リースバックとは?メリットや注意点・よくあるトラブルへの対策を解説

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不動産所有が生活にもたらす安心感とは一方で、維持管理費用や住宅ローンの返済、さらには相続の問題など、様々な問題も引き起こします。そのような背景の中で、近年注目を集めているのが「リースバック」という制度です。しかし、一見すると複雑に見え、そのメリットやデメリットがはっきりと理解できない方も多いでしょう。

この記事では、主に以下の3点について解説していきます。

  • 住まいのリースバックとは何か
  • リースバックのメリットやデメリット
  • リースバックによくあるトラブルとその対策について

リースバックがあなたの資産管理やライフスタイルに対する新たな選択肢となることを目指し、より明確な理解を得るための情報を提供いたします。私たちの生活は多様化し続けています。それぞれのライフステージに合った住まいの選択肢を広げ、新たな生活の形を一緒に考えていきましょう。

目次

リースバックとは

リースバックは、自宅を利用して資金を調達する一つの手法です。具体的には、自宅を売却して現金化し、その後は買主(リースバック事業者)と賃貸借契約を結ぶことで、売却した自宅に引き続き住むことが可能になります。以下のような悩みを持つ方々にとって、リースバックは理想的な仕組みと言えます。

  • 住宅ローンの返済に困難を感じているが、現在の住まいを維持したい
  • 老後の資金が不足しているが、長く住んで慣れ親しんだ家を離れたくない
  • まとまった資金が必要だが、引越しを避けたいために家の売却ができない

しかしながら、自分の大切な住居を売却することになるため、リースバックの利用に際しては注意すべき点もあります。そこで、今回は時間をかけずに資金を調達したいが、現在の住まいに留まり続けたい方々へ、住まいのリースバックについて、その詳細な仕組みやメリット、そして注意点を解説します。

リースバックの仕組み

リースバックは、自宅を売却した後で元の所有者が同じ家を借り戻すというシステムで、そのために「セール・アンド・リースバック」とも呼ばれます。以下に、その具体的な仕組みを図解を用いて詳しく説明します。

リースバックの仕組みは次のようになっています。

  1. リースバック利用者(居住者)は自宅を売却し、リースバック事業者が売買代金を一括で支払う
  2. リースバック利用者(居住者)は、リースバック事業者と賃貸借契約を結び、毎月の家賃を支払いながら自宅に引き続き居住する。

リースバックの買主は、通常、リースバック事業者、不動産会社、または金融サービス業者(クレジットやローンを提供する会社)などになります。買主(リースバック事業者)は、購入した住宅を収益不動産(家賃収入のある不動産)として、または元の所有者が退去した後に自宅用として再販売し、利益を得ることを目指しています。そのため、リースバックによる買取価格は市場価格よりも安く設定されることが多いです。

リースバック契約では、売買契約が成立すると売買代金が一括で売主(リースバック利用者)に支払われます。そして売主(リースバック利用者)は、自宅を売却すると同時に賃貸借契約を結び、家賃を支払いながら元の住まいに住み続けることができます。

「リース」と「レンタル」は似たような単語ですが、それぞれ異なる内容を指します。リースは、リース会社が利用者の要望に基づいて商品を購入し、6か月以上の長期間にわたって賃貸契約を結ぶものを指します。このため、リースは不動産、自動車、コピー機、工作機械、重機といった長期的に利用するものに適しています。

一方、レンタルは既に事業者が所有している商品を短期間貸し出すことを指し、CDや書籍など比較的安価で短期間の使用に適したものが対象となります。

リーズバックのメリット

リースバックには、以下のような多くのメリットが存在します。

売却後も住み慣れた家に住むことが可能

リースバック最大の特徴は、売却後もそのまま住み続けられることです。これにより、引越しに伴う費用を抑え、また新たな住まい探しや通勤・通学環境の変更などのストレスを避けることができます。

不動産の所有に伴うコストがなくなる

固定資産税や都市計画税、修繕費などのランニングコストが新たな所有者の負担になります。代わりに家賃が必要となりますが、それは住宅ローンの代わりと考えることができ、税金や修繕費といったコストは軽減されます。

不動産所有のリスクがなくなる

所有リスク、例えば災害での損失や資産価値下落、金利上昇などのリスクがなくなります。リースバックを活用すれば、所有しない状態で同じ家に住み続けることが可能となります。

現金化までの時間が短い

一般的な不動産売却と比較して、リースバックを利用すれば現金化までの時間が短縮できます。これは、専門業者が買主となるためです。

借金せずに資金を調達できる

老後資金を確保するためや、事業資金や生活費の調達にも利用できます。リースバックで得た資金は基本的に自由に活用できます。

住宅ローンの返済の不安から解放される

リースバックを利用すれば、住宅ローン返済に伴う不安を軽減できます。引越しをすることなく住宅ローンの返済義務から解放されます。

売却した家を買い戻すチャンスも存在

一部のリースバックには、「買戻し特約」が存在します。これは、一定の条件下で売却した住まいを再び買い戻せるという特約です。ただし、家賃の滞納など契約違反があると、買い戻す権利が消失するため注意が必要です。

リースバックを利用する際の注意点

リースバックは様々なメリットを享受することができますが、その一方で、以下のような注意すべき点が存在します。

売却価格が相場より安くなる可能性

リースバックを利用すると、売却価格が相場より低く設定される傾向があります。これは、リースバック業者が取得価格(買取価格)を抑えるためです。売却価格が気になる場合は、不動産の仲介による査定額とリースバックによる買取価格を比較すると良いでしょう。

