専属専任媒介契約とは?メリット・デメリットも併せて解説

「専属専任媒介契約とは?メリット・デメリットも併せて解説」

不動産を売却する際、売り手と不動産会社との間で結ばれる「媒介契約」は、売却プロセスの成功において非常に重要な役割を果たします。特に「専属専任媒介契約」は、その特徴とメリットを理解し適切に活用することで、売却活動を大きく前進させることができます。

しかし、その一方で、契約の種類によっては注意すべきポイントもあります。この記事では、専属専任媒介契約の基本から、選択する際の利点と留意点について、分かりやすくご紹介します。

不動産をスムーズに、そして効率的に売却するための秘訣をお探しの方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

専属専任媒介契約について

専属専任媒介契約について

専属選任媒介に関して、他の媒介契約と項目ごとの比較も含めて検討してみましょう

専属専任媒介契約とは

専属専任媒介契約では、売り手は一つの不動産会社だけと契約します。この契約をしたら、他の会社に売却を依頼することはできませんし、自分で買い手を見つけたとしても、その取引を成立させることができません。不動産会社は契約から5日以内に物件情報をレインズに登録し、売り手には週に1回以上の進捗報告をする必要があります。

専任媒介契約とは

専任媒介契約も、専属専任媒介契約と同じく、売り手は一つの不動産会社とだけ契約します。しかし、大きな違いは、売り手が自分で買い手を見つけた場合、その取引を成立させることができる点です。不動産会社は契約から7日以内に物件情報をレインズに登録し、2週間に1回以上の進捗報告が必要です。

一般媒介契約とは

一方、一般媒介契約では、売り手は複数の不動産会社に仲介を依頼することができます。また、売り手自身が買い手を見つけた場合の直接取引も可能です。この契約では、不動産会社にレインズへの登録義務や定期的な報告義務はありませんし、特定の契約期間も法律上設けられていませんが、通常は3ヶ月間で契約されます。

まとめると
  • 専属専任媒介契約:1社のみと契約、自分で買い手を見つけても取引不可、レインズへの速やかな登録と週1の報告が必須。
  • 専任媒介契約:1社のみと契約、自分で買い手を見つけた取引可、レインズへの登録と2週間に1回の報告が必須。
  • 一般媒介契約:複数社と契約可、自分で買い手を見つけた取引も可、レインズへの登録や定期的な報告は不要。

専属専任媒介契約のメリット

専属専任媒介契約のメリット

専属専任媒介契約を選ぶことの利点について解説していきます。

積極的な不動産会社の活動

専属専任媒介契約を結ぶ一番の利点は、不動産会社が売却活動に対して積極的に取り組んでくれる点です。この契約形態では、売却活動を一社にのみ委託するため、その会社は成功報酬を目指して一生懸命に働きます。これは、依頼を受けた不動産会社が「成約に至らせたい」と強く願うからであり、細かい進捗報告や丁寧な対応が期待できます。結果として、物件の売買が迅速に進み、依頼者様にとって非常に大きなメリットとなります。

活動窓口の一本化

専属専任媒介契約のもう一つのメリットは、すべての活動窓口が一箇所に集中することです。物件が不動産情報ネットワークに登録されると、さまざまな不動産会社から問い合わせがあり、内見のスケジュール調整など多くのやり取りが発生します。一般媒介契約では、これらを複数の会社と行う必要がありますが、専属専任媒介契約では一つの会社がこれらすべてを代行してくれます。これにより、依頼者様の負担が大幅に軽減されるのです。

充実したサービスの提供

最後に、専属専任媒介契約では、通常の契約よりも充実したサービスを受けられる可能性があります。ホームステージングやハウスクリーニング、買取保証など、売却活動をサポートする多様なサービスを提供している不動産会社が増えています。専属専任媒介契約を結ぶことで、これらのサービスをより手厚く受けられることも多く、売却活動において大きなアドバンテージとなり得ます。

専属専任媒介契約のデメリット

専属専任媒介契約のデメリット

専属専任媒介契約にはいくつかのデメリットがあることも知っておいてください。

積極性の欠如

不動産会社が「仲介手数料が確保できるから」という理由で、あまり積極的に売却活動をしない場合があります。たとえば、「専属専任媒介契約を結ぶと仲介手数料を半額にします」と言っておきながら、実際にはインターネットやレインズに物件を掲載するだけで、積極的な売却活動を行わない会社も存在します。仲介手数料を安くするということは、その分売却活動にかける経費を抑えるということを意味するので、この点は注意が必要です。

