人気の古民家を高値で売却する方法とは?売却成功の秘訣と注意点

最近、古民家カフェや古民家ゲストハウスなど、古い木造住宅を活用した店舗や施設を目にする機会が多くなり、古民家ブームの様相を呈しています。活用方法に困る古民家をお持ちの方にとっては、今が売却のチャンスかもしれません。
本記事では、古民家が注目を集めている理由について掘り下げるとともに、古民家を高値で売却するためのポイントや売却方法、注意点などについて解説していきます。
古民家を所有しているものの活用できず売却したいと思っている方や、古民家の売却がスムーズにいかずにお悩みの方に役立つ内容となっています。ぜひ最後までお読みになってみてください。
この記事を監修した人

岩冨 良二
後楽不動産 売買事業部 係長
不動産業界歴26年のベテランで、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格を持つエキスパート。豊富な知識と実績でお客様から厚い信頼を得ており、売買事業部のエースとして活躍中。複雑な取引もスムーズにサポートし、最適な提案を行う頼れるプロフェッショナルでありながら、社内のムードメーカーとしても周囲を明るくする存在。
今なぜ古民家が注目されている?人気の理由とは?

古民家がブームになっているのは、ここ数年のことです。以前は古民家と言えば田舎のイメージがありましたが、近年は、都内など都市部でも古民家を活用したカフェが若い世代から人気を集めています。。
なぜ今になって古民家が注目されているのでしょうか?本章では古民家人気の理由に迫っていきます。
まずは古民家の定義を確認しておこう
古民家には明確な定義はないものの、一般的には築50年以上の伝統的な日本家屋を指します。木造軸組み工法で、日本の風土や気候に適応した造りが特徴です。
土間や太い柱・梁、縁側なども、古民家には多く見られます。部屋と部屋はふすまや障子で仕切られ、冠婚葬祭で親族が一同に会する状況にも対応できるように、開放的な造りになっています。
地方移住者増加で古民家が再注目
都市部から地方への移住希望者は、コロナ禍の影響や地方自治体による移住支援策の拡充で増加しています。自然豊かな環境でゆったりとした生活を求める人々が増える中で、古民家の魅力が再評価されている部分もあるのでしょう。
地方移住者が増えた大きな要因の一つが、テレワークに代表される働き方の多様化です。移住経験者へのアンケート結果によると、約半数は「転職を伴わない移住」を実現しています。
これまで懸念されていた「地方での働き口が少ない」という問題が、テレワークやリモートワークの一般化でクリアされつつあることが分かります。
インバウンド需要の高まり
インバウンド需要の高まりに伴い、日本の伝統的な生活様式や建築様式に興味を持つ外国人観光客が増えています。都会のホテルステイでは味わえない、日本ならではの特別な体験を求めて、世界中から予約が殺到する古民家ゲストハウスもあるほどです。
インバウンドで日本を訪れる外国人から見ると、古民家は単なる住まいではなく、歴史と文化を体感できる貴重な存在となっていると言えるでしょう。
高い建築技術と自然素材が贅沢に使用されている
古民家には、現代の住宅ではなかなか見られない、高い建築技術と自然素材が贅沢に使用されています。古民家の建築技法には「伝統構法」と呼ばれる日本古来のものもあり、現代ではその技術を継承できる職人も少なくなっています。
こうした古民家には、シックハウス症候群の原因となる化学物質もほとんど使用されていないため、アレルギーなどが理由で自然素材に囲まれて暮らしたいという方からも再注目されています。
取得費用が安い
新築の住宅と比べると、古民家の取得費用は比較的安価であるケースが多いです。そのため、予算を抑えて住まいを手に入れたいという人々にとって魅力的な選択肢となっています。
古民家を安く手に入れて、DIYでフルリノベーションする過程をまとめた動画が、YoutubeやTikTokでヒットし多くの人から支持を得ています。こうした動画を参考に、古い家のリノベーションにチャレンジする人々もいて、古民家人気の後押しとなっているようです。
サステナブルの観点から選ぶ人もいる
古民家の多くは活用のめどが立たないと解体されることになりますが、きちんと修繕や手入れを行っていれば100年以上持つと言われています。一方で、近年の住宅寿命は一般的に30年と言われており、諸外国に比べても圧倒的に短命です。
地球の資源には限りがあり、今あるものを大切に使い続けることが求められていますので、住宅に関しても同様です。リサイクルや修繕が可能な古民家は、このようなサステナブルな観点からも地球にやさしい住まいとして再評価されています。
古民家は売れにくいと言われる5つの理由

