不動産売却の手付金とは?相場・受け取るタイミング・契約解除時の注意点を解説

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不動産の売買契約では、買主から売主へ「手付金」が支払われるのが一般的です。

しかし、売主にとっては「いくら受け取るのか」「いつ使ってよいのか」「契約が解除されたら返すのか」など、分かりにくい点も多くあります。

この記事では、不動産売却における手付金の役割や相場、受け取るタイミング、契約解除時の扱いを解説します。

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目次

不動産売却における手付金とは?

不動産売却における手付金とは?

不動産売却における手付金とは、売買契約を結ぶ際に、買主から売主へ支払われるお金です。契約時に受け取り、取引が予定どおり完了すれば、最終的に売買代金の一部へ充当されるのが一般的です。

ただし、手付金は単なる前払い金ではありません。契約が成立したことを示すとともに、売主または買主が契約を解除するときの条件にも関係します。金額だけでなく、契約書に定められた役割や解除期限まで確認しておきましょう。

売買契約を締結するときに買主から受け取るお金

手付金は、不動産の売買契約を締結するときに、買主から売主へ支払われるのが一般的です。支払方法は現金や振込みなど、契約条件や不動産会社の案内によって異なります。

受領時には金額や支払日を確認し、必要に応じて領収書を発行します。売主は、売買契約書に記載された手付金額と実際の受領額が一致しているか確認しましょう。

なお、手付金の支払いだけで契約内容が決まるわけではありません。売買価格、引き渡し日、契約解除の条件などを売買契約書で確認し、売主と買主が合意したうえで契約を締結します。

手付金は売買代金の一部に充当される

売買契約が予定どおり履行された場合、手付金は売買代金の一部に充当されます。売主が手付金を受け取った後、決済時に買主から残代金を受け取り、所有権移転や物件の引き渡しを行う流れです。

例えば、売買価格が2,000万円で手付金が100万円の場合、決済時に受け取る残代金は原則として1,900万円です。手付金が売買代金とは別に上乗せされるわけではありません。

ただし、固定資産税等の清算金や仲介手数料などがあるため、実際の決済金額は単純な差額だけで決まらないことがあります。決済前に不動産会社から清算内容を確認しましょう。

手付金には契約成立を示す役割がある

手付金には、売主と買主の間で売買契約が成立したことを示す「証約手付」としての役割があります。売買契約書を取り交わし、手付金を授受することで、双方が契約内容に合意したことを確認しやすくなります。

また、不動産売買で授受される手付金は、一定の条件のもとで契約を解除するための「解約手付」として扱われるのが一般的です。買主は手付金を放棄し、売主は受け取った手付金の倍額を償還することで解除できる場合があります。

ただし、手付解除ができる期間や条件は契約内容によって異なります。手付金を受け取ったからといって、売主がいつでも倍返しで解除できるわけではない点に注意が必要です。

申込証拠金・内金・違約金との違い

申込証拠金は、購入希望者が物件を申し込む意思を示すために支払うお金です。売買契約の締結前に預けることが多く、手付金とは支払うタイミングや役割が異なります。

内金は、売買代金の一部として先に支払うお金です。手付金のように、支払った金額を放棄したり、倍額を償還したりして契約を解除するためのお金とは限りません。

違約金は、売主または買主が契約上の義務を守らなかった場合に発生する可能性があるお金です。手付解除とは適用される場面が異なるため、手付金・内金・違約金を同じものとして扱わないようにしましょう。

不動産売却の手付金はいくら?

不動産売却の手付金はいくら?

不動産売却における手付金は、売買価格の5%〜10%程度を目安に設定されることがあります。ただし、すべての取引に共通する金額が法律で定められているわけではありません。

実際の金額は、売買価格や買主の資金計画、契約解除に備える必要性などを踏まえ、売主と買主の合意によって決めます。金額が高ければ安心、低ければ問題というわけではなく、取引条件に合った設定が大切です。

売買価格の5%〜10%程度が一つの目安

不動産売買の手付金は、売買価格の5%〜10%程度が一つの目安です。例えば、売買価格が2,000万円の場合は、100万円〜200万円程度に設定する考え方があります。

ただし、実務では売買価格や買主の準備できる自己資金によって、5%を下回る金額になることもあります。売買価格が高い物件では、割合ではなく100万円などの定額で調整する場合もあります。

