損をしない売り出し価格の決め方!適正価格で不動産売却することの重要性

不動産売却の際にまず考えないといけないのが、「いくらで売却するか」という点でしょう。不動産の価値はさまざまな要素を考慮して決める必要があるため、プロからのアドバイスが必要不可欠です。
不動産の売り出し価格は、スムーズに売却が成功するか、それとも長期間売れ残ってしまう物件になるのかのキーポイントです。
本記事では、不動産の売り出し価格はどのようにして決めるのか、また、売り出し価格を決める際に注意しておくべきことについて解説していきます。不動産の売却を検討している方は、売り出し価格の設定を間違って損をしないためにも、本記事を参考にしてみてください。
この記事を監修した人

岩冨 良二
後楽不動産 売買事業部 係長
不動産業界歴26年のベテランで、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格を持つエキスパート。豊富な知識と実績でお客様から厚い信頼を得ており、売買事業部のエースとして活躍中。複雑な取引もスムーズにサポートし、最適な提案を行う頼れるプロフェッショナルでありながら、社内のムードメーカーとしても周囲を明るくする存在。
不動産売却の売り出し価格とは何か

不動産売却における「売り出し価格」とは、中古物件市場で広告等に記載されている、物件の売却価格のことです。売り出し価格は売主が自由に決定でき、通常は仲介する不動産会社の査定額をもとに決められます。
とはいえ、売り出し価格には、売主の希望や物件に対する思い入れなども加味されて決められるため、不動産会社が提示する査定額とは異なる場合も多くなります。
査定額・売り出し価格・成約価格
不動産売却では、「査定額」「売り出し価格」「成約価格」について理解しておくことが重要です。
不動産売却で重要な3つの価格
- 査定額
不動産会社が物件の状態や条件をもとに算出する参考価格 - 売り出し価格
売主が査定額を参考に決定する物件の売却価格 - 成約価格
実際に売却が成立した際の価格
査定額は、不動産会社が市場の動向や物件の状態、周辺環境などを総合的に評価して算出します。一方、売り出し価格は売り手が希望する売却価格を設定するもので、成約価格とは異なることが多いです。
これら3つの価格の違いを理解することが、不動産売却の第一歩となります。
売り出し価格を決定するまでの流れ

売り出し価格を決定するまでの流れは以下のようになります。「売り出し価格の決め方が分からない」という方は、参考にしてみてください。
住宅ローンの残債を確認
売却したい物件に住宅ローンの返済が残っている場合は、まず残債の確認を行いましょう。一般的に、売却した代金でローンを完済することが望ましいですが、売却価格よりもローン残債が多い場合でも、自己資金を追加するか、金融機関と相談して任意売却の許可を得ることで売却は可能です。 ただし、その場合は売却後もローンの残債が残る可能性があるため、慎重に計画を立てることが重要です。
近隣の類似物件の価格を調べる
自宅のおおよその売却価格を知るには、不動産情報サイトなどで自宅近くの同程度の築年数と間取りの物件がいくらで売却されているのかを確認するとよいでしょう。そうすることで、だいたいの相場観がつかめます。
不動産会社へ査定を依頼する
大まかな相場がつかめたところで、不動産会社に査定を依頼し実際の売却価格により近い価格を提示してもらいます。ある程度周辺の物件相場について予習しておくと、不動産会社が提示してきた査定額が適正かどうかを自分でも判断できるようになります。
不動産会社の査定額は、一般的に3か月程度で売却できることを想定して算出されることが多いですが、会社ごとに査定の基準や評価方法が異なります。 そのため、査定額=実際の売却価格とは限らず、市場の動向や販売戦略によって最終的な売却価格が変動する可能性があります。
さらに、1社だけの査定額では、その会社の販売戦略や見解が反映されるため、市場価値を正確に把握するのが難しくなります。複数社に査定を依頼して比較することで、より客観的な市場価値を把握でき、適正な売り出し価格の設定に役立ちます。
机上査定と訪問査定
不動産会社による査定の方法には、机上査定と訪問査定の2種類があります。机上査定は、実際に現地へ赴くことなく、売主からヒアリングした情報と既存のデータから査定額を算出する方法です。
訪問査定は、査定担当者が物件を訪れて調査し、周辺環境や物件の状態を現地で確認します。そのため、データのみで査定する机上査定とは異なり、実際の売却価格と近い金額が提示できます。
まずは数社に机上査定を依頼し、その中から目ぼしい会社を1~2社選んで訪問査定を依頼するとよいでしょう。

