異常が見えなくても、サイディング材の内側で静かに損傷が進行していることも多く、気づいた時には“全面張り替え”が必要になるケースもあります。
漏水の位置や量によっては、建物の土台ごと修繕が必要になることもあるため、早期の発見と対処が非常に重要です。
給湯器・ボイラーの故障
破裂した水道管から漏れ出した水が、屋外に設置されている給湯器やボイラー本体にかかってしまうと機器内部に水が侵入し、深刻な故障につながる恐れがあります。
特に注意が必要なのは以下のような影響です。
- 給湯器内部の基板や電気配線がショートしてしまう
- 熱交換器に水が入り、錆びや腐食が進行
- 通気口や点火装置が濡れてしまい、安全装置が作動して停止する
このような場合、単なる修理では対応できず、給湯器やボイラー本体の交換が必要になることも多く、費用は10万円〜20万円以上にのぼる可能性があります。また、空き家ではトラブルに気づくのが遅れるため、機器内で湿気がこもり続け、再起動できない状態まで劣化が進んでいるケースも見られます。
給湯器は日常生活に欠かせない設備であり、破裂被害によってこの部分が損傷すると、再使用のために多額の設備投資が必要となる点もリスクのひとつです。
建物全体の価値の低下
水道管の破裂による被害は、水漏れだけにとどまりません。給湯器や床下、外壁、内装など複数の場所に影響が広がると、建物全体の価値にも大きく関わってきます。
たとえば、以下のような状況が起こることがあります。
- 床下や柱が腐食していても、外観では一見わからないため、資産価値の判断が難しくなる
- 壁の中にカビが発生していたり、断熱材が濡れて劣化しているなど、“目に見えない劣化”が進行している
- 売却時の調査や内覧で水害歴が判明し、「修繕が必要な物件」として査定額が大幅に下がる
また、「一度水道管が破裂した家」という情報が残ってしまうと、購入希望者が心理的に敬遠し、売却までに時間がかかることもあります。
さらに、売買契約後に隠れた損傷が見つかった場合、「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」を問われて修繕費用を請求される可能性もあるため、所有者にとって大きなリスクになり得ます。
たとえ外観がきれいに保たれていても、過去に水害があったというだけで建物の評価は大きく下がる。それが、空き家の水道トラブルが“見えにくくても重いリスク”と言われる理由です。
水道管破裂を防ぐためにできる3つの基本対策

水道管の破裂は、ある日突然起きるものではありません。事前の備えと少しの工夫で、大半の事故は未然に防ぐことができます。
ここでは、空き家の水道トラブルを防ぐための基本的な対策を3つ紹介します。
1. 水抜き作業の実施
最も効果的な対策のひとつが、「水抜き」と呼ばれる作業です。これは水道管の内部に残っている水を完全に排出することで、凍結や膨張による破裂を防ぐ方法です。
具体的な手順は以下のとおりです。
- 水道の「元栓(止水栓)」をしっかり閉める
- その後、家中すべての蛇口を開けて、管内の水を抜く
- トイレのタンク内や洗濯機用の蛇口など、見落としがちな場所も忘れずに開放する
特に寒冷地では、数日家を空けるだけでも凍結のリスクがあるため、冬季の長期不在前には必須の作業と言えます。
2. 保温カバーの設置
水道管が外気にさらされている場所では、凍結のリスクが高まります。
たとえば、外壁沿いや屋外の水道メーター周辺などです。
このような箇所には、断熱材入りの保温カバーや専用の保温テープを巻いておくことが効果的です。
また、100円ショップやホームセンターでも入手可能な簡易保温材を利用すれば、低コストでの対策が可能です。
一度設置すれば冬の間ずっと効果が続くため、手間に対して得られる安心感は大きいでしょう。
3. 定期的な通水チェック
空き家であっても、定期的に水を少量でも流すことは凍結対策として有効です。特に寒波が予想される前後や、気温が氷点下近くまで下がる時期には、以下のような通水確認が推奨されます。
- 蛇口を開けて数分間、水がスムーズに出るか確認する
- 凍結しやすい屋外水栓やトイレなども忘れずにチェックする
- 異音や流れの悪さがあれば、管内で凍結が始まっている可能性も
このように、“時々見に行って少し水を流す”だけでも、破裂のリスクは大幅に減少します。
それでも破裂した場合、どう対応すべきか