相場はあくまで目安であり、必ず5%〜10%にしなければならないわけではありません。割合だけで判断せず、手付金が契約解除時に果たす役割まで考えて決めましょう。

手付金の金額は売主と買主の合意で決める

個人間の不動産売買では、手付金の金額は原則として売主と買主の合意で決めます。売主が一方的に決定するのではなく、購入申込みの内容や買主の資金計画を確認しながら条件を調整します。

買主から購入申込書が提出された段階で、購入希望価格とあわせて手付金の希望額が示される場合があります。売主は金額だけを見るのではなく、決済予定日や住宅ローンの利用、手付解除期日なども含めて判断することが大切です。

合意した手付金額は売買契約書へ記載します。契約を結ぶ前に、受領日、支払方法、契約解除時の扱いまで確認しておきましょう。

手付金を少額に設定する場合の注意点

手付金を少額にすると、買主は購入時に準備する現金を抑えられます。そのため、自己資金が限られている買主でも契約を進めやすくなる可能性があります。

一方で、解約手付として扱われる契約では、買主が手付金を放棄することで契約を解除できる場合があります。手付金が極端に少ないと、買主にとって契約を解除する負担も小さくなります。

売主は契約後、ほかの購入希望者への販売を止め、引き渡しの準備を進めます。安易な解除によって販売機会を失わないためにも、手付金を少額にする理由とリスクを確認しておきましょう。

手付金を高額に設定する場合の注意点

手付金を高く設定すれば、買主が手付解除を選びにくくなり、契約の安定性が高まるように見えます。しかし、買主が契約時に用意する資金も増えるため、購入の負担が大きくなります。

住宅ローンでは、手付金を含む購入資金のすべてを契約時点で借りられるとは限りません。手付金が高すぎることを理由に、購入希望者が契約を進められなくなる可能性もあります。

また、売主から手付解除を行う場合は、受け取った手付金の倍額を買主へ償還する必要が生じることがあります。高額な手付金は、売主側の解除負担も大きくする点に注意しましょう。

仲介を担当する不動産会社と相談して決める

適切な手付金額は、売買価格だけでなく、買主の資金計画や決済までの期間、住宅ローン特約、売主・買主それぞれの事情によって変わります。

金額だけを先に決めるのではなく、手付解除の条件や解除期限、違約金との違いまで理解したうえで設定することが重要です。購入申込みを受けたら、不動産会社に金額の根拠と契約上のリスクを確認しましょう。

後楽不動産では、売買条件全体を確認しながら、売主様と買主様の双方が契約を進めやすい手付金額をご提案します。不安な点を残したまま契約せず、内容に納得してから売買契約を締結しましょう。

手付金を受け取るタイミングと売却代金の流れ

手付金を受け取るタイミングと売却代金の流れ

不動産売却では、売買代金の全額を一度に受け取るのではなく、売買契約時に手付金を受け取り、決済・引き渡し時に残代金を受け取るのが一般的です。

査定から引き渡しまでの流れの中で、いつ・いくら受け取るのかを把握しておけば、住宅ローンの完済や住み替えに必要な資金も計画しやすくなります。手付金だけでなく、売却に伴う費用の支払い時期も確認しておきましょう。

手付金は売買契約の締結時に受け取るのが一般的

購入希望者と売買価格や引き渡し時期などの条件がまとまったら、売主と買主が売買契約を締結します。手付金は、この売買契約を結ぶ日に買主から売主へ支払われるのが一般的です。

支払方法は現金または銀行振込みなど、契約や不動産会社の運用によって異なります。受領後は、売買契約書に記載された手付金額と一致しているか確認し、必要に応じて領収書を発行します。

なお、手付金を受け取った時点では、売却代金の全額を受領したことにはなりません。決済までに契約が解除され、手付金の返還が必要になる場合もあるため、すぐに使い切らず管理しておくと安心です。

残代金は決済・引き渡し時に受け取る

手付金を除いた残代金は、決済・引き渡し日に受け取るのが一般的です。当日は買主から残代金が支払われ、売主は鍵や関係書類を引き渡します。

住宅ローンが残っている場合は、受け取った代金などでローンを完済し、抵当権を抹消する手続きも進めます。所有権移転登記や抵当権抹消登記は、司法書士が必要書類や入金状況を確認しながら行うのが一般的です。

