「秋」に不動産売却するのはおすすめ?ベストシーズンはいつ?
不動産の売却を成功させるためには、売り出すタイミングが重要です。 特に、「春」と「秋」は不動産売却のベストシーズンとされていますが、その中でも「秋」は特におすすめです。なぜなら、夏が終わり、新学期が始まるこの時期は、ファミリー層の移動が落ち着き、購入希望者が増えるからです。このタイミングで売却を検討すれば、スムーズな取引が期待できます。
この記事では、「秋」に不動産を売却する際の具体的な手順や、他の季節と比べたメリットについて詳しく解説します。 さらに、築年数や税金、市況、金利といった要素を考慮し、秋に売却を進めることで売主にとって大きな利益をもたらす方法もご紹介します。
売却を検討している方は、この秋のベストシーズンを最大限に活用するために、こちらの記事を参考にしてみてください。
目次
不動産売却のベストシーズンはいつ?「秋」は売り時?
本章では、「不動産売却のベストシーズンはいつなのか」を詳しく掘り下げていきます。ベストシーズンに売却すると、購入希望者も多くスムーズな売買が期待できます。
適切な価格で、なおかつ早期での売却を実現するために、不動産売却のベストシーズンを頭に入れておきましょう。
春と秋は不動産売却のおすすめシーズン
不動産売却で最も動きがあるのは、進学や就職・転勤などで新生活が始まるタイミングの「春」だと言われています。賃貸から持ち家に住み替える場合は、賃貸物件の契約更新時期が3月末の場合が多いため、それまでに新居を見つけようという動きが増えるのです。
また、夏休みを経て新学期が始まり、ファミリー層の移動が落ち着く「秋」も、買い手にとって物件をじっくり検討できる良い時期です。不動産の繁忙期と言われる2月~3月に続き、9月~10月の秋のシーズンも不動産売却のベストシーズンといえます。
購入希望者が多い時期に合わせて、適切な価格で物件を売り出すと、スムーズに買い手が見つかるでしょう。
夏と冬は不動産売却の閑散期
春と秋は不動産の繁忙期とお伝えしましたが、夏と冬は成約件数が減る傾向があります。とくに8月は、1年を通じて最も不動産の取引件数が減少する月です。
暑い夏の時期にエアコンがない中古物件を内覧するのは大変なので、もう少し涼しくなってからゆっくり探そうと考える人が多いのでしょう。夏休みは旅行や帰省で家を空けることが多く、落ち着いて物件探しをする余裕がないという理由もありそうです。
冬に不動産売却が少なくなるのは、夏休み同様、年末年始で忙しく物件探しに時間が取れないという理由があります。また、不動産会社も年末年始は休業するため、内覧できない期間が長くなることも理由のひとつです。
物件を売却したいときは、夏と冬の不動産売却の閑散期は避けて売り出した方が、スピーディな売却ができるでしょう。
不動産売却のタイミングを決めるポイントは?
