任意売却とは？メリット・デメリットも併せて解説

2023年5月20日2024年3月3日

「競売にかけられる可能性がある自宅を、より有利な条件で売却したい」と考えている方は多いでしょう。

任意売却は、競売よりも有利な条件での売却を可能にする選択肢です。しかし、このプロセスには重要な注意点が存在し、適切な情報収集が不可欠です。

この記事では、任意売却のメリットと、その過程で気を付けるべきポイントについて詳しく解説します。任意売却によって、競売よりも良い条件での売却が可能であること、そしてそのために必要なステップを具体的にご紹介します。

記事を読み終えることで、任意売却のプロセスを理解し、より有利な条件での売却戦略を立てることができるようになります。任意売却に関するあなたの疑問や不安が解消され、不動産の売却に対する自信が高まるでしょう。自宅を有利に売却するための第一歩を、この記事から始めましょう。

任意売却とは

任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった場合に、自主的に不動産を売却する方法です。競売とは異なり、持ち主の意思に基づいて市場で売却が行われます。任意売却には債権者の同意が必要で、不動産会社が債権者との間に入って手続きを進めます。このため、競売よりも有利な条件で売却できる可能性があります。

また、任意売却の場合には引越し代を捻出することができる場合もあります。さらに、自宅に住み続けながら売却することもできるため、安心して新たな住まいを探すことができます。

ただし、任意売却の場合には債権者の同意が必要なため、手続きが時間がかかる場合があります。また、不動産価格の下落などのリスクもあります。

任意売却を選択するケース

任意売却は、特定の状況下で選ばれることがあります。

住宅ローンの返済が厳しい場合

失業、病気、家庭の事情など予期せぬ出来事により、住宅ローンの返済が難しくなったとき、毎月の返済が大きな負担となり、生活に支障をきたすこともあります。このような状況で任意売却を選ぶと、返済の義務から解放される可能性があり、金融機関との交渉を通じて返済条件の見直しや任意売却が認められる場合もあります。

自宅のローンが市場価格より高い場合

自宅のローンが市場価格より高い場合、自己破産や競売に進む前に任意売却を選択することは、損失を最小限に抑える方法となり得ます。自己破産や競売では不動産価値が大幅に下がる可能性があるため、任意売却ではより良い価格で売却できるチャンスがあります。

競売や自己破産の選択肢と比較して

住宅ローンの返済に困った際には、競売や自己破産も選択肢として考えられますが、任意売却はこれらの方法と比較して比較的有利な選択と言えます。金融機関との直接交渉を通じて、返済条件の見直しが可能であり、自らの状況に合わせた柔軟な対応が期待できるからです。

任意売却のメリット

通常に近い方法で売却できる

任意売却と通常売却には、金融機関が売却価格を決めるなどの違いがありますが、実際の売却方法はほとんど変わりません。執行官の訪問や裁判所からの呼び出しもないため、プライバシーが守られます。さらに、売却後の引き渡し日（退去日）も買主と相談して決めることができるため、所有者の意思を反映しながら売却を進めることができます。

近所の人にローン滞納が露呈しにくい

競売になると、自宅が広く知られることがあります。しかし、任意売却では通常の売却と同じ販売方法を採用するため、ローン滞納が露呈しにくくなります。近所の人との関係を悪化させることなく、売却を進めることができるのです。引っ越しを考えている場合には、特にメリットが大きいでしょう。

高い金額で売却できる可能性がある

任意売却では競売よりも高い売却価格を期待できます。時間的な制約があるため、通常の売却よりも多少安い価格で急いで売却することもあるかもしれませんが、それでも市場価格に近い売却価格を目指すことができます。高い売却価格は、返済負担の軽減や将来の経済的安定につながります。

残債は分割での支払いも可能

通常、滞納した残債は一括での支払いが求められますが、任意売却では残債を分割で支払うことができます。債権者は任意売却の成功実績を踏まえ、収入状況や生活状況を考慮して返済計画を協議してくれます。返済負担を軽減しながら債務整理が可能なため、自己破産などの極端な選択をする必要がないのです。

現金を用意する必要がない

任意売却では、売却に関連する費用や債務を売却益から差し引くことができます。債務や仲介手数料、登記費用などは売却益から支払われるため、現金を用意する必要がありません。また、引越し費用や管理費、固定資産税の滞納金についても金融機関との交渉により捻出できる場合があります。経済的な負担を大幅に抑えられるため、経済的余裕がない人々にとって重要なメリットです。

任意売却のデメリット

任意売却は魅力的な選択肢ですが、その際には注意すべきデメリットも存在します。

金融機関の合意が必要

任意売却を進める上での大きなデメリットは、金融機関の合意が必要という点です。任意売却を希望しても、金融機関の合意が得られなければ手続きを進めることはできません。合意を得るためには、返済困難な理由や現状を誠意をもって説明する必要があります。金融機関の合意を得るためには、交渉や協議が欠かせません。また、連帯保証人が関与している場合は、その合意も不可欠です。

競売への移行リスク

任意売却の手続きを進める間に、競売の申し立てが同時進行している場合があります。任意売却が可能な期間を過ぎると、競売へと移行してしまう可能性に注意が必要です。買い手が見つからないまま一定期間が経過すると、競売手続きが進行し、任意売却が困難になる場合があります。

手続きには手間がかかる

任意売却は、一般的な売却と同様の手続きを要するため、自身で進める必要があります。不動産会社や弁護士、司法書士などの協力者を探す必要があります。競売と比較すると、主導権を自ら握りながら手続きを進める必要があります。競売の場合は裁判所が主導し、手続きが進んでいくため、自身で進める手間が少なくなります。

任意売却が不成立になる場合がある

任意売却の手続きを進めていても、不成立になる場合があります。例えば、債務者が協力的でない場合や、物件の内覧に十分な配慮がなかった場合です。また、売却価格が市場価格よりも高い場合も、不成立となりやすくなります。これらの要素が重なると、任意売却が困難になる可能性があります。

競売へ移行する可能性がある

任意売却を開始してから3〜8ヶ月が経過しても買い手が見つからない場合、競売へと移行する可能性があります。任意売却可能期間は競売開札日の前日までとされています。しかし、買主が決まった後も融資手続きや引っ越し先の調整などには時間がかかることがあります。競売の開札日の1ヶ月前までに買主が見つからなければ、競売への移行が高まるリスクに留意する必要があります。

悪質業者とのトラブルの可能性

任意売却の成功には、不動産業者の協力が欠かせません。しかし、経験の浅い業者に依頼してしまうと、任意売却の成功率が低下する可能性があります。任意売却には、一般的な不動産取引の知識だけでなく、金融機関ごとの経験則や借金問題に関する幅広い知識が必要です。任意売却専門の業者を選ぶか、債務整理を依頼する際は、司法書士や弁護士の紹介を受けることをおすすめします。