買主が住宅ローンを利用する場合は、金融機関で決済を行うこともあります。振込みに時間がかかる可能性があるため、当日の流れや必要な持ち物を事前に不動産会社へ確認しましょう。

手付金は最終的に売買代金へ充当される

売買契約が予定どおり完了した場合、手付金は売買代金の一部に充当されます。手付金が売買代金とは別に上乗せされるわけではありません。

例えば、2,000万円で売却し、契約時に100万円の手付金を受け取った場合、決済時に受け取る残代金は原則として1,900万円です。

ただし、実際の決済では、固定資産税や都市計画税などの日割り清算、管理費・修繕積立金の清算などが加わる場合があります。そのため、最終的な受取額は決済前に作成される清算書で確認しましょう。

仲介手数料や印紙税などの支払い時期も確認する

不動産売却では、売却代金を受け取る一方で、仲介手数料や印紙税、登記費用などの支払いも発生します。手元に残る金額を把握するには、それぞれの金額と支払い時期を確認することが大切です。

印紙税は売買契約書を作成するときに必要です。仲介手数料は、売買契約時と決済・引き渡し時の2回に分けて支払う場合や、決済時にまとめて支払う場合があります。

また、住宅ローンの一括返済手数料や抵当権抹消登記の費用、測量費などが必要になるケースもあります。売却価格だけで判断せず、手付金・残代金の受取りと諸費用の支払いを時系列で整理しておきましょう。

手付金には3つの種類がある

手付金には3つの種類がある

手付金は、売買代金の一部として先に支払われるだけでなく、契約上の役割によって「証約手付」「解約手付」「違約手付」の3つに分けて説明されます。

これらは必ずどれか一つだけに該当するものではありません。実際の不動産売買では、一つの手付金が契約成立の証となり、同時に契約解除や契約違反に関する役割を持つ場合があります。

売主は名称を覚えるだけでなく、自分が締結する売買契約で手付金がどのように扱われるのかを確認することが大切です。

証約手付|売買契約が成立した証として支払う

証約手付とは、売主と買主の間で売買契約が成立したことを示すために授受される手付金です。契約内容に合意した証として、買主から売主へ支払われます。

不動産売買では、売買契約書への署名・押印とあわせて手付金を受け渡すのが一般的です。これにより、売主と買主の双方が契約を結んだ事実や、合意した手付金額を確認しやすくなります。

ただし、手付金の授受だけを見て契約の成立を判断できるとは限りません。売買契約書の内容や合意に至った経緯も関係するため、契約書と受領記録を適切に保管しましょう。

解約手付|一定の条件で契約を解除できるようにする

解約手付とは、売主または買主が一定の条件で売買契約を解除するための手付金です。一般的には、買主は支払った手付金を放棄し、売主は受け取った手付金の倍額を償還することで解除できる場合があります。

例えば、売主が100万円の手付金を受け取っている場合、手付解除では受領済みの100万円を返し、さらに100万円を加えた合計200万円を買主へ支払います。

ただし、手付解除には期限があります。売買契約書に手付解除期日が定められている場合や、相手方が契約の履行に着手している場合などは、手付金の放棄や倍額の償還だけでは解除できない可能性があります。

違約手付|契約違反があった場合の制裁として扱う

違約手付とは、売主または買主に契約違反があった場合に、手付金を違約金や制裁として扱うものです。買主側の違反では手付金を没収し、売主側の違反では手付金の返還に加えて同額を支払う、といった内容が契約で定められることがあります。

ただし、契約違反があれば必ず手付金の没収や倍返しだけで解決するとは限りません。契約書に定められた違約金や損害賠償、解除条件などによって、売主・買主が負担する金額は変わります。

解約手付は契約違反がなくても利用できる解除方法であるのに対し、違約手付は契約上の義務を守らなかった場合に問題となります。売主にとって特に重要なのは、手付解除の条件と期限、契約違反時の扱いを売買契約書で確認することです。

買主が契約を解除した場合、手付金はどうなる?

買主が契約を解除した場合、手付金はどうなる?