売り出し価格を決定
訪問査定を経て仲介を依頼する不動産会社を決定したら、担当者と売り出し価格を決めていきます。先に述べたように、売り出し価格には売主の希望や事情も反映できるため、要望があれば不動産会社の担当者に遠慮なく伝えるようにしましょう。
売却に時間がかかってもいいからなるべく高く売りたいのか、できるだけ早く売却したいので価格を下げても構わないのか、売主により売却の事情はさまざまです。具体的に希望を伝えておけば、不動産会社の担当者も売主に寄り添った対応ができるようになります。
【売り出し価格の決め方】注意点を解説

売り出し価格を決定する際にはいくつかの注意点があります。最も大事なことは、不動産会社1社だけで査定額を判断せずに、必ず数社に査定見積もりを依頼し、査定額を見比べてから売却を依頼する不動産会社を決定することです。
その他にも、知っておきたい売り出し価格の決め方の注意点について解説していきますので、これから不動産を売却予定の方はチェックしてみてください。
最低売却価格を設定しておく
売却を進める前に、最低売却価格を設定しておくことも重要です。これは、売却に際して譲れない価格ラインを明確にするもので、交渉時にも役立ちます。
最低売却価格を設定することで、価格交渉の際に焦って価格を下げすぎてしまうことを防ぎ、納得のいく条件で取引を進めることができるでしょう。
市場を意識して適正価格を設定する
不動産市場は常に変動しており、時期や経済状況によって需要と供給が変わります。そのため、市場の動向を把握して適正価格を設定することが求められます。
高すぎる価格設定は買い手の関心を得られず、販売期間が長引く原因となります。一方、低すぎる価格設定は、売主が損をしてしまいます。
市場の適正価格を見極め、バランスの取れた価格設定を心がけましょう。
値引き交渉前提で価格設定をする
不動産取引では、買い手からの値引き交渉が一般的に行われています。中古住宅の場合、売却価格の5%以内の値引きが多いものの、物件の築年数や状態、市場の需給バランスによっては、それ以上の交渉が入ることもあります。
そのため、売り出し価格を設定する際は、一定の値引き交渉を見越して価格を調整することも一つの戦略です。 ただし、相場を大きく超える価格設定は、買い手の関心を失い、売却期間が長引く原因となるため注意が必要です。
値引き交渉に応じるかどうかは、売却のタイミングや市場の動向、設定した最低売却価格との兼ね合いを考慮し、慎重に判断しましょう。 また、最終的な売却価格が相場に対して適正かどうか、不動産会社の担当者と相談しながら進めると安心です。
売却期限を設定しておく
相場より高い売り出し価格を設定していると、売却までの期間が長期化することも考えられます。そのため、売却期限をあらかじめ設定しておき、期限内に売却できそうにない場合は価格を引き下げるなどの対応が必要になることもあります。
東日本不動産流通機構が2024年4月に発表したデータによると、首都圏における中古マンションと中古戸建て住宅の新規登録から成約に至るまでの平均日数は、直近だと以下の通りです。
中古マンション | 中古戸建て住宅 | |
---|---|---|
2021年度 | 72.1日 | 95.2日 |
2022年度 | 73.0日 | 79.0日 |
2023年度 | 82.6日 | 87.1日 |
参考:「首都圏不動産流通市場の動向」公益財団法人東日本不動産流通機構
平均で3ヶ月程度売却までに要していることが分かります。3ヶ月を超えても物件が売却に至らない場合は、一旦価格の見直しが必要と言えるでしょう。物件が長期間売れ残っていると、その間ランニングコストがかかり続けることになり、最終的に手元に残る利益が少なくなるので注意しましょう。
売却の際の諸費用を把握しておく
不動産を売却する際には、仲介手数料、譲渡所得税、登記費用など、さまざまな諸費用が発生します。諸費用を考慮せずに価格を設定すると、手元に残る金額が予想より少なくなり、次の住居費用が不足するなどの事態が起こってしまいます。
これらの費用を事前に把握し、売り出し価格や最低売却価格の設定に反映させることが大切です。
売り出し価格を相場より高く設定できるケースとは?

