実家じまいとは?愛着ある実家を売却することを考える
「実家じまい」、この言葉を耳にすると、多くの方が心の中で複雑な感情と向き合っていることでしょう。
親の介護や相続の問題が迫り、愛着ある実家をどう扱うべきか、どのように進めるべきか、頭を悩ませている方も多いかと思います。あなたのその悩み、この記事を通じて解決への道筋が見えてくるでしょう。
ここでは、実家じまいの概要から具体的な進め方を丁寧に解説します。この記事を読むことで、複雑で時には難解な実家じまいのプロセスが、より明確で理解しやすいものに変わります。
目次
実家じまいとは?
まずは「実家じまい」について簡単に説明します。
実家じまいとは
実家じまいとは、親や祖父母が住んでいた家を整理して処分することを指します。主に子どもたちが行うもので、親が高齢になったり、親が亡くなった後に、家をどうするかを決めて進めます。目的は、家の維持費や手続きの負担を減らすためです。
家じまいとの違い
家じまいとは、実家じまいとは違って、自分が住んでいる家を自分で処分することを言います。これは、自分が年をとってから、自分の家を整理して処分する行為です。子どもたちに負担をかけないように、自分で家をどうするか決めます。
実家の整理が増えている理由
最近では、「将来、実家をどうするか」という問題に直面する人が増えています。特に、NPO法人空家・空地管理センターによると、2018年から2022年の5年間で実家の整理に関する相談が約15倍に増えました。これは、社会全体が高齢化していることや、家族の形が変わってきていることが原因です。
実家じまいの重要性
実家じまいは、単に家を処分するだけではありません。家族の思い出や歴史が詰まった家を整理するため、感情的にも複雑な作業です。しかし、適切に進めることで、家族の負担を減らし、次の世代に問題を残さないようにすることができます。また、計画的に実家じまいをすることで、将来的なトラブルを避けることができます。
実家の整理を考え始める理由
実家の整理、特に実家じまいは多くの家族にとって避けられない大きな課題です。以下の理由から、実家の整理を考え始めるケースが増えています。
親が施設に入った、または亡くなって空き家になった場合
親が施設に入居したり、亡くなったりすると、実家が空き家になることがよくあります。空き家になると、その管理責任は子どもたちに移ります。空き家は放置すると、老朽化の進行や不審者による占拠、不審火のリスクなど、多くの問題が発生する可能性があります。これらのリスクを回避するために、実家を整理して処分する必要性が生じます。
税金や維持費の支払いが負担になった場合
実家を所有し続けることには、固定資産税や都市計画税などの税金の支払いが伴います。さらに、定期的なメンテナンスや修繕も必要です。これらのコストは、特に空き家の場合、家族にとって重い負担となり得ます。税金や維持費の支払いが困難になった場合、実家を整理して処分することで、経済的な負担を軽減することができます。
老朽化した実家の管理や庭の手入れが手間になった場合
実家が年数を経て老朽化すると、その維持管理にはかなりの労力が必要となります。庭の手入れや家の修繕など、時間と労力を要する作業が増え、これを遠方から行うのは特に困難です。家の老朽化が進む前に整理を行うことで、将来的な大きな修繕費用や手間を回避することができます。
早めに実家じまいを始めるべき理由
実家じまいを考える際、早めに行動を開始することは非常に重要です。以下に、早期に実家じまいを行うべき具体的な理由を説明します。
親の状態が変化し、実家を売却できなくなる可能性
親が認知症などの健康問題に直面した場合、法的な意思決定が困難になることがあります。このような状況では、不動産の売却に必要な合法的な同意が得られなくなる恐れがあります。親が健康で意思決定が可能なうちに、実家の将来について話し合い、必要な手続きを進めることが賢明です。早めの対策により、スムーズな売却や処分が可能となります。
空き家は傷みが早く、メンテナンスや修繕が必要になる
人が住まなくなった家は、換気不足やメンテナンスの欠如により急速に劣化します。カビの発生、害虫の侵入、設備の老朽化など、多くの問題が生じやすくなります。これらの問題は、家の価値を低下させるだけでなく、将来的に高額な修繕費を要する原因にもなります。実家じまいを早めに行うことで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。