買主から売買契約を解除したいと申し出があっても、売主が必ず手付金を受け取れるとは限りません。手付金の扱いは、契約を解除する理由と、契約書に定められた条件によって変わります。

買主による解除には、手付金を放棄する「手付解除」のほか、住宅ローン特約による解除や、売主側の契約違反を理由とする解除などがあります。連絡を受けたら、すぐに返金・没収を判断せず、不動産会社と契約内容を確認しましょう。

手付解除なら買主は手付金を放棄する

買主が自己都合で売買契約を解除する場合、手付解除の条件を満たしていれば、支払った手付金を放棄することで契約を解除できることがあります。売主は、放棄された手付金を受け取ります。

例えば、買主が100万円の手付金を支払って契約を締結し、手付解除期日までに自己都合で解除した場合、買主は原則として100万円を返してもらうことができません。

ただし、手付解除ができる期限や条件は売買契約書によって異なります。また、相手方が契約の履行に着手した後は、手付金の放棄だけでは解除できない可能性があるため、解除の時期も確認が必要です。

住宅ローン特約による解除では返還が必要になる場合がある

買主が契約書に定められた条件に従って住宅ローンへ申し込み、融資を受けられなかった場合は、住宅ローン特約に基づいて契約を解除できることがあります。この場合、売主は受け取った手付金を買主へ返還するのが一般的です。

ただし、買主が期限内に申し込んでいないなど、手続き状況によっては特約が適用されない可能性があります。詳しい条件は、後述する「住宅ローン特約で契約が解除された場合の手付金」で解説します。

契約不適合など売主側に原因がある場合は扱いが異なる

売主が契約で約束した状態の不動産を引き渡せない場合や、告知していなかった重大な不具合が見つかった場合など、売主側に原因があるときは、単純な手付解除とは扱いが異なります。

契約内容や問題の程度によっては、買主から修補、代金減額、損害賠償や契約解除を求められる可能性があります。契約が解除された場合は、受領した手付金の返還が必要になることもあります。

不具合や権利関係の問題を把握している場合は、売却前に不動産会社へ伝え、重要事項説明や契約書へ適切に反映することが大切です。売主だけで対応を判断せず、必要に応じて専門家へ相談しましょう。

買主の契約違反では違約金が発生する場合がある

手付解除期日を過ぎた後に買主が残代金を支払わないなど、契約上の義務を果たさない場合は、買主の契約違反として扱われる可能性があります。

この場合、手付金を放棄すれば必ず解除できるとは限りません。売主は契約書の定めに従い、契約を解除したうえで違約金や損害賠償を請求できる場合があります。

ただし、買主に契約違反があれば自動的に手付金を没収できるわけではありません。催告などの手続きが必要になることもあるため、契約書と事実関係を確認し、不動産会社や法律の専門家と対応を検討しましょう。

売主から契約を解除すると手付金は倍返しになる?

売主から契約を解除すると手付金は倍返しになる?

売買契約を締結した後、売主側の事情で売却を取りやめたい場合、一定の条件を満たしていれば、受け取った手付金の倍額を買主へ償還して契約を解除できることがあります。これを一般に「手付倍返し」といいます。

ただし、手付金を倍返しすればいつでも解除できるわけではありません。売買契約書に定められた手付解除期日や、買主が契約の履行に着手しているかを確認する必要があります。

売主は手付金の倍額を償還して解除する

売買契約で手付金が解約手付として扱われている場合、売主は受け取った手付金の倍額を買主へ償還することで、契約を解除できる場合があります。

例えば、売却後に転居できなくなった、家族の事情で自宅を残す必要が生じたなど、売主の都合で契約を取りやめるケースです。買主に契約違反がなくても売主から解除できる代わりに、売主は手付金と同額の負担を負います。

解除するときは、買主へ意思を伝えるだけでなく、契約書に定められた方法で手付金の倍額を支払います。手続きや支払時期を自己判断せず、仲介を担当する不動産会社へ相談しましょう。

倍返しは受け取った手付金に同額を加えて返すこと

手付倍返しとは、受け取った手付金に、手付金と同額を加えて買主へ返すことです。「受け取った手付金とは別に、その倍額を上乗せして支払う」という意味ではありません。

例えば、売主が100万円の手付金を受け取っている場合は、受領済みの100万円を返還し、売主が新たに100万円を負担します。買主へ支払う合計額は200万円です。

売主の実質的な負担は、受け取った手付金と同額の100万円になります。ただし、受け取った手付金をすでに使っている場合でも、買主へ支払う合計額が減るわけではありません。

