相続した空き家を賃貸として貸したい!メリット・デメリットも解説

「久しぶりに実家に帰ってみたら、近所に空き家が増えていて驚いた」という経験をした方もいるかもしれません。特に、昭和後期にベッドタウンとして栄えた地域では、住民の高齢化に伴い空き家問題が顕著化しています。

実家を相続した方は、その家を売却するか賃貸に出すか、決断を迫られることがあるでしょう。いざというときに困らないように、相続した空き家の活用方法について事前に知識を深めておくことが大切です。

本記事では、相続した空き家を賃貸物件として貸し出すことのメリットやデメリット、そして注意点について解説していきます。今後空き家を相続する可能性がある方や、現在空き家問題に直面している方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

相続した空き家を賃貸に出す?迷ったときの判断基準は?

相続した空き家を賃貸に出すかどうか迷ったときは、収益が見込めるかが重要な判断基準となります。まずは、相続した物件の周辺地域で賃貸物件の需要がどれくらいあるのかを調べてみましょう。

物件検索サイトで最寄り駅や町名を検索すると、賃貸物件の数や家賃相場が大まかに把握できます。ファミリー向けの物件が多い場所ならば、中古の一戸建ては賃貸物件としてニーズがあります。

子供が小さい子育て世代にとっては、庭や駐車場があり子供が大きな声を出しても気を遣わないで生活できる中古戸建は、魅力的な賃貸物件です。所有している物件が周辺地域のニーズに合致していれば、苦労なく借り手が見つかる場合もあるでしょう。

賃貸による収入と、物件を維持管理する費用を比較してみて、収益がのぞめるようであれば賃貸物件として貸し出すことを検討してみてもよいでしょう。

相続した空き家を賃貸に出すメリット4点

相続した空き家を賃貸に出すかどうかを悩んだときには、賃貸に出すことでどのようなメリットとデメリットがあるのかを、知っておくべきです。本章では、空き家を賃貸に出すメリットを4つ紹介していきます。

家賃収入が見込める

空き家を賃貸に出す最大のメリットのひとつは、家賃収入を得られる点です。物件の所在地や間取りによって家賃収入は異なりますが、安定した収入源として期待できます。

もちろん、物件の維持管理費用や税金、リフォーム代金などの費用を差し引いても収益が見込める場合、賃貸に出すことは大きなメリットとなるでしょう。

住宅の劣化が防げる

空き家の状態が長く続くと、人が住んでいるときよりも劣化が早くなります。劣化が早くなる理由は、換気が行われないためにカビが生えやすくなったり、雨漏りなどに気付かず部屋が傷んだりするためです。

空き家の劣化を防ぐためには、こまめに換気を行ったり掃除や修繕をしたりする必要がありますが、遠方に住んでいてなかなか頻繁に家に行けないという人もいるでしょう。管理を代行してくれる会社に頼む方法もありますが、費用もかかってしまいます。

空き家を賃貸物件として貸し出して、人に住んでもらうことで住宅の劣化を防ぐことにもつながります。

将来自分が住める

空き家を手放さずに賃貸物件として活用すると、将来自分が住みたくなった時にそのまま利用できます。今は別の場所に住んでいても、老後は生まれ育った場所に戻りたいと考えている人も少なくありません。

また、子供や孫のために家を残してあげたいと思う気持ちもあるでしょう。一度手放してしまうと、将来自分や家族が住めなくなってしまうため、少しでも迷う気持ちがあるならば、賃貸を検討してみるのもおすすめです。

家を手放さなくてもいい

実家を手放した人の多くが、寂しさや喪失感を感じているようです。とくに、先祖代々に受け継がれてきた家を自分の代で手放した場合、喪失感に加えて自責の念に悩まされる人も多いと聞きます。

自身の気持ちの整理がつかないことに加え、親戚や近所の人からの声も気になるところです。一旦実家を売却するという大きな決断を先送りして、将来自分が住めるチャンスを残しておけるのも、賃貸物件として貸し出すメリットと言えるでしょう。

相続相続した空き家を賃貸に出すデメリット3点

相続した空き家を賃貸に出すときは、メリットと同時にデメリットも考えておかないといけません。メリットと比較してデメリットの方が多くなる場合は、賃貸に出すことを考え直した方がよいでしょう。

