【土地が売れない!?】売れない土地を相続すると起こる問題や対処方法を解説

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「父の遺産で土地を相続したものの、売却が難航している」
「売却が進まない土地を相続したけれど、正直、困っています。何をすべきか分からない」

このように売却が進まない土地を相続した際、どう対処すればよいか理解できない方も多いのではないでしょうか。率直に申し上げますと、売却が進まない土地を相続した場合は、早急に手を打つ必要があります。

土地がスムーズに売れる場合は幸運ですが、売却が難しい土地を相続した場合は、保有し続けることで損害を被る可能性があります。売却が難航しているからといって保有し続けることにはメリットがなく、それどころか無駄な手間や費用がかかってしまいます。

その他にも、何も手を打たずに保有し続けた場合、自分が他界した際には次世代が同様の問題に直面する可能性があります。そこで、この記事では、売却が難しい土地の特徴や、売却以外の手段について詳しく解説します。

目次

相続した土地が売れない理由はなぜ?

土地のエリア

相続土地が売れない原因の1つは、地域の問題にあります。たとえば、駅から遠い場所やスーパーマーケット、商業施設が近くにない場合、利便性が低いと判断され、敬遠されることがあります。

なぜなら、土地を検討する人々の多くは、交通や生活の利便性を重要視しているからです。そのため、利便性が低いと、買い手がつきにくく、売却が難しくなってしまうのです。さらに、購入を検討する人々は、周辺環境も考慮して判断します。

土地の周辺に暴力団の事務所やゴミ処理場などの嫌われる施設があると、売れにくくなることがあります。

土地の形状

土地が売れない理由の2つ目は、土地の形状が不利な場合です。住宅を建てやすいのは、正方形など整形地といわれる土地です。長くて細い土地や旗竿地などの不整形地は、土地の活用が難しく、買い手が見つかりづらい可能性があります。

土地の地盤

土地の売却が難しい理由の3つ目は、土地の地盤に関する問題が挙げられます。埋立地や盛土では、地盤が不安定になっているおそれがあり、土地の魅力を損なう可能性があるでしょう。

ここ最近、自然災害が頻繁に発生しており、土地の崩壊や液状化のリスクが懸念されています。特に相続によって土地を受け継いだ場合、土地の実際の状態を把握できない方も多いのではないでしょうか。

そのため、売却を検討する際には地盤調査を行っておくことが購入者にとって安心材料となります。

売れやすい土地

売れる土地とは、需要と供給のバランスが調和している土地といえます。例えば、学校や保育園が近隣にあり、商業施設が充実しているなど、「利便性が高い土地」が該当します。

同様に、整形された地形や建築の規制が少ない「建設が容易な土地」も需要が高く、売りやすい土地といえます。このような土地は効果的に活用できるため、多くの購入希望者が現れやすい特徴があるでしょう。

相続しても売れない土地とは?

狭い土地・形が悪い土地

土地の広さが適度で形の整った土地が建物の建設に適しています。 特に、狭くて形の悪い土地は需要が低く、売れにくい傾向にあります。 また、必ずしも土地が大きければ良いというわけではありません。

家を建てるには、40~70坪程度の広さが需要があるとされています。 このため、広すぎる100坪程度の土地は避けられることが多いです。

再建築不可の土地

再建築不可の土地は、建物の再建や新築ができないため、売却が難しい傾向にあります。再建築不可の土地とは、既存の建物を撤去しても、新たな建築が許可されない土地を指します。

再建築不可の土地は、建物を解体した後、再建することができないだけでなく、災害時にも再建が制限されます。このため、再建築不可の土地は建物を建てることができないため需要が低く、売却が難しい状況となるでしょう。

周辺の利便性が悪い土地

駅から遠い土地や周辺に商業施設がないと、土地需要が低くなり、売却が難しくなることがあります。土地を売却する際には、周辺地域の状況や競合する土地の有無を確認することが重要です。

駅から遠い土地は、交通の便が悪いため需要が低い傾向にありますが、それでも売却するための戦略があります。例えば、価格設定を見直したり、周辺の魅力をアピールすることで、購入希望者を引き付けることができます。

隣地との境界が確定していない土地

隣地との境界未確定の土地は、売却が容易ではありません。境界未確定の土地とは、なんらかの要因で境界が確定されていない土地を指します。

土地の境界には「隣地所有者との境界」と「公道との境界」の2つの種類があり、確定状態とは、両方の境界が確定していることを意味します。

特に隣地との境界未確定の土地の場合、建築時に隣地所有者とのトラブルや裁判に巻き込まれるリスクがあるでしょう。そのため、境界未確定の土地は売りにくく、不動産会社が売却可能と判断しないこともあります。