手付解除ができる期限を過ぎると扱いが変わる

手付解除には期限があります。売買契約書に手付解除期日が記載されている場合は、原則としてその期限までに解除の手続きを進める必要があります。

また、契約の相手方が履行に着手した後は、手付金の倍額を償還するだけでは解除できない可能性があります。何が「履行の着手」に当たるかは、契約内容や実際に行われた行為によって判断されます。

期限を過ぎて売却を取りやめたい場合は、買主との合意解除や、契約書に基づく別の手続きが必要になることがあります。解除を考え始めた段階で、できるだけ早く不動産会社へ相談しましょう。

契約違反による解除とは区別して考える

手付解除は、売主または買主に契約違反がなくても、契約で認められた条件に従って解除する方法です。一方、契約違反による解除は、残代金を支払わない、期限までに物件を引き渡さないなど、当事者が契約上の義務を果たさない場合に問題となります。

契約違反による解除では、手付倍返しではなく、売買契約書に定められた違約金や損害賠償が適用される可能性があります。金額が売買価格の一定割合として定められていることもあります。

売主が解除を希望する場合は、手付解除に該当するのか、契約違反や合意解除として扱われるのかによって負担が変わります。買主へ連絡する前に、契約書と現在の手続き状況を確認することが重要です。

手付解除ができるのはいつまで?

手付解除ができるのはいつまで?

手付金を放棄したり、受け取った手付金の倍額を償還したりすれば、いつでも売買契約を解除できるわけではありません。手付解除ができる期間には限りがあります。

売買契約書に手付解除期日が定められている場合はその日付を確認し、期日の定めがない場合も、相手方が契約の履行に着手しているかを確認する必要があります。判断を誤ると、違約金など別の負担が生じる可能性があります。

売買契約書に手付解除期日が定められている場合

不動産の売買契約書には、「売主および買主は、記載された期日まで、買主は手付金を放棄し、売主は手付金の倍額を償還して契約を解除できる」といった内容が定められることがあります。

この日付が手付解除期日です。例えば、契約日が10月1日、手付解除期日が10月15日と定められている場合は、原則として10月15日までに契約書に沿った解除手続きを行います。

解除の意思を期日までに伝えればよいのか、手付金の返還や倍額の償還まで必要なのかは、契約条項によって確認が必要です。期日の当日になって慌てないよう、解除を考えた時点で契約書を確認しましょう。

相手方が契約の履行に着手するまでの場合

契約書に手付解除期日が明確に定められていない場合でも、相手方が契約の履行に着手した後は、手付解除ができなくなる可能性があります。

履行の着手とは、契約を実行するために必要な行為の一部を実際に行うことです。単に契約の準備を始めただけではなく、客観的に見て契約の履行へ進んだと判断できる行為が該当します。

相手方が履行に着手した後に契約を取りやめたい場合は、手付金の放棄や倍返しではなく、相手方との合意解除や、契約書に定められた違約解除などを検討することになります。

履行の着手に該当する行為は取引ごとに異なる

買主が売買代金の一部を中間金として支払った場合や、売主が所有権移転登記に必要な手続きを実際に進めた場合などは、履行の着手に当たる可能性があります。

一方、住宅ローンの事前審査、引っ越し業者への見積依頼、登記に必要な書類の準備などは、それだけで必ず履行の着手になるとは限りません。行為の内容や契約上の義務との関係を確認する必要があります。

何が履行の着手に該当するかは、売買契約の内容や取引の進み方によって判断が変わります。インターネット上の事例だけで、自分の契約も同じだと判断しないようにしましょう。

契約解除を考えたら早めに不動産会社へ相談する

売却を取りやめる事情が生じた場合は、まず売買契約書の手付解除条項と期日を確認し、できるだけ早く仲介を担当する不動産会社へ連絡しましょう。

不動産会社へは、解除を検討している理由、買主との手続き状況、受け取った手付金額などを伝えます。不動産会社が買主側の進捗も確認することで、手付解除が可能な段階か整理しやすくなります。

解除の可否や「履行の着手」の判断が難しい場合は、弁護士など法律の専門家への相談も検討してください。買主へ直接連絡したり、自己判断で手付金を振り込んだりする前に、適切な手順を確認することが重要です。