実家じまいを先延ばしにすることで、後悔や罪悪感を覚えるリスク
実家じまいを遅らせることは、精神的な負担を増大させることがあります。特に、親が亡くなった後に実家を売却する際には、感情的な葛藤や後悔を感じることが多いです。さらに、長期間放置された実家の処理には、多くの時間と労力が必要となり、家族間の関係にも影響を及ぼす可能性があります。早めに実家じまいを進めることで、これらの負担を軽減し、スムーズな処理が可能となります。
実家じまいの手順
実家じまいは、感情的な要素と実践的な手順が組み合わさった重要なプロセスです。
以下で実際の手順を解説していきます。
家族間での意思確認と合意形成
実家を手放すかどうかの決定は、家族全員の共同の決断が必要です。この段階では、家族会議を開催し、各人の意見や感情を尊重しながら話し合います。親の希望や健康状態、兄弟姉妹間の意見の違い、実家に対する思い出など、さまざまな観点からの議論を通じて、合意に至ることを目指します。
実家の整理と不要物の処分
実家には長年にわたる思い出や物品が溜まっています。これらを整理する作業は、心理的にも物理的にも大きな挑戦となることがあります。まずは家族で分担し、家財道具、衣類、書類などを整理し、不要な物は適切に処分します。形見分けやリサイクル、寄付など、さまざまな方法で物品を処理することが可能です。
実家の売却方法の決定
実家をどのように売却するかは、その状態や市場価値、家族の将来計画に基づいて検討する必要があります。建物がまだ良好な状態であれば、建物付きでの売却が考えられます。しかし、建物が老朽化している場合や市場での需要が低い場合は、解体して土地として売却することが有効です。この選択には、不動産専門家の意見を求めることも有効です。
実家売却のメリットとデメリット
次に、実家を売却する場合のメリットとデメリットを押さえていきましょう。
メリット:財政的な自由と責任の軽減
財政的なリリース:実家の売却は、しばしば大きな金銭的利益をもたらします。この一時的な財政的なリリースは、新しい投資の機会を提供するか、長期的な金融計画の一環として活用することができます。このような資金は、子供たちの教育、退職計画、あるいは新たな住宅購入への一歩として有効活用できる貴重なリソースです。
維持費用からの解放:売却後は、実家の維持に関連する税金やその他の維持費用の支払いから解放されます。この責任の軽減は、月々の予算に余裕をもたらし、経済的なストレスを減少させます。
デメリット:市場の不確実性と販売の課題
市場条件への依存:実家の場所や状態によって、市場での需要が左右されることがあります。特に立地が不利であるか、家が大きく老朽化している場合、理想的な買い手を見つけるのが難しい場合があります。これは、売却プロセスが予想よりも長引く原因となることがあります。
売却価格の不確実性:また、希望通りの価格で売却できるとは限らないという不確実性があります。市場の動向、家の状態、そして地域の不動産状況によっては、期待した価格よりも低い価格での売却を余儀なくされることも考えられます。
まとめ
実家じまいは、心の奥深くに響く家族の物語の一つであり、そのプロセスを進めることは、私たちの生活において重要な節目となります。この記事を通じて、実家じまいのプロセスが少しでも明確に、そして理解しやすく感じられたなら幸いです。
そして、実家じまいを成功させる鍵は、計画的に、かつ感情的な側面を丁寧に扱うことにあります。親の介護や相続問題を見据えながら、愛着ある実家に別れを告げるこの時期は、家族の絆を再確認し、次世代への想いを繋げる機会でもあります。
最後に、実家じまいは一人で背負い込むものではありません。家族や専門家とのコミュニケーションを大切にし、共に考え、行動を共有することが、この複雑なプロセスをスムーズに進めるカギとなるでしょう。不動産売却や相続についてのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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この記事を監修した人
後楽不動産 売買事業部係長 岩富
26年の不動産売買経験と宅建士、賃貸不動産経営管理士の資格を持つ。豊富な知識と実績で、不動産売買に関するサポートを行う。