実はリフォーム不要?不動産売却でリフォームが不要な理由と費用を詳しく解説
自宅の不動産を売却する前に、リフォームをした方がいいのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。実は、不動産の売却前に高額なリフォームを行っても、投資に見合った成果が得られないケースはよくあります。
そのため「不動産売却前にリフォームは不要」であると言われることが多いのです。せっかく高い費用をかけてリフォームしたにもかかわらず、希望の金額で売却できないと、リフォーム代が無駄になってしまいます。リフォームを検討するならば、費用対効果を慎重に見極めなければなりません。
本記事では、不動産売却前にリフォームが不要である具体的な理由や、リフォームが有利に働くケースはどのようなときなのか、リフォームのメリットと費用などについて詳しく解説しています。これから不動産を売却予定で、リフォームのメリットデメリットや費用対効果について知りたい方は参考にしてみてください。
目次
不動産売却前にリフォームが不要な理由4つ
不動産売却前にリフォームが不要な一番の理由は、投資した金額に対して得られるリターンが少ない場合、リフォームを行う意味が薄れるからです。また、せっかく費用をかけてリフォームをしたのに、リフォームが原因で家が売れにくくなってしまっては本末転倒です。
本章では、不動産売却前にリフォームが不要だと言われる理由4つを解説していきます。
①リフォーム費用が高額になり割高感が出てしまう
中古住宅でリフォームをすると、家の状態によってはリフォーム箇所が多岐にわたる場合があります。部分的なリフォームであれば数十万円で済むこともありますが、家の内外どちらもリフォームするとなると、数百万円単位で費用がかかります。
リフォーム費用をそのまま売却価格に上乗せするとなると、周辺の相場よりも高い金額で売り出すことになり、割高感が出てしまうでしょう。リフォームで外見は綺麗になったとしても、築年数は変わらないため、価格条件ではじかれてしまうことも出てきます。
数十万円程度に収まる部分リフォームならばともかく、高額になるフルリフォームは避けた方が賢明です。
②リフォーム費用が回収できない可能性がある
物件を売却する前にリフォームを行う場合、その費用は売主が負担しなければなりません。自己資金を使うか、リフォームローンを組む必要がありますが、売却が想定通りに進まない場合、リフォーム費用を回収できなくなるリスクが生じます。
リフォームによって売り出し価格を引き上げることができますが、周辺の相場と比較して割高になり、競争力が低下する恐れもあります。たとえば、相場が2,000万円の中古物件に500万円をかけてリフォームし、2,500万円で売り出そうとしても、リフォーム費用全額を売却価格に反映させるのは難しく、実際には一部しか上乗せできないことがほとんどです。
仮に価格交渉が必要になり、1割の値引きを余儀なくされて2,250万円で売却した場合、リフォームにかけた500万円のうち250万円が回収できないことになります。つまり、高額なリフォームを行う場合、費用を全額回収できる保証はなく、逆に損失が発生するリスクもあります。
リフォームによって物件の魅力を高めることは重要ですが、リフォーム費用が売却価格に直接反映されるとは限りません。したがって、リフォームに踏み切る前には、費用対効果を慎重に検討し、無理のない計画を立てることが必要です。
③リフォーム期間が長くなり売却タイミングを逃してしまう
中古住宅のリフォームには、部分リフォームで1日~1週間程度、フルリフォームだと1か月~3か月程度の期間が必要です。不動産売却前にリフォームを行うと、リフォーム期間の分だけ売却活動に遅れが出てしまいます。
売り出すタイミングを見計らって売却活動を行うことも、不動産を高く売るためには重要なポイントです。リフォームに時間をかけすぎると、売却の最適なタイミングを逃してしまう可能性があるので注意しましょう。
④ニーズに合わないリフォームは逆効果の可能性がある
インテリアのテイストや外壁の色など、リフォームした部分が必ずしも買い手の好みに合うとは限りません。和室から洋室へのリフォームはよく行われますが、ファミリー層の場合は、寝室や子どもの遊び場として和室を1室は欲しいという声もよく聞かれます。
売主側が良かれと思って行ったリフォームも、買い手側のニーズに合っていないと逆効果になってしまうのです。また、最近では中古物件を購入して自分たちの好みにリフォームしたいと考える買い手も増えているため、割高になるリフォーム済物件は選ばれにくい傾向もあります。