住宅ローン特約で契約が解除された場合の手付金

住宅ローン特約で契約が解除された場合の手付金

買主が住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、売買契約に「住宅ローン特約」を設けることがあります。これは、契約で定めた条件を満たしても融資を受けられなかったときに、買主が契約を解除できるようにする取り決めです。

特約が適用されて契約が解除された場合、売主は受け取った手付金を返還するのが一般的です。ただし、住宅ローン審査に落ちたという理由だけで、必ず無条件で解除できるわけではありません。契約書に記載された申込先や期限、買主の手続き状況を確認する必要があります。

住宅ローン特約とは?

住宅ローン特約とは、買主が予定していた住宅ローンの融資を受けられなかった場合に、一定の条件で売買契約を解除できる特約です。自己資金だけでは購入できない買主を、融資不成立のリスクから守る役割があります。

売主にとっても重要な条項です。売買契約を締結して手付金を受け取った後でも、特約による解除が成立すれば取引が終了し、手付金の返還が必要になる可能性があるためです。

契約書では、申込先の金融機関、借入予定額、融資承認期限、解除期限を確認しましょう。特約には、期限の到来によって契約が終了する方式と、買主が期限内に解除の意思を示す方式があり、実際の扱いは契約条項によって異なります。

審査に通らなければ契約を解除できる場合がある

買主が契約書に定められた金融機関へ、予定した金額の住宅ローンを期限内に申し込み、必要書類の提出などを適切に行ったにもかかわらず融資を受けられなかった場合は、住宅ローン特約に基づいて契約を解除できることがあります。

また、希望額の全額ではなく一部しか承認されず、残りの資金を準備できない場合も、契約内容によっては特約の対象になる可能性があります。どのような結果を「融資不成立」と扱うかは、契約書で確認が必要です。

住宅ローンの事前審査に通っていても、本審査の承認が保証されるわけではありません。売主は、事前審査の結果だけで取引が確定したと考えず、融資承認期限と本審査の進捗を不動産会社へ確認しましょう。

特約に基づく解除では手付金を返還するのが一般的

契約書に定められた条件に従って住宅ローン特約による解除が成立した場合は、買主の契約違反ではなく、融資不成立を理由とする解除として扱われます。そのため、売主は受け取った手付金を買主へ返還するのが一般的です。

この場合、買主が手付金を放棄する手付解除とは異なり、売主が手付金をそのまま受け取れるとは限りません。売主による手付倍返しや、買主へ違約金を請求する場面とも区別する必要があります。

売主は決済と引き渡しが完了するまで、手付金を使い切らずに管理しておくと安心です。解除の通知を受けたときは、返還時期や振込方法、ほかに精算する費用がないかを仲介会社と確認しましょう。

買主の自己都合では特約が適用されない場合がある

買主が期限までに住宅ローンを申し込まなかった、必要書類を提出しなかった、審査に協力しなかったなど、買主側の手続き不足がある場合は、住宅ローン特約が適用されない可能性があります。

また、契約後に買主が新たな借入れを増やした、転職や退職をした、購入意思が変わって自ら申込みを取り下げたなど、買主の事情で融資を受けられなくなった場合も、当然に特約を利用できるとは限りません。

特約を利用できるかは、契約書の文言と実際の申込状況を確認して判断することが重要です。売主だけで手付金の返還や没収を決めず、不動産会社へ確認し、判断が難しい場合は弁護士などの専門家へ相談しましょう。

手付金と違約金の違い

手付金と違約金の違い

手付解除と契約違反による解除は、どちらも売買契約が終了する点では共通していますが、解除の理由や必要な手続き、売主・買主が負担する金額は異なります。

手付金を放棄・倍返しすればいつでも解除できるわけではなく、契約違反があれば自動的に手付金を没収できるわけでもありません。まずは両者の違いを整理し、売買契約書の内容を確認しましょう。

比較項目手付解除契約違反による解除
主な原因売主・買主の都合契約上の義務を履行しない
買主側手付金の放棄違約金などが発生する可能性
売主側手付金の倍額を償還違約金などが発生する可能性
期限解除期日や履行着手前契約内容や違反の状況による