どれだけ事前に備えていても、自然の力や予期せぬ劣化によって、水道管が破裂してしまうことはあります。その際に最も重要なのは、冷静に、正しい手順で、素早く対応することです。
被害の拡大を防ぐために、以下のステップを押さえておきましょう。
1. 速やかに元栓を止める
破裂に気づいたら、まず最初にやるべきことは、家全体の水の供給を止めることです。建物内や屋外に設置されている「止水栓(元栓)」を閉めることで、これ以上の漏水を防ぐことができます。とくに空き家では、発見が遅れた分だけ水が出続けている可能性が高いため、一刻も早い止水が被害拡大を食い止める鍵になります。
2. 信頼できる修理業者へ即連絡
止水後は、専門の水道修理業者にすぐ連絡を入れましょう。破損の程度によっては、簡単な補修で済む場合もありますが、地中管や床下の損傷となると専門機器と技術が必要になります。事前に「緊急時に依頼できる業者」をリストアップしておくと、慌てずに行動できます。
3. 応急処置を施す
業者が到着するまでに時間がかかる場合、漏れ箇所にタオルを巻く、防水テープを貼るなどの応急処置を行うことで、被害を最小限に抑えることができます。ただし、応急処置はあくまで一時的な対応です。必ず専門家による正式な修理を行うことが前提です。
4. 水道局へ報告し、減免制度を確認
多くの自治体では、破裂など不可抗力による水道料金の増加に対して、減免や救済措置が用意されています。破裂が確認できたら、なるべく早く自治体の水道局や指定窓口に連絡し、該当する制度がないか確認しましょう。申請にあたっては、「修理業者の報告書」や「写真記録」が必要になることもありますので、現場の状況はできるだけ記録を残すようにしてください。
管理を続けるべきか、売却を検討すべきか

空き家を所有している方にとって、最大の悩みは「このまま維持するべきか、それとも手放すべきか」という判断です。特に冬場のリスクが高まる時期には、こうした迷いが一層大きくなるものです。
ここでは、それぞれの選択が向いているケースと、判断のポイントを整理してみましょう。
管理を続けるという選択
空き家を将来的に活用する見込みがある場合や、地域・人とのつながりを重視したい方にとっては、管理を継続するという選択が現実的です。
特に次のようなケースでは、水道契約を維持しつつ、定期的な点検を組み合わせた「冬の備え」が効果的です。
空き家が実家や思い出のある場所で、いずれ戻る予定がある方
「いずれ自分が住むつもり」
「将来、子どもが戻ってくるかもしれない」
そんな将来的な利用を見据えている空き家であれば、維持管理を続けることが資産価値の保全につながります。
たとえば、
- 定年後にUターンして住む「第二の住まい」として使いたい
- 子世代が地元で就職・結婚した際の住まいや二世帯住宅へのリフォームを視野に入れている
- 実家としての思い出やルーツを次世代につなげたい
このような具体的な活用計画がある場合、今から建物を劣化させないように維持することが、後々のリフォーム費用を抑えるカギになります。
- 外壁や屋根を傷めないよう定期的に点検・清掃する
- 水道や給湯設備が使える状態を保ち、凍結・破裂を防ぐ
- 湿気対策や換気を行い、カビや害虫被害を防ぐ
こうした基本的なメンテナンスを怠らなければ、後の活用時に“余計な出費”をせずに済む確率がぐっと高まります。また、維持を続けることで、「売る・貸す」といった他の活用の可能性も残しやすくなるため、将来の選択肢を狭めずに済むのもメリットのひとつです。
現地に定期的に足を運べる、または信頼できる人に見てもらえる環境がある方
空き家の管理は「放置しないこと」が何よりも重要です。
その意味で、以下のような環境にある方には、維持を前提とした活用が十分可能です
- 自宅から車で30分以内など、週に1回程度通える距離に住んでいる
- 親族やご近所の方が定期的に様子を見に行ってくれる体制がある
- 管理サービスなど、第三者に見回りを委託している
こうした環境があれば、空き家特有のトラブルを“深刻化する前に発見・対応できる”のが大きなメリットです。
実際に行うべき管理作業には、次のようなものがあります。
- 通水作業:蛇口を開けて数分水を流し、水道管の凍結・臭気・サビの発生を防ぐ
- 換気:窓を開けて空気を入れ替え、カビや湿気による劣化を防止
- 敷地内の清掃:草木の手入れ、落ち葉の片づけ、虫の繁殖を防ぐ
- ポスト確認:チラシの放置を避け、空き家であることを周囲に気づかせない