せっかく行ったリフォームが無駄になる可能性があるため、売主は慎重に考える必要があるのです。
不動産売却前にリフォームするメリット3つ
前述したように、不動産売却前のリフォームはハイリスクローリターンの可能性があるため、リフォーム不要という意見が一般的です。しかしながら、売却する物件によってはリフォームすると有利に売却できる場合もあります。
売却前にリフォームが必要なケースは、明らかに壊れていたり故障したりしている設備がある場合です。修繕しないと売却が難しいような箇所があれば、リフォームを検討してみましょう。
本章では、リフォームを行うことで生じるメリット3つを解説していきます。
メリット①物件価値が上がる
築年数が経過している中古物件は、リフォームを行うことで物件価値が向上する可能性があります。こうした物件では、特にキッチンや浴室などの水回りが老朽化していることが多く、そのままの状態では購入希望者に敬遠されがちです。
購入希望者は、古く手入れが不十分な設備を見ると、修繕にかかる手間やコストを心配し、購入を躊躇することが少なくありません。特に水回りの状態が悪い物件は、生活の利便性に直結するため、物件全体の評価にも大きな影響を与えます。
そのため、築年数や設備の劣化状況に応じて、必要最低限のリフォームを実施することで、「すぐに快適に住める物件」としての魅力を高め、売却のチャンスを大きく広げることができます。
メリット②買い手へのアピールになる
リフォームを行うメリットのひとつが、リフォーム済であることが買い手へのアピールになるという点です。不動産情報検索サイトで物件を検索する際に、「リフォーム済」のチェック項目があることからもわかるように、リフォーム済の物件を探している人も一定数います。
リフォームで見た目が良くなると、買い手にも良いイメージを持ってもらえます。逆に見た目があまりにも悪いと、住んだ時のイメージがわかず購入意欲が低下する可能性があります。
リフォームしたことが買い手へのアピールポイントとして、物件に興味を持ってもらえるきっかけになるでしょう。
メリット③周辺の物件との差別化ができる
リフォーム済の物件は、リフォームをしていない物件と比べると、新しい設備や明るい雰囲気などから、差別化がはかれます。物件を探している人は、エリアと価格帯で検索することが多いため、同じ価格帯においてリフォーム済の物件と未リフォームの物件が存在する場合、実際に内覧した際の印象はリフォーム済の物件の方が優れています。
周辺が古い物件ばかりで魅力的な物件が少ない場合には、リフォームで一歩抜きんでることになり、売却を有利にできる効果的な方法です。
知っておきたい主なリフォーム箇所と費用
不動産売却前のリフォームは基本的に不要ですが、物件によってはリフォームをしたほうが売却に有利に働く場合もあります。リフォームを検討する際は、具体的な費用を把握し、費用対効果を慎重に検討することが必要です。
本章では、中古物件に実施することが多いリフォーム箇所と、費用についてまとめています。リフォーム検討する際の参考にしてみてください。
水回り(キッチン・浴室・トイレ)
リフォーム箇所 | 費用の目安 | 工期の目安 |
---|---|---|
キッチン交換 | 50~100万円 | 1週間 |
トイレ | 15~50万円 | 1日~2日 |
ユニットバスからユニットバスへの交換 | 50~150万円 | 4日 |
在来工法の浴室からユニットバスへの交換 | 70~150万円 | 4日~7日 |
水回りは毎日使う場所なので、設備の故障や劣化があると生活に大きな影響があります。湿気が多く劣化しやすい水回りは、15~20年程度でのリフォームが推奨されます。
水回りでリフォームを行うべき主な場所は、キッチン・浴室・トイレの3か所です。最新のシステムキッチンは、見た目が美しいだけでなく汚れが付きにくい機能やIH・食洗器など、生活を便利にする機能も含まれています。
浴室リフォームは、タイル貼りの在来工法浴室からユニットバスへの交換が一般的です。ユニットバスへのリフォームで掃除しやすくなり、断熱性や節水効果も期待できます。
室内の壁・床
リフォーム箇所 | 費用の目安 | 工期の目安 |
---|---|---|
クロスの張り替え | 4万円~6万円 | 1日~3日 |
壁面の塗装 | 4万円~15万円 | 1日~6日 |
畳の表替え(6畳) | 4万円~8万円 | 1日 |
畳の交換(6畳) | 8万円~13万円 | 1日 |
フローリング(6畳) | 9万円~14万円 | 1日~3日 |
フロアタイル(6畳) | 5万円~10万円 | 1日 |