手付解除は契約で認められた解除方法

手付解除は、売主または買主に契約違反がなくても、売買契約で定められた条件に従って契約を解除する方法です。買主は支払った手付金を放棄し、売主は受け取った手付金の倍額を償還することで解除できる場合があります。

ただし、売買契約書に手付解除期日が定められている場合や、相手方が契約の履行に着手している場合は、手付解除ができない可能性があります。解除を検討するときは、理由だけでなく時期と手続きも確認しましょう。

手付解除の基本的な考え方は、民法第557条に定められています。詳しくは、e-Gov法令検索「民法」も確認してください。

違約金は契約違反があった場合に発生する

違約金は、買主が残代金を支払わない、売主が期限までに物件を引き渡さないなど、契約上の義務を果たさなかった場合に発生する可能性があるお金です。契約違反を理由とする解除は、当事者の都合による手付解除とは性質が異なります。

契約違反があった場合でも、直ちに解除や違約金の請求ができるとは限りません。契約書の定めによっては、相手方へ履行を求める催告などの手続きが必要になるため、自己判断で対応しないことが大切です。

違約金の金額は売買契約書で確認する

違約金の金額や計算方法は、売買契約書の違約金・損害賠償に関する条項で確認します。売買代金の一定割合として定める場合もありますが、すべての取引で同じ割合になるわけではありません。

また、契約書に違約金の定めがある場合、実際に生じた損害額にかかわらず、合意した金額を請求する内容になっていることがあります。売主は契約前に、違約金が発生する条件と金額、解除手続きを確認しておきましょう。

仲介手数料が必要になる可能性にも注意する

売買契約が解除された場合でも、仲介手数料が必ず不要になるとは限りません。仲介会社の業務によって売買契約が成立した後に、売主または買主の都合や契約違反で解除された場合は、仲介手数料を請求される可能性があります。

一方、住宅ローン特約による解除など、契約で予定された条件に基づいて白紙解除となった場合は、扱いが異なることがあります。仲介手数料の支払い時期や返金の可否は、媒介契約書と売買契約書を確認し、不動産会社へ説明を求めましょう。

手付解除と違約解除のどちらに該当するかで、手付金・違約金・仲介手数料の扱いは変わります。解除の申し出を受けたときや売主から解除を検討するときは、契約書をもとに不動産会社へ早めに相談することが重要です。

手付金を受け取った売主が注意したいこと

手付金を受け取った売主が注意したいこと

売買契約を締結して手付金を受け取っても、不動産売却が確定したわけではありません。手付解除や住宅ローン特約、契約違反などによって契約が終了し、手付金の返還が必要になる場合があります。

そのため、決済と引き渡しが完了するまでは、返還の可能性を考えて手付金を管理することが大切です。受領方法や契約解除の条件も確認し、契約後の判断を売主だけで進めないようにしましょう。

決済が終わるまで手付金を使い切らない

受け取った手付金は、予定どおり決済が完了すれば売買代金の一部になります。しかし、決済前に住宅ローン特約による解除などが成立した場合は、買主へ返還しなければならない可能性があります。

手付金を住み替え先の契約費用や引っ越し代などにすべて使ってしまうと、解除時に返還資金を準備できないおそれがあります。少なくとも住宅ローン特約や手付解除の期限を過ぎるまでは、返還できる状態で管理しておくと安心です。

また、売主から手付解除を行う場合は、受け取った手付金の倍額を買主へ償還する必要があります。契約後に売却を取りやめる可能性が少しでもある場合は、必要な金額を事前に確認しておきましょう。

手付金の受領方法と領収書を確認する

手付金の受領方法は、現金または銀行振込みなど、取引の条件によって異なります。売買契約書に記載された金額と実際の受領額、支払日、振込名義が一致しているか確認しましょう。

売主が手付金を直接受け取る場合は、必要に応じて領収書を発行します。領収書には、受領日、金額、買主・売主の氏名、対象となる不動産、手付金として受け取ったことが分かる内容を記載します。

手付金を現金で受け取った場合は、紛失や数え間違いを防ぐため、その場で金額を確認します。振込みの場合は入金記録を保存し、領収書の発行が必要かを仲介会社へ確認しておきましょう。

契約解除の条件と期限を確認する

売買契約書では、手付解除期日、違約解除の条件、解除の通知方法などを確認します。手付解除期日を過ぎた場合や、相手方が契約の履行に着手した後は、手付金の放棄・倍返しだけでは解除できない可能性があります。

