空き家が劣化する原因は何?空き家管理の重要性を見直そう

近年日本では少子高齢化や都市部への人口集中により、空き家の問題が目立つようになりました。適切に管理されていない空き家は、周囲の環境や周辺住民に悪影響を及ぼしつつ、急速に劣化していきます。
所有者にとっても、資産価値の低下だけでなく法律上の責任など大きなリスクを伴うのが空き家問題です。今現在持ち家を所有している人はもちろん、実家を相続する可能性がある人には他人事では済まされない問題です。
本記事では、空き家が劣化する要因について詳しく見ていくとともに、正しい管理方法や管理の重要性について解説していきます。所有している空き家の維持管理に悩んでいる方、今後空き家を相続する可能性のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を監修した人

岩冨 良二
後楽不動産 売買事業部 係長
不動産業界歴26年のベテランで、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格を持つエキスパート。豊富な知識と実績でお客様から厚い信頼を得ており、売買事業部のエースとして活躍中。複雑な取引もスムーズにサポートし、最適な提案を行う頼れるプロフェッショナルでありながら、社内のムードメーカーとしても周囲を明るくする存在。
空き家の悩み…放置するとどうなる?

家というのは、人が住まなくなると急速に劣化が進みます。その理由は、湿気によるものから害虫や害獣の侵入に至るまで、様々です。
放置するほど被害は大きくなり、最悪の場合は解体が必要になることもあります。解体することで、家としての資産価値を失ってしまうという点はもちろんですが、固定資産税などの軽減措置が適用されなくなる点も、大きな負担となります。
通常、住宅が建っている土地には「小規模宅地の特例」が適用されるため、固定資産税や都市計画税が6分の1に軽減されています。空き家を解体して更地にすると、この特例が適用されなくなり、固定資産税が数倍になってしまうケースがあります。
また、更地にしない場合でも、空き家の劣化が進み『特定空き家』や『管理不全空き家』に指定されると、市町村の判断で軽減措置が解除される場合もあります。特定空き家に指定されないために、定期的な点検や見回り、修繕といった適切な対応が重要です。
空き家が劣化する原因と対処法

空き家の劣化にはいくつかの要因があります。多くの空き家では、これらの要因が複合的に作用し、深刻な事態を引き起こしています。
どのような理由で空き家が劣化していくのかを知って、早めに対策を取るように心がけましょう。
湿気とカビ
空き家になると人の出入りがなくなるため、通風が行われなくなり湿気がたまりやすくなってしまいます。湿気はカビの発生を引き起こし、室内の建材や家具を劣化させる原因となります。
空き家の場合、雨漏りにもすぐには気付けないため、ひどくなると天井は抜け落ち畳やその下の床もボロボロな状態です。このような状態になると、修繕には多大な費用が必要となり、建て替えるしかなくなってしまいます。
- 通気や換気
- 破損部分の修繕や防腐処理
害虫や害獣の侵入
人が居なくなった空き家には、害虫や害獣が住み着きます。シロアリは家の内部を食い荒らして柱や壁をもろくさせ、倒壊のリスクを高めます。
外の軒先や天井裏にハチが巣を作ると、周辺住民の安全な暮らしを脅かすことになるでしょう。最近では、ネズミや野良猫などの小動物だけでなく、ハクビシンやアライグマなどの害獣被害も多く報告されています。
こうした害獣たちは繁殖力が高く、鳴き声や糞尿などで周辺に住む人々にも大きな迷惑となってしまうのです。
- 日常的な見回り
- 侵入箇所をふさぐ
- 駆除の依頼
水漏れと配管の破損
空き家の配管は、使用されない期間が長いほど劣化のリスクが高まります。配管のサビや詰まりが進行し、水漏れや破裂が発生しやすくなると、建物全体の劣化を助長し修理費用を大幅に押し上げる要因となります。
空き家の汚水処理が下水道ではなく浄化槽だった場合、法定検査や清掃などの管理が必要です。点検を怠ると罰則が科される場合もあるため注意しましょう。
1年以上空き家になる場合は、浄化槽の休止を行います。休止前には清掃が必要で、適切に行われていないと悪臭や土壌汚染の原因になるリスクがあります。
- 排水設備の通水
- 封水の注入
屋根や外壁の劣化
外部にさらされる屋根や外壁は、定期的な点検やメンテナンスが行われないと劣化が進みます。雨漏りや亀裂が発生し、建物内部に水が侵入する原因となります。
屋根や外壁の劣化は安全性に影響があるだけでなく、周囲の景観を損なうという点も問題です。また、近くに倒壊しそうな空き家があれば、その空き家周辺の資産価値まで下げてしまうことになりかねません。
- はがれた部材の撤去・補修
- 防さび処理
- 積雪の状況に応じた雪下ろし
電気系統の不具合
電気系統は、長期間使用されないことで劣化が進みやすく、火災のリスクが高まることがあります。また、ネズミなどの害獣が電気配線をかじることで、漏電やショートが発生し、火災につながるケースも報告されています。
こうしたリスクを踏まえると、空き家の適切な管理のために電気を使用する場面もあるため、電気契約の解約は慎重に判断することが大切です。使用状況や管理頻度に応じて継続の有無を検討しましょう。なお、管理のために訪問しない間は、メインブレーカーを切っておくことで、漏電による火災のリスクを軽減できます。
- 定期的な点検
- 害獣の駆除
不法侵入や破壊行為
放置された空き家は不法侵入や破壊行為の標的になりやすく、注意が必要です。最近では、空き家を利用した特殊詐欺被害金の受け渡しや、密輸された不正薬物の受取場所に指定されるなどの被害も発生しています。
空き家の表札に知らない名前が貼られていないか、ポストに不審物が投函されていないかを日常的にチェックしておく必要があります。合鍵を電気やガスのメーターボックスなどに入れておくことは、危険ですので止めましょう。
気になることがあれば、すぐに警察へ相談してください。
- 日常的な見回り
空き家を自分で管理する方法