本章では、空き家を賃貸に出すデメリットのうち、最も問題になりやすい3つのポイントについて解説していきます。

リフォームなど経営コストがかかる

空き家を賃貸に出す前には、物件の現在の状況を細部まで把握し、必要であればリフォームを行います。借り手が重視するポイントは、水回りが古くなっていないか、雨漏りの形跡がないか、壁や床の張替は済んでいるかなど多種多様です。

リフォームにかける費用は家賃収入で回収することになりますが、1~2年以内に回収できる金額におさめないと損をしてしまいます。リフォームにかける費用が不足している場合は、DIY可の賃貸物件として貸し出す方法も検討してみましょう。

入居者とトラブルになる可能性

空き家を賃貸として貸し出す際に、不動産会社に委託せずに入居者と直接やり取りをしていると、様々なトラブルに自身が対処しなくてはなりません。最も多いのが家賃滞納に関するトラブルです。

家賃滞納している入居者を強制退去させようとしても、入居者は借地借家法という法律で守られており、簡単には実行に移せません。また、入居者の騒音問題やゴミ出しのルール無視、内緒でペットを飼うなどのトラブルで近隣の住民にも迷惑がかかる可能性があります。

入居者トラブルは起こるものとして考え、それ相当の覚悟をもって賃貸経営にのぞみましょう。

募集の手間や空室リスク

空き家のリフォームを終えて、いざ貸し出しへとなった場合には、なるべく早く入居者を見つけなくてはいけません。入居者を募集するのに、口コミだけではなかなか見つかりませんので、できれば不動産会社による賃貸管理業務の代行をおすすめします。

業務委託の費用はかかりますが、募集の手間や空室のリスクを考えると、仲介業務はプロに任せた方が安心です。しかし、不動産会社に仲介を委託しても、物件が古かったり立地がよくなかったりすると空室リスクは避けられない問題です。

空室リスクには、賃料を下げる・礼金なし物件にするなどの対策が必要となるでしょう。

相続した空き家を賃貸に出すときの注意点

本章では、相続した空き家を賃貸に出す際に注意しておいた方がよい点について解説していきます。

売却時期を逃して損してしまう

家の売却にはベストな時期が存在します。たとえば木造一戸建ては築20年以内だと買い手の税金が軽減されるため、築20年を超えると売れにくくなります。

ほかにも、築40年で家の価値はゼロになると言われており、築40年以上経過した物件はなかなか買い手が付きません。売却の決心がつかず賃貸に出して数年間の時間稼ぎをしたことで、数年前なら売れたはずの家が売れなくなることもあり得ます。

売却時期の判断基準には、築年数だけでなく金利の動向や不動産相場の動きなど、多方面からのチェックが必要です。

確定申告の手間や費用がかかる

賃貸経営を行うと、年に1回の確定申告義務が発生します。本業があり副業として賃貸経営を行っている場合も、副業所得が20万円を超えると確定申告をしないといけません。

確定申告のためには、1年間の収入と必要な経費を把握する必要があります。常に領収書を保管し、取引の記録を取っておいてください。

自分でやる場合は大変手間がかかりますし、専門家に任せると費用がかかります。とは言え、自身が所有する物件の収支を把握しておくことは、経営者として基本的な責任と言えるでしょう。

相続した空き家を売却するメリットとデメリット

相続した空き家を賃貸にするか売却するか迷ったときは、それぞれのメリットとデメリットを比較して検討してみましょう。本章では、空き家を売却する場合のメリットとデメリットを紹介していきます。

【空き家を売却するメリット】維持費がかからない

空き家の維持費の内訳は?
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 火災保険料
  • 光熱費の基本料金
  • 往復の交通費
  • 庭の手入れ費用 など

誰も住んでいない空き家でも、不動産を所有していることによって税金がかかります。自分がすでにマイホームを所有している場合は、2つの家の固定資産税を払わなくてはいけません。

時々実家の空き家を訪れて掃除する場合、電気や水道は開通したままにしておかないといけないので、使っていない月でも基本料金が発生します。実家が遠方なら、往復の交通費もかさむことでしょう。