ここまで古民家の魅力についてお話してきましたが、不動産売買市場では古民家は売れにくいというのが定説です。なぜ古民家は売れにくいと言われるのか、その理由を5つ解説していきます。
建物の資産価値が低い
一般的に、住宅の資産価値は新築時が最も高く、築年数が長くなるほど価値は低く評価されがちです。古民家は築年数が長いため、一般的には建物自体の資産価値が低く見積もられることが多く、売却価格に影響する場合があります。。
立地が良くない
古民家の多くは都心部から離れた郊外にあり、交通の便が悪かったり周辺環境が整っていなかったりすることがあります。生活する上で不便な場所にある古民家は、購入希望者が限られてしまい売れにくくなる可能性が高いでしょう。
耐震性に問題がある
古民家には、地面と建物が固定されていない「石場建て」という伝統的な工法で建てられたものもあります。この工法は、地震の揺れを受け流す特徴がありますが、一方で現行の耐震基準を満たしていないケースも少なくありません。そのため、安全性に不安を感じる購入希望者もおり、売却時のハードルとなることがあります。
住宅ローン審査が通りにくい
古民家は築年数が古く、現行の建築基準法を満たしてない場合もあるため、住宅ローンの審査が通りにくいことがあります。購入希望者がいても、現金での支払いとなると買える方は限られてしまいます。
住宅ローン審査が通りにくいという点は、古民家売却において大きなデメリットと言えるでしょう。
再建築不可物件で敬遠される
古民家には耐震性に課題がある物件も多く、大きな地震による倒壊や火災リスクを不安視されるケースがあります。特に、再建築不可物件の場合は、災害で建物が倒壊・焼失しても新たに建て替えができないため、購入希望者に敬遠されやすいでしょう。
古民家を売却する前にやっておくべきこととは?

一般的には売れにくいと言われている古民家ですが、スムーズな売却を希望しているならば、売却前の準備が重要となります。
- 修繕やリフォーム
- 清掃と不用品の整理
- 必要書類の準備
内覧に訪れた方に好印象を与えられるように、必要な修繕やリフォームを行っておきましょう。特に水回りは劣化が目立つ箇所ですので、状況に応じてリフォームが必要になります。
不要な家財道具は処分し、部屋が広くすっきりと見えるように心がけましょう。建物の中だけでなく、庭や玄関周りの清掃も忘れずに行います。
また、不動産売却にはさまざまな書類が必要ですので、売却を検討し始めたら先に準備しておくとよいでしょう。
古民家の売却方法

古民家を売却する際には、以下の3つが主な方法となります。所有する古民家の築年数や空き家になってからの年数、売主の状況などによっても最適な売却方法は違います。
物件に合った方法をよく見極めてから、売却を進めるようにしましょう。
不動産仲介業者に依頼する
不動産を売却する際に最も一般的なのは、不動産仲介業者に依頼する方法です。プロの知識と経験を活用し、効率的に売却活動が進められます。
物件の近くにある不動産仲介業者であれば、その土地の周辺状況や買い手のニーズなども熟知しているため、スムーズに買い手を見つけるためのサポートが期待できるでしょう。
空き家バンクを利用して売却する
地方自治体が運営する空き家バンクを利用することで、移住希望者や古民家に興味を持つ人々に対してアピールすることができます。空き家バンクの利用は無料でできるので、少しでも売却のチャンスを増やすために、登録しておくとよいでしょう。
不動産買取業者に依頼する
売却価格が低くなっても早く売却したいという場合は、不動産買取業者に依頼することも選択肢のひとつです。仲介手数料が不要で瑕疵担保責任がないというメリットがありますが、売却価格は相場の3割~5割程度になる場合もあります。
古民家を高値で売却するためのポイント