空き家の管理は、最低でも月に1回程度は行う必要があります。家の劣化が進行するのを遅らせ、雨漏りなどの異常を早期発見するために、なるべく頻繁に空き家を訪れて状態をチェックしておきましょう。
- 近隣住民への挨拶
- 内部の通気と清掃
- 外回りの清掃とチェック
作業前には近隣住民へ挨拶し、不在中に空き家に変わったことがなかったかを確認しておくとよいでしょう。近隣住民と普段からコミュニケーションを取っておくと、問題が起きた際に連絡してもらうこともでき、トラブルを未然に防げます。
施錠確認後に空き家に入り、室内の通気や換気を行います。すべての窓を開け、タンスや押し入れも開けて換気を行いましょう。
天井や壁に雨漏りの跡がないか、床のたわみがないかなどもチェックしておきます。水道が使用可能な場合は、通水作業も行ってください。
内部の清掃・点検が終わったら、家の外回りのチェックを行います。草刈りや落ち葉の処理、屋根や外壁のチェックをして終了です。
空き家を適切に管理することはなぜ重要?

空き家を適切に管理するには、大きな手間と費用がかかります。なぜ手間暇かけてまで空き家を管理しないといけないのか、その理由を理解していないと空き家の管理もおろそかになってしまうでしょう。
本章では、空き家を適切に管理することがなぜ重要なのかを詳しく解説していきます。
資産価値の維持ができる
空き家を適切に管理することは、資産価値の維持という観点から極めて重要です。空き家は放置されると湿気やカビ、害虫被害、配管の破損、外壁や屋根の劣化などが進み、建物の状態が悪化します。
劣化が進んでしまうと建物の修繕費用は増加し、最終的な売却価格が大幅に下落する可能性があります。また、空き家の劣化は外見にも影響を与え、購入希望者からの印象も悪くなりがちです。
一方、定期的に空き家を清掃し適切にメンテナンスを施せば、建物を良好な状態に保つことができ、将来的により高い価格で売却できるでしょう。資産としての家の価値を守るためには、空き家の管理を怠らないことが重要です。
防犯対策ができ安全性が確保される
空き家の定期的なチェックは、不法侵入や破壊行為を防ぐ効果があります。手入れが行き届いていない家ほど、犯罪者や不審者のターゲットになりやすいため、家の外回りの清掃や除草作業も定期的に行っておきましょう。
空き家の管理に訪れた際に周辺住民への挨拶をしておけば、空き家に異常があった際にいち早く知らせてもらえます。空き家所有者として防犯意識があるということを、周辺住民へアピールしておくと、住民の安心感にもつながります。
法的責任を負うリスクを回避できる
劣化した空き家による事故や周辺への影響を防ぐことで、所有者としての法的リスクを軽減できます。例えば、空き家が倒壊して通行人へ怪我をさせてしまった場合など、多額の損害賠償責任が発生します。
また、空き家から火災が発生した場合には、所有者の管理不備を問われる場合もあります。空き家の管理を徹底しておくことで、こうした法的責任リスクも最小限に抑えることができるでしょう。
周辺地域の不動産価値を維持する
放置された空き家は、周辺地域の不動産価値を低下させる要因となります。空き家の管理が行われていないと、ゴミが不法投棄されゴミ屋敷のようになってしまったり、不審者が出入りして治安が悪化したりということにもなりかねません。
空き家を適切に管理することで、地域全体の資産価値を保つことにつながります。
あなたの空き家は大丈夫?空き家管理のチェックポイント