賃貸にすれば家賃収入で税金などの維持費を相殺できますが、空き家のままだとこれらの維持費をただ払い続けるだけになってしまいます。空き家を売却してしまえば、すべての維持費が今後一切不要になるのが一番のメリットです。

【空き家を売却するデメリット】手放したことを後悔する可能性もある

実家の空き家を手放して後悔したという人は、心理的な面と金銭的な面の2つの理由があるようです。実家を手放して後悔した心理的な理由は、家を売ったことへの罪悪感や喪失感です。

家族の思い出がつまった実家を自分が売ることになり、親や兄弟に対して申し訳ないという気持ちと、帰る家がなくなって心にぽっかり穴が開いたような気持ちになります。その結果、「やっぱり売らなければよかった」と思う人が多いようです。

金銭的な面の後悔は、「思っていたより高く売れなかった」「リフォーム費用の負担が大きい」などです。売却を急いだために価格を下げる結果になったケースや、リフォーム後でないと売却のめどが立たなかった場合などがあります。

こうしたデメリットがあることで、売却をやめて賃貸として貸し出す方を選ぶ人も多くなっています。

賃貸以外で空き家を活用する方法

本章では、賃貸以外の空き家活用法を紹介していきます。売却と賃貸どちらにもメリットとデメリットがあるため、ほかの選択肢も視野に入れながら考えてみるとよいでしょう。

①自治体による空き家対策(空き家バンク)の活用

増え続ける空き家に歯止めをかけたいと、岡山県の自治体も空き家バンクなどの対策を始めています。本章は空き家問題解消のために特色ある取り組みを行っている、岡山県の市町村を紹介していきます。

高梁市 空き家バンクツアー

高梁市では移住希望者向けに、1泊2日で高梁市内の空き家を複数見学できるツアーを開催しています。高梁市がおすすめする空き家が一度に見られるだけでなく、先輩移住者や地元住民との交流会も行われます。

宿泊するのは市内のホテルなど宿泊施設で、市の「お試し暮らし制度」助成金が適応されて1泊4,000円割引となりお得に宿泊可能です。人気のツアーで毎回満員になるというのも頷けます。

和気町 お試し住宅制度

和気町では直近7年間で約700人の移住があり、その7割は20代から40代の若い世代です。和気町への移住者が多い理由のひとつに、和気町で実施されているお試し住宅の制度があります。

お試し住宅は、必要最低限の家具家電・Wi-Fiなどが準備されており、気軽に和気町での暮らしを体感できます。また「空き家改修補助金」や「空き家片付け補助金」など、自治体によるサポートが充実しているのも空き家所有者には嬉しい制度と言えるでしょう。

②シェアオフィス・福祉施設・宿泊施設などとして活用

実家の空き家を活用する方法として、個人への賃貸だけでなく、シェアオフィスや福祉施設・宿泊施設などに使ってもらうという事例もあります。コロナ禍をきっかけにテレワークが一気に普及し、会社以外の場所で働く人が増えたことで、シェアオフィスやコワーキングスペースの需要が増加しました。

また、一戸建てをリフォームして、デイサービスやグループホームなど福祉施設として活用するケースもあります。実家が観光地にあるならば、民泊への活用も可能です。

空き家の活用方法は賃貸以外にもあるということを、ぜひ覚えておいてください。

③更地にして駐車場など

実家の場所付近で駐車場の需要があるならば、更地にして駐車場にするという手もあります。駐車場にしておけば、将来自分が実家のあった場所に家を建てて住みたいと思ったときも、対応できます。

ただし、空き家を解体すると固定資産税や相続税の負担が大きくなってしまう可能性もあり、注意が必要です。

まとめ 相続した空き家を賃貸にする?まずは家の価値を不動産会社に査定してもらおう

本記事では、相続して空き家を賃貸として貸し出すことのメリットとデメリットを、詳しく解説してきました。大切な実家が空き家になったからと言って、すぐに解体したり見知らぬ人に貸し出したりはできないのが、残された家族の正直な気持ちでしょう。

とは言え、賃貸に出す、売却する、どちらを選ぶとしても、まずは今の空き家がどのくらいの価値があるのかを知っておく必要があります。後悔のない選択をするために、実家の空き家を信頼できる不動産会社に査定してもらうことから始めてみてはどうでしょうか。

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