これらの作業は一つひとつは手間ですが、定期的に行うことで建物の状態を安定的に保ち、突発的な出費や修繕リスクを抑えることができます。
また、維持がしっかり行われていれば、将来的に「住む」「貸す」「売る」といった活用の選択肢を残したまま資産価値を維持できるのも、大きな利点です。
地域とのつながりを大切にしており、手放したくない理由がある方
「子どもの頃の思い出が詰まった家だから残しておきたい」
「両親が大切にしていた家を、自分の代で手放すのは抵抗がある」
「近所づきあいや地域とのつながりをこれからも大事にしたい」
空き家を“資産”ではなく、“想いのこもった場所”として捉えている方も少なくありません。
こうした気持ちは、経済的な合理性だけでは割り切れないもの。だからこそ、「とりあえず残しておく」ではなく、“大切に残す”という前向きな管理の意識が重要です。
たとえ今は使う予定がなくても、
- 建物をしっかり手入れしておくことで、将来的に賃貸や親族への譲渡がしやすくなる
- 良好な状態を維持しておけば、「使いたい」と思った時にすぐ活用できる
- 近隣との関係性を保つことができ、空き家が原因のトラブルも避けられる
このように、「想い」を守ることと、「建物を守ること」は表裏一体です。
空き家管理は感情的な負担にもなりやすいですが、手放さないと決めたなら、最低限の点検・清掃・通水などを続けることで、“未来の選択肢”を確実に残すことができます。
売却を検討すべきという選択
空き家を所有し続けることには、維持費やトラブル対応など、持ち続けるだけで発生するコストとリスクがつきまといます。
次のような状況に当てはまる方は、管理を続けるよりも早期の売却を前向きに検討することが賢明な判断になるかもしれません。
日常的な管理が難しく、すでに放置気味になっている方
「忙しくて行けないまま、気づいたら数カ月…」
「頭の片隅では気になっているけど、日々の生活で精一杯」
という方は、すでに“空き家の放置”が始まっている可能性があります。
たとえば、
- 仕事や育児、介護でスケジュールに余裕がない
- 空き家までの距離が遠く、気軽に見に行けない
- 管理の方法がわからず、つい後回しになっている
という状況が重なると、「気にしてはいるけど動けていない」状態が長引きやすくなります。
このような場合、以下のような問題がすでに進行していることも少なくありません。
- 水道管の凍結・破裂による漏水トラブル
- 雑草や木の枝が伸びて、近隣からのクレームにつながる
- ポストにチラシが溜まり、「空き家」として目立ってしまう
- 室内の湿気やカビが進行し、資産価値が下がってしまう
たとえ大きなトラブルが起きていなくても、「定期的に見に行けていない」という状況自体が、すでに管理が困難になってきているサインです。今のまま何年も放置してしまえば、本来売れるはずだった資産が“売れない物件”になってしまうリスクも。
管理が難しいと感じ始めた段階で、「この家をどうするべきか」を一度見直してみることが、後悔を防ぐための第一歩になります。
冬季の凍結や老朽化が進み、修繕や維持費の負担が大きくなってきた方
「また水道管が破裂した…」「外壁が剥がれて、雨漏りが心配」
こうしたトラブルが冬になるたびに起こり、毎年数万円〜十数万円規模の修繕費がかかっている方も多いのではないでしょうか。
特に築30年以上の物件では、目に見える部分だけでなく、
- 壁の内側や床下の断熱材の劣化
- 屋根や樋(とい)の傷みや詰まり
- 電気・水道・ガス設備の経年劣化
など、“内部の見えない部分”が同時に老朽化しているケースも多く見られます。
「今年は外壁、来年は給湯器、その次は屋根…」と、終わりの見えない修繕ループに入ってしまっている方もいるかもしれません。さらに空き家であれば、使っていないにもかかわらず費用だけがかかり続けるという状況にもなりがちです。
これらの出費や手間が重くのしかかるようであれば、無理に維持を続けるよりも、計画的な売却を検討した方が負担を軽減できる可能性があります。
- これ以上劣化が進む前に売ってしまう
- 買い手がリフォーム前提で検討しやすいタイミングで動く
- 余計な修繕費をかけずに資産を手放すことで、心身の負担を減らす
そうした選択が、長期的に見て最もコストを抑え、精神的にも楽になるケースは少なくありません。
将来的に利用する見込みがなく、具体的な活用計画が立っていない方
「将来住む予定もない」
「賃貸に出すほどの状態でもないし、リフォームする余裕もない」