空き家を所有している方が、今の管理で問題ないかを簡単に確認できるチェック表です。チェック項目の数によって、空き家管理が正しく行われているかを判定します。
簡単にチェックできますので、ぜひ試してみてください。
- 月に1回以上、空き家の管理を行っていますか?
- 建物全体の傾き、屋根の変形などはありませんか?
- 外装材のはがれ・破損・汚損はありませんか?
- 不法侵入につながるような窓の破損はありませんか?
- 柱や梁の破損・腐朽(ふきゅう)はありませんか?雨漏りの跡はありませんか?
- アスベストが露出していませんか?
- 浄化槽の破損や排水設備の封水切れで、悪臭や不衛生が生じていませんか?
- 敷地内にゴミが散乱して景観を損ねていませんか?
- ゴミが腐敗して悪臭や不衛生な状態が生じていませんか?
- 門や塀、屋外階段に傾きや破損はありませんか?
- 擁壁にひび割れはありませんか?
- 庭木の幹が腐ったり、枝がはみ出して通行の妨げになっていませんか?
- 動物が棲みついて不衛生な状態が生じていませんか?
いかがでしたか?「はい」「いいえ」の数に応じて、空き家管理が正しく行われているかがチェック可能です。
- 全ての項目で「はい」にチェック: あなたの空き家管理は良好です。この調子で定期的な確認を続けましょう。
- 「いいえ」が1~5個: リスクが一部見受けられるため、早めに対応を行いましょう。
- 「いいえ」が5個以上: 状況が深刻で、早急に専門家の助けを借りる必要があります。
「いいえ」が付いてしまった方は、全ての項目がクリアできるように、空き家の管理状態を今一度見直してみてください。
空き家の管理が難しい場合の対処法は?

空き家管理の重要性は理解できたものの、離れて暮らしていたり仕事で忙しくしていたりすると、なかなか空き家まで手が回らないというのも現実です。そこで本章では、空き家の管理が難しいと感じる場合どのように対処すればいいのか、具体的な対処法について説明していきます。
空き家の管理でお困りの方は、参考にしてみてください。
空き家管理の会社に依頼する
空き家の管理が難しい場合は、空き家管理を専門に行う会社に依頼する方法があります。
- 定期的な屋外・屋内の巡回
- 目視による点検
- ポストの整理
- 換気・通水・簡易清掃の実施
費用は業者により様々ですが、毎月1回の訪問で数千円~1万円程度の費用がかかるところが多いです。家の中まで点検してくれるところから、外からの見回りのみで安価なところまで業者によりサービスは細分化されていますので、自分のニーズに合ったサービスを選ぶとよいでしょう。
賃貸物件として貸し出す
空き家を賃貸物件として活用すれば、収益を得られる可能性があるほか、人の出入りがあることで劣化の進行をある程度抑えられる場合もあります。ただし、賃貸物件として貸し出すにはリフォームが必要になることも多く、想定される費用と収益のバランスを考慮したうえで、活用方法を検討することが大切です。
管理できない空き家は売却も検討してみよう
所有者が管理を続けることが難しい空き家は、売却を検討するのも一つの方法です。売却によって空き家が地域に与える悪影響を軽減し、資産を現金化できる可能性もあります。
ただし、空き家の状態や立地条件によっては、買い手が見つからず、解体後に売却する必要が出てくることもあります。スムーズな売却を目指すには、物件周辺の事情に詳しい地域密着型の不動産会社へ相談するのがおすすめです。
また、不動産会社によっては「買取サポート」などのサービスを提供している場合もあり、買い手が見つからない場合でも対応してもらえることがあります。自分の状況に合ったサービス内容を確認しながら、信頼できる会社を選ぶことが大切です。
より具体的な対処法はこちら▼

まとめ:空き家を適切に管理して資産価値を守ろう!
本記事では、空き家が劣化する原因や空き家管理の方法などについて解説しました。空き家の適切な管理は、所有者にとっての資産価値を守るだけでなく、地域全体の環境と安全性を高める重要な役割があります。
劣化を防ぐために定期的な清掃や点検を行い、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、空き家が「負の遺産」となるリスクを軽減できるでしょう。また、自分での管理が難しい場合は、賃貸や売却といった選択肢を検討するのもいいかもしれません。
その際には、地域事情に詳しく、空き家の取り扱いに実績のある不動産会社に相談することがポイントです。
まずは、ご自身の空き家がどれほどの価値を持っているのかを知ることから始めてみましょう!