自宅を売却する際、できるだけ高い価格で売却したいと考えるのは当然のことです。しかし、不動産の価格は立地や市場の需要に大きく左右されるため、売主の努力や工夫だけで相場を大幅に超えた価格設定ができるとは限りません。
ただし、リフォームの実施やホームインスペクション(住宅診断)による安心感の提供、適切な販売戦略などによって物件の魅力を高め、より良い条件で売却できる可能性はあります。
本章では、売却価格を引き上げるための具体的な方法について解説します。ぜひ参考にして、納得のいく売却につなげてください。
リフォーム済みの物件である
リフォーム済みの物件は買い手にとって大きな魅力となり、相場よりも高い売り出し価格を設定できます。特にキッチンや浴室の水回りに関するリフォームは高く評価され、売却価格に大きく影響するでしょう。
とはいえ、リフォームはそれなりに費用がかかります。水回りリフォーム費用の概算は以下の通りです。
- キッチン 50万円~150万円程度
- 浴室 60万円~200万円程度
- 洗面所 10万円~40万円程度
- トイレ 10万円~50万円程度
リフォームにかけた費用がそのまま売却価格に反映されるとは限らず、むしろ費用をかけすぎると回収が難しくなることもあります。そのため、リフォームを行う際は、買い手のニーズを考慮しながら、コストパフォーマンスを重視した改修にとどめるのがよいでしょう。

ホームインスペクションを実施している
ホームインスペクション(住宅診断)とは、専門家が建物の状態を評価し、潜在的な問題や修繕が必要な箇所を報告するサービスです。ホームインスペクションを行うことで隠れた欠陥がないことを証明でき、買い手は安心して購入できます。
費用は5万円~10万円程度で、調査は不動産会社や専門の調査会社が実施します。ホームインスペクション済みということで、相場より高い価格でも買い手が納得して購入できる物件となるでしょう。
立地が良いなどの理由で需要が高い
駅から近かったり、商業施設が充実したエリアだったりすると、需要が高いため相場より高めの価格設定も可能です。今後再開発が予定されているエリアも人気が高く、少々強気の価格設定であっても売却できる可能性があります。
他にも、人気の学区や周辺環境が静かであるなどの、買い手にとって魅力的な要素が多いと売却価格にプラス要素として反映できます。
売却に時間がかかっても構わない
不動産売却では、価格を低く設定すると売れやすくなり、高めに設定すると売れにくくなる傾向があります。売却を急ぐ必要がない場合は、適正価格よりやや高めに設定し、希望価格での買い手をじっくり待つという方法も選択肢の一つです。
しかし、長期間市場に出ている物件は、買い手から「価格が高すぎるのでは?」「何か問題があるのでは?」と疑われ、敬遠されることがあります。そのため、売却を急がない場合でも、販売期間の目安を1年以内に設定し、一定期間売れなければ価格を見直すなどの対応を検討することが重要です。
市場の動向や買い手の反応を見ながら、不動産会社と相談し、適切なタイミングで戦略を調整していきましょう。
【不動産の種類別】売り出し価格の決め方