周辺と比べて土地需要が低い

土地の面積や形状がよくても、周囲の環境が悪いと、買い手を見つけるのは難しいことがあります。具体的には、田舎に位置し、不便な立地条件である土地や、近隣住民とのトラブルが絶えない土地、騒音や土壌汚染などの問題がある土地は、買い手がつきにくい可能性があります。

これらの要因は、土地の魅力や利用価値を下げる影響を与えるため、不動産取引において重要なポイントとなります。特に、周囲の環境が住環境としての快適さを損なうような要素がある場合、土地の価値は大きく低下してしまうでしょう。

したがって、不動産を購入や売却する際には、土地の面積や形状だけでなく、周辺環境にも注意を払うことが重要です。

地盤が悪い

相続した土地が地盤がしっかりしていない場合、売却が難しいかもしれません。特に、盛り土や埋立地などは地盤が脆弱な箇所もあるので、注意しましょう。

近年は、水害や台風などの自然災害が頻発しているため、土地を購入する人々も頑丈な地盤を希望するケースが増加しています。相続不動産を迅速に売却したい場合は、地盤調査などを行い、土地の信頼性を高めることもおすすめです。

売却優先度が低い

土地の販売をお願いしている不動産業者の中で、優先度が低い土地は買い手が見つかりにくい例が多く見られます。不動産業界では、いつも多くの物件を抱えています。

その中で利益を最大限に上げなければならないため、「需要が高い土地」「利益率の高い土地」を優先して販売活動を行います。

そのため、販売の優先度が低いと判断された場合、積極的な販売活動が行われない可能性があるでしょう。そのような状況では、なかなか売却が実現しないことがあります。

売れない土地を相続することで起こる問題

固定資産税を払い続けなける必要がある

土地所有者は、所有しているだけで毎年固定資産税を納め続けなければなりません。固定資産税とは、毎年1月1日に土地や建物の所有者に向けて、土地の場所によって市町村から課税される税金のことを指します。

土地の評価額に基づき、金額が算出され、毎年5月から6月にかけて納税通知書が送付されます。念のため、土地を使用していなくとも、固定資産税を滞納すれば延滞金などのペナルティが課せられる可能性があるため、ご注意ください。

固定資産税は、「土地の課税標準額×税率(1.4%)」によって算出されます。たとえば、課税標準額が1,000万円の土地を所有している場合、14万円の納税が求められます。

加えて、建物が老朽化などにより危険が伴う場合、「特定空き家」として指定され、税制上の優遇措置が適用されず、固定資産税が6倍に引き上げられることがあります。

このように、単に土地を所有しているだけでも毎年税金を支払う必要があるため、不要な土地はできるだけ早く手放すよう心がけましょう。

土地の管理責任

土地を持っている場合、その管理は重要です。いらない土地でも放置はできません。土地を相続すると、民法第918条により所有者としての管理責任が発生します。

このため、定期的に土地をチェックし手入れをする必要があります。なぜなら、放置すると雑草が生え、土地が荒れてしまうからです。

さらに、雑草が周辺の土地に広がったり、ゴミの投棄や放火などのリスクも考えられます。そのため、一部の市区町村では雑草の除去を義務付ける条例も存在します。

土地所有者としての責任を果たすためには、定期的な管理が欠かせません。

損害賠償責任が発生する場合も考えられる

土地の管理責任が生じるということは、その土地で起きるトラブルに対しても責任をとらなくてはなりません。土地の責任に関する法律は、民法第717条で定められています。

この法律によると、土地の工作物に瑕疵がある場合、損害を受けた他人に対して賠償責任が生じます。具体的には、工作物の占有者が損害を賠償する責任を負い、所有者は注意を怠った場合に賠償しなければなりません。

例えば、崖地の土地では崖崩れによる怪我や倒壊のリスクがあります。また、老朽化した建物が倒壊し、隣家に損害を与える可能性もあるでしょう。

このような被害が生じた場合、損害賠償責任が発生するため、土地所有者は管理に注意を払う必要があります。

次の世代にも影響が及ぶ

周囲の方は、修正しない場合、次世代に受け継がれ、未来の地域との不調和をもたらすことがあります。土地の所有権を放棄することはできません。ただし必要がなくても保有し続ける必要があります。