所有権が移転する

リースバックを行うと、不動産の所有権がリースバック業者へ移転します。そのため、家を子供へ相続させたい、または子供が家を引き継ぎたい場合は、家族でよく話し合ってからリースバックを検討することをおすすめします。

家賃が発生する

リースバック後も住宅を借り続けることが可能ですが、毎月家賃を支払う必要があります。家賃は物件の条件によりますが、地域の家賃相場と売却価格を基に決められます。新しい所有者との交渉により、家賃が相場より高くなる可能性もあるため、売却する前の交渉は慎重に行いましょう。

売却価格がローンの残債を下回る場合、リースバックは利用不可

リースバックを活用した売却は、売却価格が住宅ローンの残債を上回る場合のみ可能です。

ずっと住み続けられるわけではない

賃貸借契約の条件により、住み続けられる期間が限られることがあります。

連帯保証人が必要となることがある

一般的な賃貸契約と同じように、連帯保証人が必要となることがあります。

税金が発生する可能性

リースバックで売却した場合、譲渡益が発生するとそれに対する税金が発生します。

リースバックで起こりうるトラブル事例と対策

この記事では、不動産リースバックにおける一般的なトラブルとその対策について詳しく解説します。リースバックは通常の不動産売却とは異なる仕組みを有しているため、詳細を十分に理解せずに契約を進めると、後で問題が発生する可能性があります。そのような事態を避けるため、具体的なトラブル事例とその対策を把握し、最善の判断を下すための情報を提供します。

まずは要点からお伝えしましょう。不動産リースバックに関連するトラブルの大半は、サービス内容を正確に把握していないことが原因です。以下に、一般的なトラブル事例とその対策を4点紹介します。

家賃が払えなくなる

対策:契約前に売却価格と家賃のバランスをチェックし、複数社の査定を取り比較検討してから、最も有利な会社を選びましょう。

再購入ができなくなる

対策:再購入価格とその費用について、詳細な計画を立てましょう。再購入条件を書面にまとめておくことも大切です(通常は売買契約書の特約欄に記載されます)。

退去を求められる

対策:これは「定期建物賃貸借契約」で契約すると発生する可能性があります。契約期間満了後に普通賃貸借契約と同じように再契約が可能かどうか、あらかじめ確認しておくことが重要です。

相続人とのトラブル

対策:リースバックを利用する旨を家族に事前に伝えておくことが望ましいです。

    リースバック以外の資金調達方法は?

    リースバック以外にも、不動産を活用する資金調達方法は存在します。「リバースモーゲージ」と「不動産担保ローン」がその代表例です。それぞれの特徴や違いを理解し、自分に適した資金調達方法を選びましょう。

    リバースモーゲージ

    リバースモーゲージは、住み続けたまま自宅を担保にしてお金を借りる仕組みです。借りた本人または相続人が返済します。そのため、手持ちの資金、もしくは自宅を処分して借りたお金を返すことになります。リバースモーゲージは、不動産担保ローンの1つで、老後の資金に不安を持っているものの、自宅を売却することに抵抗のある人が利用します。

    しかし、注意が必要なのは、リバースモーゲージを利用するには相続人全員の同意が必要であること、そして受けられる融資の限度額は不動産の価値によって変わることです。

    不動産担保ローン

    不動産担保ローンは、所有している不動産を担保にお金を借りる融資です。借入金の使途に制限はありませんが、金利はリバースモーゲージよりやや高いことが一般的です。返済方法は「元利均等返済」または「元金均等返済」が一般的で、毎月の返済額はリバースモーゲージよりも高くなります。最終的に返済ができない場合、担保となっている不動産は差し押さえられ、競売によって売却されます。

    以下に、リースバック、リバースモーゲージ、不動産担保ローンの特徴を比較表にまとめました。

    リースバックリバースモーゲージ不動産担保ローン
    仕組み不動産を売却後、賃借する不動産を担保にし、融資を受ける不動産を担保にし、融資を受ける
    借り入れの有無なしありあり
    所有権移転するしないしない
    担保の設定不要必要必要
    調達できる資金市場価格より低い市場価格より20~30%低い金融機関の評価による
    毎月の支払い家賃利息(最終的には元本も返済)利息と元本

    老後の資金調達には様々な選択肢があります。上記の情報を参考に、自分にとって最適な方法を選びましょう。

    リーズバックまとめ

    リースバックは一見複雑な制度に見えるかもしれませんが、それは住宅ローン返済の不安を抱えている方々や、リバースモーゲージや不動産担保ローンが適合しない方々に新たな選択肢を提供しています。要点を再確認することで、この制度を最大限活用し、一人でも多くの方が安心して生活を続けられることを願っています。

    1. リースバックは売却後も自宅での生活を続けることを可能にします。
    2. 買主を見つける必要がなく、短期間で不動産を現金化できます。
    3. 不動産を所有しないため、ランニングコストや所有リスクを気にする必要がありません。
    4. ただし、リースバック後の賃貸借契約内容は注意深く確認する必要があります。

    一部の方にはトラブルが生じる可能性もあるため、リースバックを活用する際はこれらの情報を念頭に置き、慎重な検討を行うことをお勧めします。リースバックがあなたのライフスタイルや資産管理における選択肢の一つとなり、豊かな生活をサポートすることを心から願っています。それぞれのライフステージに合わせた選択を、そして、その選択によって生まれる新たな生活の形を、共に考えていきましょう。

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