不動産の売却時には、物件の種類や特徴に応じて適切な売り出し価格を設定することが重要です。本章では、不動産の種類別に売り出し価格の決め方を解説していきます。
マンションの売り出し価格の決め方
- 同じ建物内の他の部屋がいくらで売れたか
- 階数
- 眺望
- 日当たり
- 管理費や修繕積立費の金額
- 共用施設の充実度
マンションで売り出し価格を決める際には、同じマンションの他の部屋がいくらで売れたかの売却実績が大きな目安となります。不動産物件情報サイトでマンション名を検索すると、売り出し中の物件があれば金額を確認できます。
同じマンションの部屋が売りに出ていない場合は、国土交通省が運営する不動産情報ライブラリでも自宅周辺の不動産取引価格情報を確認可能です。
戸建て住宅の売り出し価格の決め方
- 建物の構造
- 築年数
- リフォームの有無
- 敷地面積
戸建て住宅では、木造か鉄骨造か、耐震性は基準を満たしているかなどの要素や、築年数などが主に評価されます。また、周辺は生活便利なエリアであるか、子どもが通学することになる学校の評判などが加味されることもあります。
土地の売り出し価格の決め方
- 立地条件
- 土地の面積や形状
- 用途地域や建築規制
- 地勢と環境
- インフラの整備状況
- 将来的な開発計画
土地の売却時には、地形や面積、接道状況が価格に大きく影響します。また、用途地域や建ぺい率、容積率などの法的規制も考慮に入れなくてはなりません。
さらに、上下水道やガスなどのインフラ整備状況も価格設定に影響を与えます。これらの要素を総合的に評価し、適正な価格を設定しましょう。
後楽不動産が適正価格にこだわる理由

後楽不動産では、お客様の大切な不動産をお預かりするにあたり、「適正価格」にこだわって売却活動を進めております。なぜ適正価格が重要なのかは、以下の3点に集約されます。
- お客様の利益を守るため
- スムーズな取引を実現するため
- 不動産の価値と市場の信頼を守るため
- お客様の利益を守るため
適正価格を設定することで売却期間を短縮し、過度な値下げ交渉を防ぎながら資産価値を最大限に引き出します。 - スムーズな取引を実現するため
市場価値に基づいた適正価格は、買い手にとって魅力的な条件となり、売却を迅速かつ効率的に進めることが可能です。 - 不動産の価値と市場の信頼を守るため
過剰な値引きや誤った価格設定は、市場全体に影響を与える可能性があります。適正価格での売却は、物件の価値を守り、不動産市場の健全性を維持します。
後楽不動産は、不動産の売却をお客様にとっての「成功」に導くために、適正価格を徹底的に追求しています。初めての売却でも、専任担当者がサポートしますのでご安心ください。
「最後まで頼りになるパートナー」として、スピーディな売却をお手伝いいたします!
売り出し価格の設定には信頼できるパートナー選びが重要
本記事では、不動産売却時の売り出し価格の決め方や注意点などについて詳しく解説しました。さらに、相場より高く売り出し価格を設定するためには何をすればいいのかについても解説しています。
不動産売却において、売り出し価格の設定は取引の成功に関わる大きな要素です。適正な価格を設定するためには、不動産会社への査定依頼を中心に、さまざまな準備が必要となります。
さらに、物件の特徴や市場の動向などを的確に判断して価格を決定しなくてはなりません。しかし、こうした判断は、不動産売却に精通していない人には難しいものです。そのため、売り出し価格の適正な設定には、信頼できるパートナー選びが非常に重要となります。
適正価格にこだわり、お客様の満足を第一に考えるパートナーと共に売却活動を進めることで、スムーズで納得のいく不動産売却が実現します。不動産売却を検討中の方は、ぜひ本記事を参考に最適な売り出し価格の設定を行ってください。