囲い込みのリスク

専属専任媒介契約では、「囲い込み」をされるリスクもあります。これは、あなたが売却を依頼した物件を、他の不動産会社から来た買い手には紹介しないようにする行為です。不動産会社は、自社で買い手を見つければ、売主からも買主からも仲介手数料を得られるため、他社からの問い合わせを断ってでも、自社だけで売買契約を成立させようとするのです。

これは売主の利益を損なう悪質な手法ですが、実際に囲い込みが行われているかを判断するのは難しいです。ただし、レインズに登録された後は、専用ページで自分の物件の取引状況を確認できるため、囲い込みが行われていないかチェックすることが可能です。

専任専任媒介契約がおすすめの人

専任専任媒介契約がおすすめの人

専属専任媒介契約がおすすめな人の特徴について説明していきます。

早期の売却を希望される人

もし、ご自身の不動産を「早く売りたい」とお考えでしたら、専属専任媒介契約が非常にお勧めです。この契約により、売却活動を一つの不動産会社に全て託すことになりますが、それはその会社が売却に関する活動を積極的に行ってくれることを意味します。なぜなら、契約された不動産会社は、3ヶ月以内に買い手を見つけることができれば仲介手数料を確実に受け取ることができるからです。加えて、物件情報を契約締結後5日以内にレインズに登録する義務があるため、買い手を早期に見つける可能性が高まります。

さらに、専属専任媒介契約では、不動産会社からの定期的な進捗報告(最低でも週に1回以上)が義務付けられています。これにより、売却活動の状況を密に把握することができ、安心してお任せいただけるというメリットがございます。

手間を最小限に抑えたい人

また、ご自身の貴重な時間や労力をできるだけ売却活動に費やしたくないとお考えの場合にも、専属専任媒介契約は大変適しています。この契約形態では、売却に関わるすべての業務を一つの不動産会社に委ねることになるため、複数の会社とのやり取りによる手間が省けます。

不動産売却は予想外の事態に直面することも少なくありませんが、一社のみとの連携であれば、そのような煩わしさを軽減することが可能です。そして、専属専任媒介契約では、定期的な進捗報告を受け取ることができるため、ご自身で積極的に情報を求める必要がなく、スムーズな売却プロセスを望む方には理想的な選択と言えるでしょう。

専属専任媒介契約を結ぶ前の注意点

専属専任媒介契約を結ぶ前の注意点

専属専任媒介契約を結ぶ前に、皆さんが知っておくべきいくつかの重要なポイントがあります。これらは、将来的に不動産をスムーズに売却するために、特に注意しておきたい事項です。

解約条件を知っておく

まず、契約を解約する可能性について考えておくことが大切です。何らかの理由で契約を解除したいと思ったとき、専属専任媒介契約の場合は解約に特定の条件が伴うことがあります。例えば、契約期間が3ヶ月以内の場合、解約すると違約金が発生する可能性があります。また、広告費や宣伝費など、契約書に記載されている途中解約時の費用負担についても事前に確認しておくことが重要です。

売れなかった場合の対策を考えておく

次に、もし物件が期待通りに売れなかった場合の対策についても考慮しておく必要があります。専属専任媒介契約で成果が出ない場合、一般媒介契約への切り替えも一つの選択肢となり得ます。物件が売れない原因には、設定価格の問題や不動産会社の対応に問題がある可能性も考えられるため、これらの点についても事前に計画を立てておくと良いでしょう。

まとめ

不動産を売る際に、売り手と不動産会社が結ぶ「媒介契約」はとても大事です。中でも「専属専任媒介契約」は、売り手が一つの不動産会社だけに売却活動を任せることになります。これにより、不動産会社はより一生懸命に売却活動をしてくれる可能性が高まりますし、売り手は進捗状況の報告を定期的に受け取ることができます。

しかし、もし売却がうまくいかなかったときのことも考えておく必要がありますし、契約を解約する際の条件もよく確認しておくべきです。

専属専任媒介契約の大きなメリットは、売却活動の窓口が一箇所に集中することと、不動産会社が積極的に動いてくれる点です。しかし、物件が売れ残った場合の対応策や、信頼できる不動産会社をどう選ぶかも大切です。物件が思うように売れなかった時には、不動産会社に買い取ってもらう方法もありますが、その場合は市場価格よりも少し安くなるかもしれません。

簡単に言うと、不動産を早く、そしてできるだけラクに売りたいなら「専属専任媒介契約」はいい選択肢です。ただし、不動産会社選びや契約の細かい条件には注意しましょう。そして、どの不動産会社と契約するか決める前に、複数の会社の査定を比較してみることも忘れずに。

売買事業部岩富係長

この記事を監修した人

後楽不動産 売買事業部 岩富

長年の不動産売買経験と宅建士、賃貸不動産経営管理士の資格を持つ。豊富な知識と実績で、不動産売買に関するサポートを行う。

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