古民家は築年数や立地の問題などで、高値で売却するのはなかなか難しいでしょう。ですが、ポイントを抑えておくことで少しでも高値で売却できる可能性があります。
空き家の期間をなるべく短く
空き家は、人が住まない期間が長くなるほど劣化が進みます。住む人がいない場合も、定期的に風を通したり清掃を行ったりして、家の手入れを欠かさないようにしておきましょう。
空き家の期間が長くなると、維持管理のための費用や手間が大きな負担となってきます。空き家になったらなるべく早く売却活動を開始し、放置期間を作らないようにしましょう。
リフォームしてから売却する
必要な箇所のリフォームを行うことで、買い手の購買意欲を高め、結果として売却価格に良い影響が出る可能性があります。水回りなどのリフォームが済んでいれば購入後すぐに住み始められるので、急いで引越したい事情がある方には助かるでしょう。
ただし、リフォーム箇所や設備の内容によっては、買い手のニーズと合ってないと逆効果になる場合もあります。リフォームするなら必要最小限にとどめ、費用をかけすぎないことが高く売却するためのポイントです。
古民家専門売買サイトを利用する
インターネット上には、古民家に特化した売買情報を発信している古民家専門売買サイトが存在します。こうしたサイトを閲覧している方は、古民家に興味があり購入を検討している方が多いです。
一般的な大手不動産売買サイトに情報を掲載するよりも、古民家専門売買サイトに情報を公開したほうが、購入される可能性が高くなると期待できます。古民家の価値を正しく理解している方に購入されれば、一般的な古民家売却価格より高値での売却も可能でしょう。
カフェや宿泊施設として活用してから売却する
空き家になった古民家を、カフェや民泊などのビジネスで活用し、収益を上げてから売却を検討することも、古民家を高く売るための方法のひとつです。昨今の古民家ブームもあり、立地やコンセプトが良ければビジネスが軌道に乗る見込みも高まります。
補助金や助成金を活用する
地方自治体が提供する補助金や助成金を活用することで、売却前のリフォームや修繕にかかる費用を抑えられます。例えば、岡山市では『岡山市空家等適正管理支援事業』や『移住・定住促進応援事業』など、空き家活用や改修に関する支援制度が設けられています(※最新の制度内容は岡山市の公式サイトでご確認ください)。
これらの支援制度では、耐震改修やバリアフリー化、断熱化工事といったリフォームの際に補助金が受けられます。まずは、自分の所有する空き家が支援制度の適用条件を満たしているか、確認してみましょう。
古民家を売却する際の注意点

本章では、古民家を売却する際の注意点について解説します。新しい家に比べて売れにくい傾向にある古民家は、適切な戦略を基に計画的に売却を進めることが重要です。
売却をスムーズに進めるために、事前に注意すべきポイントをしっかりと把握しておきましょう。
隣地との境界線を確認しておく
古民家のような古い住宅は、隣地との境界線があいまいなのはよくあることです。古くから住んでいる土地では、隣人とお互いの土地の境界について話し合う機会を持たないままに過ごしていることが多いからです。
境界があいまいなままで売却してしまうと、後からトラブルのもとになりかねません。古民家の売却を検討する際には隣地との境界線を確認し、境界を確定させてから売りに出すようにしましょう。
再建築可能な物件か確認しておく
売りに出されている古民家が再建築可能かどうかは、買い手にとって大きな問題です。再建築可能な物件かどうかを事前に確認し、買い手に正確な情報を提供できるようにしておいてください。
古民家の売却に対応できる不動産会社に依頼する
古民家を売却する場合は、地域密着型の不動産会社や古い物件を得意とする不動産会社に依頼するとよいでしょう。不動産市場は地域ごとに大きな違いがあり、依頼する不動産会社が物件のある地域を熟知していれば、市場の動向に基づいた効果的な販売戦略を展開できます。
不動産会社はそれぞれ得意なジャンルがあり、新築物件の売買を中心に行う会社もあれば、中古マンションに特化した不動産会社もあります。古民家の売却をスムーズに行いたいならば、古民家の売却経験が豊富で中古戸建ての売却に強い不動産会社を見つけましょう。
古民家の売却成功には、適切な販売戦略を持って進めることが重要
本記事では、古民家をできるだけ高く売却するためにやるべきことや、売却の際の注意点などについて解説しました。また、最近の古民家ブームの理由や、古民家を売却する方法についても詳しく解説しています。
古民家を売却する際には、売却前の準備や売却方法の選択、そして高値で売却するためのポイントを押さえることが大切です。古民家の売却を成功させるために重要なのは、適切な販売戦略を持って進めることです。
そのためには、古民家の売却に精通した不動産会社との出会いが大きく影響します。古民家の売却を任せられる不動産会社に依頼して、満足のいく売却を目指しましょう。