そんなふうに感じている方は、空き家を“持ち続ける理由”がすでに薄くなっている可能性があります。
活用の目処が立たないまま所有を続けると、以下のような問題が積み重なっていきます:
- 固定資産税や都市計画税など、毎年必ずかかる維持コスト
- 草木の繁茂や外観の劣化による近隣トラブルや防犯リスク
- 時間の経過とともに進行する老朽化と修繕費の増大
- 空き家として放置されていることが地域全体の印象を下げてしまう可能性
特に「とりあえず持っているだけ」の状態が数年続いている場合、気づかないうちに“売れない物件”へと変わってしまうリスクもあります。今後も利用の予定がなければ、価値があるうちに売却し、現金化して他の目的に活用するというのも十分前向きな選択です。
たとえば、
- 子どもの教育資金や生活資金に充てる
- 相続が発生する前に整理し、家族の負担を減らす
- 築年数が進む前にスムーズに売却することで、買い手がつきやすくなる
といった形で、“活かせない空き家”を“今、活かせる資産”に変えることが可能になります。
周辺地域の地価や建物の価値が下がる前に、資産を現金化したい方
空き家を取り巻く環境は、年数とともにゆっくりと、しかし確実に変化していきます。
以下のような兆候に気づいたときは、「売れるうちに手放す」という判断が、結果的に最も損の少ない選択になることがあります。
- 近隣にも空き家が増え、周辺の景観や治安に影響が出始めている
- 地域の人口減少や高齢化が進み、住宅需要そのものが低下している
- 自分の物件も築30年、40年を超え、大規模修繕が必要な時期に差しかかっている
このような状況では、売却価格が年単位でじわじわと下がっていくことが予想されます。
たとえば、築年数が30年を超えると、建物としての評価がゼロに近づき、査定では「土地のみの価値」と見なされることもあります。また、「空き家率が高いエリア」として見られると、購入希望者が減り、買い手市場になって値引き交渉をされるケースも少なくありません。
さらに老朽化が進めば進むほど、
- 修繕コストの見積もりを購入希望者が気にする
- 瑕疵(かし)への不安から、買い手が離れていく
という状況に陥る可能性も高まります。
「今はまだ売れるけれど、5年後には価値がもっと下がっているかもしれない」
そんな不安が少しでもある方には、市場価値が残っている今のうちに、資産を現金化しておくという判断も現実的で後悔の少ない選択となります。
判断に迷ったときは「資産」として冷静に見直してみましょう

空き家に対しては、「実家だから」「思い出があるから」「親が建てた家だから」など、どうしても感情的な想いがついて回ります。簡単には手放せない、という気持ちは当然のことです。
しかしその一方で、誰も住まず、管理が行き届かない状態が続けば、建物は少しずつ劣化していきます。外壁のヒビや水道管の破裂、屋根からの雨漏りなどが起こり始めると、市場価値は急速に下がっていきます。
結果として、売れる家だったはずが、買い手のつかない“修繕前提の物件”に変わってしまうというケースも多く見られます。
だからこそ、判断に迷ったときは一度立ち止まり、「この家を資産としてどう扱うか?」という視点で見直すことが重要です。感情も大事にしながら、数字や維持コスト、将来的な利用見込みを整理することで、今後の方向性が見えてくるはずです。
まとめ
冬の空き家には、目に見えないリスクが数多く潜んでいます。特に水道管の凍結や破裂は、修理費用や水道料金、建物自体へのダメージなど、経済的にも構造的にも大きな損失につながりかねません。
本記事では、
- 空き家で起こりやすい冬季トラブルの実態
- 水道管の破裂を防ぐためにできる基本対策
- 管理を続けるか、売却するかを判断するための視点
について詳しく解説しました。
空き家をどう扱うかは、その家との関係性や今後のライフプランによって人それぞれ異なります。「思い出があるから残したい」という方も、「負担になる前に整理したい」という方も、共通して言えるのは、「今の状態をきちんと把握し、早めに行動すること」が最も重要だということです。
岡山・倉敷エリアで空き家の管理や売却を検討している方は、ぜひ一度私たち後楽不動産にご相談ください。
現地の状況に合わせて、管理・活用・売却のすべてを視野に入れた最適な提案をいたします。
空き家を“負債”ではなく、“資産”として未来に活かすために、まずは小さな一歩を踏み出してみませんか?