このため、土地を手放さない限り、永遠に所有し続けることになります。購入者がつかない土地を持ち続ける結果、死後は子どもたちが受け継ぐことになるかもしれません。

現在、売れない土地が将来価値を持つ可能性は低いと考えられます。従って、将来の子どもたちも同様に困ることが避けられません。

このような状況は避けるべきです。この問題を解決できない場合、子どもたちに困難を残すことになります。売れない土地を放置することは、子どもたちにとって有益なことは何もありません。

相続した売れない土地を持ち続けないための対処方法

土地を売れやすい状態にする

売却が難しい土地を手放したい場合には、まずは土地の条件を改善して売却しやすい状態にできないかを考える必要があります。

土地が売れない理由が不確かな状態である場合、その状態を改善することで売却の可能性が高まります。売却が難しい理由やその改善策については、以下を確認してみましょう。

売れない理由改善策
隣地との境界未確定である境界確定を行いましょう。土地家屋調査士の立会いのもと、土地の所有者同士が現場で確認して確定を行います。 境界確定までは3〜4ヶ月程度かかります。
土壌汚染の可能性がある地歴調査を実施し、これまでどのように土地が使われていたのか明らかにしましょう。 地歴調査では、現地調査や登記簿謄本などの利用履歴から土壌汚染のリスクを判定します。
土地の状態が不明確である地質調査を実施し、土地の状態を明確にしましょう。 地質調査では、地質、土質、地下水などその形状、質、量を明らかにし、建物を支えるだけの強度があるのか等を調査します。

不動産の状態が明らかでない場合、買い手も不安を覚え、売却が難航することがあります。不動産の状態が明確であれば、買い手も安心して取引できるため、売却の見通しが立ちやすくなります。

売却の条件を変える

相続した不動産が売れない場合、売却条件を変更することで売れる可能性があります。例えば、売却額を下げるなどの条件変更を行うことで、需要とのマッチングを図ることができます。

しかし、売却条件を下げすぎると、不動産会社に支払われる仲介手数料も減少してしまう可能性があるでしょう。これにより、不動産会社の売却優先順位が下がり、売却が遅延するリスクも考えられます。

売却条件の変更は慎重に行う必要があります。また、相続した不動産が売れない場合には、不動産会社による買取も検討することが重要です。

ただし、買取金額は市場価格よりも低い場合があるため、複数の不動産会社と比較検討することが大切です。

不動産会社による買取で売却する

土地の売却が難航している場合には、不動産会社の「買取」サービスを活用して売却を検討することも考えましょう。通常の不動産売却は、「仲介」と呼ばれる方法です。

仲介では、不動産会社が広告活動を行い、買い手を見つけて売却を進めます。それに対し、「買取」の場合は、不動産会社が直接買い取ります。

買取では、買い手を見つける必要がないため、迅速な売却が可能です。売却価格は仲介よりも低く、地域相場の6~7割程度となります。

価格が低くても、売れにくい土地を手放す有効な方法といえるでしょう。

仲介買取
買主個人不動産会社
売却手続期間買主を探す時間がかかる手続きのみで完了
売却価格地域相場価格で売却できる可能性が高い地域相場価格の6~7割安い

しかし、すべての土地において建物買取請求権が適用されるわけではないので、ご注意ください。需要が見込まれないと不動産会社が判断した場合、買取を断られることもあります。

不動産会社を別のところにする

売却を手配している不動産業者において、購入者がなかなか現れなかったり、買い取りを拒まれた場合は、不動産業者を変更するのも一つの有効な手段といえます。

土地の販売に関しては、不動産業者によって広報手法や買取需要が異なります。そのため、別の不動産業者に変更することで、売却が難航していた土地が円滑に取引される可能性も考えられるでしょう。

ただし、不動産業者を変更する際には、契約条件に留意する必要があります。契約条件によっては、3ヶ月間の独占契約となる場合もあります。その場合、契約期間中は他社への切り替えはできません。

各自治体の空き家バンクに登録する

地主さんが土地を売りたいけれどもなかなか売れない状況の場合は、自治体が運営する「空き家バンク」に登録してみるのも一案です。

言外に、所有している空き家や土地を貸したい方や売りたい方が登録することで、自治体が情報提供するサービスのことです。

空き家を借りたい人や買いたい人は、この情報をもとに希望の物件を見つけ、購入や賃貸契約が可能です。不動産仲介とは異なり、自らが交渉や契約を行う必要があります。

契約手続きに自信がない方は、専門家に依頼することで安心できます。また、空き家バンクを活用する方々は主に移住を希望する方々などが多く見られ、不動産仲介とは異なる顧客層のため、購入者が見つかる可能性もあります。