売却を続けられない事情が生じたときは、買主へ直接連絡する前に仲介会社へ相談しましょう。解除の方法を誤ると、手付金の倍返しではなく、契約書に定められた違約金や損害賠償を求められる可能性があります。

住宅ローン特約の内容を確認する

買主が住宅ローンを利用する場合は、申込先の金融機関、借入予定額、融資承認期限、解除期限を確認します。融資を受けられず、契約書の条件に従って解除された場合は、売主が手付金を返還するのが一般的です。

一方、買主が期限までに申し込まなかった場合や、必要書類を提出しなかった場合などは、特約が適用されない可能性があります。ローンが否決されたという結果だけで判断せず、申込状況と契約条項を不動産会社に確認しましょう。

融資承認期限を過ぎても連絡がない場合は、放置せず進捗を確認します。特約の期限を延長する場合は、口頭だけで済ませず、変更内容を書面に残すことが重要です。

契約後に自己判断で売却を中止しない

売買契約を締結した後は、「やはり売りたくない」という理由だけで自由に売却を中止できるわけではありません。売主から手付解除できる期間であれば倍返しが必要になり、期限後は違約金などの負担が生じる可能性があります。

また、買主は住宅ローンの手続きや引っ越しの準備を進めていることがあります。売主の一方的な判断で鍵の引き渡しや必要書類の準備を止めると、契約違反として扱われるおそれがあります。

売却を続けられない事情が発生した場合は、契約書と現在の手続き状況を確認し、できるだけ早く仲介会社へ相談してください。手付金の扱いと必要な手続きを整理したうえで、買主との合意解除を含めて対応を検討しましょう。

不動産売却の手付金に関するよくある質問

不動産売却の手付金に関するよくある質問

ここでは、不動産売却の手付金について、売主からよく寄せられる疑問に回答します。実際の扱いは契約内容や取引状況によって異なるため、最終的には売買契約書と不動産会社の説明を確認してください。

手付金なしでも不動産を売却できますか?

売主と買主が合意すれば、手付金を0円として契約すること自体は可能です。ただし、契約解除に対する金銭的な負担が小さくなり、取引が不安定になる可能性があります。手付金を設定しない理由とリスクを確認し、不動産会社へ相談したうえで判断しましょう。

手付金は現金で受け取る必要がありますか?

必ず現金で受け取る必要はありません。銀行振込みで支払う方法もあります。売買契約書に定めた支払方法と金額を確認し、振込みの場合は入金記録を保存しておきましょう。

受け取った手付金はすぐに使ってもよいですか?

すぐに使うことはおすすめできません。住宅ローン特約による解除では返還が必要になり、売主から手付解除する場合は倍額の償還が必要になる可能性があります。決済と引き渡しが完了するまでは、返還できる状態で管理しておくと安心です。

買主の住宅ローンが通らなかった場合は返金しますか?

住宅ローン特約の条件に従って解除が成立した場合は、受け取った手付金を返還するのが一般的です。ただし、買主が期限内に申し込んでいないなど、手続き状況によっては特約が適用されない可能性があります。

売主が契約をやめる場合はいくら支払いますか?

手付解除の条件を満たしている場合、売主は受け取った手付金の倍額を買主へ償還して解除できることがあります。例えば100万円を受け取っていれば、買主へ支払う合計額は200万円です。解除期限を過ぎている場合は、違約金など別の負担が生じる可能性があります。

手付金から仲介手数料を支払えますか?

手付金を仲介手数料の支払いに充てられるかは、不動産会社との取り決めによって異なります。ただし、契約解除によって手付金を返還する可能性があるため、決済前に使用する場合は慎重な判断が必要です。支払時期と金額を不動産会社へ確認しましょう。

まとめ

不動産売却の手付金は、売買契約時に買主から受け取り、最終的には売買代金の一部へ充当されるお金です。

一方で、手付解除や住宅ローン特約、契約違反にも関係するため、金額だけでなく、解除できる期限や返還が必要になる条件を確認しておくことが重要です。

後楽不動産では、岡山市の不動産売却について、査定から売買契約、決済・引き渡しまで専任担当者がサポートします。手付金や売買契約に不安がある方も、無料査定や売却相談へお問い合わせください。

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