不動産売却にベストなシーズンは春と秋で、シーズンを意識して売り出すことでスムーズな売却につながります。しかしながら、不動産売却で考えるべきタイミングは季節だけではありません。
少しでも高く売却するためには、築年数や税金などの要素も考慮して、一番いいタイミングで売り出す必要があります。本章では、季節以外の不動産売却のタイミングを決めるポイントについて解説していきます。
築年数
不動産を売却するタイミングで最も重要なのは、築年数です。一般的に築年数が5年経過すると家の価値は新築時の7割、10年で5割、15年で2割程度になってしまうと言われています。
高く売却するためには、家の外観や設備が劣化する前に、なるべく早く売る方が良いと言えます。キッチンや浴室などの水回りは、耐久年数が10年~20年程度ですので、水回りが古くなりすぎない15年以内に売却すると、リフォームなしでも売れる可能性が高くなるでしょう。
木造住宅は税法上では法定耐用年数が22年と定められています。そのため、一般的によく言われる「築20年を超えると家の価値はなくなる」という見解が生まれていますが、実際には築20年以上の中古住宅も活発に取引されています。
東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」によると、中古戸建て住宅の対新規登録成約率は築6年~25年までは20%以上となっており、築20年を境に大幅に取引が減少することはありません。とは言え、築26年以降は成約率が10%台と低くなりますので、25年以内には売却しておくと売却成功の可能性は高くなると言えるでしょう。
税金
不動産を売却するタイミングに関わってくる税金には、「譲渡所得税」「10年超所有軽減税率の特例」などがあります。
所得税 | 住民税 | |
所有期間5年以下での売却 | 30% | 9% |
所有期間5年超での売却 | 15% | 5% |
10年以上での売却(譲渡所得6,000万円まで) | 10% | 4% |
譲渡所得税は、資産を譲渡(売却)した際に、得られる所得に対して課せられる税金です。不動産の譲渡所得税には、「短期譲渡所得」「長期譲渡所得」の区分があり、所有期間が5年以下が5年を超えているかで分類され、短期譲渡所得の税率は長期の約2倍です。
長期譲渡所得の中でも、所有期間が10年を超える物件で譲渡所得が6,000万円以内の場合、さらに税率が軽減される特例が適用されます。購入から5年前後の場合は5年を超えてから、10年前後の場合は10年を超えてから売却すると節税対策となります。
市況
不動産売却のタイミングには、市況や社会情勢を考慮に入れておいた方が良いでしょう。オリンピックや万博などの大規模イベント開催時には、周辺地域の不動産価格が上昇し、イベント終了後に再び下落する傾向があります。
2020年には新型ウイルスの流行により経済活動が停滞し、不動産取引件数も大幅に減少しました。パンデミックの終焉に伴い、地価や不動産取引数も徐々に回復していきましたが、世の中の動きに不動産価格も大きく影響を受けることは間違いありません。
地価の動向や不動産市況の見通しを立てることは、不動産業界に精通していないと難しいものです。自宅の売却時期に迷う場合は、不動産のプロである不動産会社に相談してみてください。
金利
不動産売却のタイミングを考える際には、不動産価格に影響を及ぼす金利の動向にも目を配っておく必要があります。金利が上がると、ローン返済額が増加し、不動産購入者の数が減少するからです。
日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、17年ぶりに金利を引き上げました。さらに7月末には追加の利上げが行われたことを受け、国内の銀行でも変動型の住宅ローン金利引き上げの動きが見られています。
収入は変わらず、金利上昇と物価高で住宅ローンを組めなくなる人が増えると、不動産需要減少と価格下落につながる可能性があります。金利上昇時期や幅の予測は困難ですが、早めの市場調査と適正価格での売却が重要です。
秋に不動産売却するおすすめスケジュールは?
秋に不動産を売却したい場合、どのようなスケジュールで動くとスムーズに売却できるでしょうか?本章では、売却希望時期が9月~10月の秋のシーズンにおいて、効率的に不動産売却できるスケジュール運びを解説していきます。
売却相談は半年前からはじめよう
秋ごろに不動産を売却したいと考えたら、まずは半年前の3月ごろから遅くとも3か月前の6月ごろまでには、不動産会社に売却の相談に行きましょう。その前に、インターネットや不動産売却に関する書籍であらかじめ基本的な知識を身に付けておくと、不動産会社とのやり取りがスムーズになります。
不動産会社選びは、不動産売却において重要なポイントです。不動産会社の業務は、賃貸仲介業務と売買仲介業務の大きく2種類に分けられます。