クッションフロア(6畳) | 4万円~10万円 | 1日 |
室内の壁や床は汚れや劣化が目立ちやすい場所で、面積も広いため、リフォームすると部屋の印象が大きく変わります。リフォームの中では費用も安く工期も短いので、手軽にできる割に満足度が高いリフォームになるでしょう。
壁リフォームは、クロスの張り替えや塗装が主なメニューです。壁面は面積が広いためクロスを新しくするだけで部屋のイメージが一新できます。
床材は畳・無垢材フローリング・フロアタイル・クッションフロアなど、使用用途や好み、予算に合わせてさまざまな素材から選択できます。床材の張り方次第で、居室内の段差を解消してバリアフリー化することも可能です。
外壁・屋根
リフォーム箇所 | 費用の目安 | 工期の目安 |
---|---|---|
外壁塗装 | 60万円~ | 1週間~2週間 |
屋根のリフォーム | 50万円~ | 1週間~2週間 |
外壁塗装と屋根のリフォームは足場代なども必要になるため、他のリフォームに比べて費用は高額になります。外壁の塗装は10年ごと、屋根のリフォームは築20年以内には行った方が良いとされています。
劣化した外壁や屋根を放置していると、雨漏りやシロアリ被害などが進んでしまう恐れもあり、最悪の場合家の倒壊にもつながってしまいます。定期的に修繕箇所がないかのチェックを行い、必要に応じてメンテナンスを行うことが重要です。
玄関・庭
玄関ドア交換 | 20万円~ | 1日 |
ウッドデッキ造設 | 15万円~ | 1日 |
フェンス造設(1m) | 1.5万円~3.5万円 | 1日 |
駐車場造設(1㎡) | 1万円~ | 1週間~1か月 |
玄関や庭は家を訪れた人が最初に目にする場所であり、玄関や庭の美しさは家の第一印象を大きく左右します。最新の玄関ドアは見た目の美しさはもちろん、スマートフォンやリモコンで操作でき防犯性が高いため、小さい子どもやお年寄りがいる家庭でも便利で安心です。
庭が広く植木も多い家は、日々のメンテナンスや季節ごとの手入れが大変です。庭を減らして駐車場にするリフォームは、忙しくて庭の手入れに時間が割けないファミリー層に人気があります。
リフォーム不要で不動産売却を成功させるには?
不動産売却を成功させるには、必ずしもリフォームは必要ありません。ただし、不動産売却を成功させるために、リフォーム以外にもできる限りのことはやっておくべきです。
リフォーム不要で不動産売却を成功させるためには?
- ハウスクリーニングを徹底する
- DIYでプチリフォームする
- ホームインスペクションを実施する
- オープンハウスを開催する
- 信頼できる不動産会社に売却の相談をする
リフォームなしで費用を節約する分、ハウスクリーニングはプロに任せて徹底的に行いましょう。自分でできる範囲であれば、DIYでプチリフォームを行うのも有効です。たとえば、壁のペンキを塗り替えたり、小さな修繕を行ったりすることで、物件の印象を向上させることができます。ただし、DIYには注意が必要です。仕上がりが不十分だと逆に物件の評価を下げるリスクがあるため、簡単な作業にとどめ、難しい部分はプロに依頼するのが無難です。
ホームインスペクションとは、住宅の状態を評価するための専門的な検査です。事前に実施しておくと、買い手が安心して購入できるので売却がうまくいく可能性が高くなります。
他にも、ハウスクリーニング完了後にオープンハウスを実施し、綺麗な状態を購入希望者に内覧してもらうと、売却につながりやすいでしょう。こうした売却に向けての施策は、信頼できる不動産会社と相談しながら進めていくと、効率的に売却へのアクションができます。
不動産売却前のリフォームは基本的に不要!
不動産を売却する際、リフォームが本当に必要かどうかは悩むポイントですが、必ずしもリフォームを行ったからといって高く売れるわけではありません。リフォームによって物件価格が上がり、かえって売れにくくなるケースもあるため、費用対効果を慎重に見極めることが重要です。
特に、物件の状態が悪くなく、購入希望者が自分好みにリフォームしたいと考えている場合、リフォームを避けた方が賢明な場合もあります。ただし、リフォームするべきかどうかの判断は、業者でないと難しいのも事実です。
後楽不動産では、不動産売却だけでなく、中古物件の販売やリフォームまで幅広く対応しています。多くの売却経験を通じて、購入者のニーズをしっかりと把握しているため、売却に関しても安心してお任せいただけます。
リフォームが必要かどうか迷った際にも、購入者目線でのアドバイスが可能です。不動産売却からリフォームまで、スムーズに進めたいなら、ぜひ後楽不動産にご相談ください!