土地を寄付する

土地を手放したい場合、売却が難しい際には、寄付が1つの選択肢として考えられます。時間や手続きが必要な売却に対し、寄付は効果的な手段となり得ます。

自治体、個人、法人の3つが土地の寄付先として挙げられます。自治体への寄付は一般的でありますが、その使用目的が極めて重要となります。

自治体は計画が立てられない土地を引き受けることを避けます。財政への負担を避けるため、条件が整えば引き取ってくれるでしょう。

寄付を検討する時には、自治体の条件を確認し、担当者に相談することが肝要です。また、個人への寄付は、土地を欲しがる人がいればだれでも寄付が可能です。

ただ、地方の土地が買い手を探すのは容易ではない面もあります。寄付の方法としては、隣接する土地所有者に土地を贈ることも1つの手段です。

土地の所有者であれば、現在の土地をより有効に活用することが可能です。しかしながら、個人への寄付には贈与税の可能性も考慮に入れてください。

個人の場合、寄付をする際には、税金はかかりませんが、法人の場合は、寄付先が一般企業か公益法人(社団法人、学校、NPO法人など)かによって異なります。

一般企業に寄付すると、譲渡所得税の支払いが発生することがあります。通常、この税金は不動産売却益にかかるものです。

法人が公益法人に寄付する場合、寄付金は売却金額全体とみなされ、譲渡所得税がかかるリスクがあります。公益法人への寄付は社会貢献の側面が重視されており、税制上の優遇措置が設けられています。

このため、土地を寄付する際には、寄付先が公益法人かどうかを検討することが重要です。

土地を引き取ってもらう

土地の売却や寄付が難しい場合、最終的にはお金を支払って土地を引き取ってもらう方法も考えられます。具体的な引取り方法としては、「引取り業者に頼む方法」と「国へ引き渡す方法」の2つが挙げられます。

引き取り業者によって条件は異なりますが、除外される土地も少なくなり、不要な土地を引き取ってもらえる可能性が高まっています。

最近では、有料で不要土地を引き受ける業者が増えており、特に山林や別荘地などが中心となっています。引き取りサービスでは、手続きが楽になる利点があり、引取業者が手配をしてくれることが一般的です。

ただし、土地の状況に応じて、引取料や処分料が必要であり、時には100万円以上かかることもあります。また、相続土地国庫帰属制度という制度では、相続や遺贈によって取得した不要土地を国に引き渡すことができます。

この制度を利用することで、需要のない土地を素早く手放すことが可能です。ただし、全ての種類の土地を国が引き取るわけではなく、国が規定する条件を満たす必要があります。

それに加えて、土地を国に引き取ってもらうためには、10年間の土地管理費として、原則として20万円(森林を除く)の負担金を国に支払わなければなりません。

これにより、売却や寄付が難しい土地を持っている場合でも、国が受け入れてくれることで不利益を回避することができ、その点において大変ありがたい制度ですね。

相続土地国庫帰属制度の概要は法務省のページで見ることができるので一度確認してみましょう。

相続放棄をする

相続した不動産の立地や形が悪く売れそうにない場合は、相続した段階で相続放棄を検討しましょう。相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しなくなる手続きです。

相続人が遺産を受け継ぐことを放棄する方法であり、相続放棄をすることで、相続人は遺産を受け継がないこととなります。

相続放棄をおすすめする場合として、以下のような状況が挙げられます。まず、故人が多額の借金を遺していた場合や、遺産が売れそうになく活用予定もない土地しかない場合には、相続放棄を検討することが重要です。

また、相続人の仲が悪く相続トラブルが発生しそうな場合も、相続放棄を選択することでトラブルを回避できる可能性があります。

ただし、相続放棄は自分が相続人になってから3ヶ月以内に手続きを行わなければなりません。そのため、相続放棄を考えている場合は、迅速に行動することが重要です。

相続放棄に関する手続きや詳細な情報を知りたい場合は、司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。相続放棄を行うには、家庭裁判所に申し立てる手続きが必要であり、手続きの方法や必要な書類は以下に記載しています。

提出先故人の住所地を管轄する家庭裁判所
手続きする人相続放棄する人(または法定代理人)
手数料の目安収入印紙800円郵便費用1000円程度
必要なもの相続放棄申述書(裁判所窓口またはHPからダウンロード)故人の死亡および相続人であることがわかる戸籍謄本故人の住民票除票または戸籍附票
など

まとめ

相続した土地が売れない場合でも、固定資産税や管理コストが発生し続けます。将来、子供や孫が売却困難な土地を管理しなければならないため、早めに手放すことをおすすめします。

相続した土地が販売できないという状況では、売却条件の再考や不動産業者の変更、買取などの選択肢を検討しましょう。

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