不動産売却を考えているならば、売買仲介業務に強い不動産会社を選ぶと、希望の条件で売却できる可能性が高くなります。売買に強い不動産会社を選ぶには、売却実績が豊富かどうかがポイントです。
不動産会社によって、マンションが得意・中古戸建てが得意などの特徴があります。これから売却予定の物件に強い不動産会社か、よく見極めて決定しましょう。
不動産会社による売却活動がスタート
不動産会社が決まったら、不動産会社による売却活動がスタートします。不動産会社は依頼された物件をホームページや広告などで宣伝し、買い手を募ります。
物件の状態や立地条件などにもよりますが、売却までの期間は3か月~半年程度が多いです。売却までの期間が長くなる場合もあるので、余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
売却活動の際は、購入希望者の依頼を受けて内覧やオープンハウスを行うこともあります。内覧の前にはハウスクリーニングや片付けを行い、購入希望者に良い印象を持たれるように準備しておきましょう。
近年、室内をモデルルームのように飾り付ける「ホームステージング」サービスの利用が増えてきました。内覧やインターネット広告の写真撮影時には、このようなサービスを利用してみるのもおすすめです。
買主が見つかれば契約締結へ
買主が決定しお互いの合意ができたら、売買契約を締結します。売買契約は、売主と買主、それぞれの不動産会社の担当者が集まって行われます。
買主が住宅ローンを利用する場合、ローン審査に2週間から1か月程度かかります。ローンの審査が通らないと物件が引き渡しできないので注意が必要です。
売買契約時に買主から手付金を受け取り、ローン審査が通ったら、残額支払時に物件を引き渡します。なお、不動産会社への仲介手数料は売買契約成立後に支払います。
秋の引越し注意点
引越しの費用は、引越しの時期、移動距離、荷物の量などによって大きく変わります。秋の引越しは引越し会社の繁忙期である3月~4月には当たらないため、時期による価格の影響はほとんどありません。
10月ごろならば気候が穏やかで快適に作業できる上、台風などの影響も少ないため、引越しには最適なタイミングです。売却活動中に家財道具の整理や不用品の処分を行い、スムーズに引越しが行えるよう準備しておきましょう。
引越し費用を抑えるには、早めに見積もりを依頼することをおすすめします。引越しの予約は先着順で、時期が遅くなるほど空きが少なくなります。
そのため、直前の予約だと希望の日程が取れず、高い土日祝日の引越しを余儀なくされる可能性があります。早期に申し込めば、早割などのキャンペーン価格が適用される業者もありますので、買主が見つかったタイミングで見積もりを依頼しておくと良いでしょう。
不動産を早く売却したいときはどうする?
秋に不動産を売却したいと思っていても、なかなか買い手が付かないという状況も考えられます。本章では、できるだけ早く不動産を売却するために、意識しておくべきポイントについて解説していきます。
相場に合わせた販売価格の設定
不動産の売却が思うように進まないという場合は、価格設定が適正価格よりも高くなっていないかを確認しましょう。市場価格をよくリサーチして、少し低めに設定すると買い手が見つかる場合があります。
購入希望者から値下げを打診されたときは、売り出しから3か月以上経過していれば、不動産会社と相談のうえで応じた方が良い場合もあります。売却できずに残っている物件は買い手からマイナスイメージが付いてしまい、時間が経っても売れにくくなってしまうからです。
相場に合った価格を設定して、希望の時期までに売却できるように動いていきましょう。
専属専任媒介契約で契約する
不動産会社との契約の際に「専属専任媒介」を選択すると、「一般媒介」や「専任媒介」に比べて、より積極的な営業活動や売却交渉を行ってくれる可能性が高くなります。また、不動産会社からの報告頻度が週に1回以上と高く、販売状況を把握しやすいメリットもあります。
一般媒介や専任媒介で思ったような成果が出ない場合には、専属専任媒介での契約を検討してみると良いでしょう。
不動産売却は「春」と「秋」がおすすめ!
不動産の売却を成功させるためには、タイミングが非常に重要です。特に「春」と「秋」は、不動産売却のベストシーズンと言われています。その中でも、秋は夏が終わり、新学期が始まってファミリー層の移動が落ち着く時期です。このタイミングで売却を検討すると、購入希望者が増えるため、スムーズな売却が期待できます。
さらに、築年数や税金、市況、金利などの要素を考慮しつつ、秋に売却を進めることは、売主にとって大きなメリットをもたらします。この記事を参考に、秋というベストシーズンを最大限に活用して、不動産売却を成功に導きましょう。
売却を考えている方は、早めに信頼できる不動産会社に相談し、適切なアクションを起こすことが、成功への第一歩です。