相続不動産の名義変更と売却をスムーズに進める方法|令和6年相続法改正のポイントも解説

相続不動産の名義変更と売却をスムーズに進める方法|令和6年相続法改正のポイントも解説

「不動産の売却は難しそう」「登記の手続きが面倒」と感じ、相続物件を活用できずにいるケースも見られます。しかしながら、相続登記がされていないことが一因の「所有者不明土地」が日本中で増え続け、現在大きな社会問題となっています。

相続登記をして名義変更を行わないと、相続した不動産を売却することはできません。今後不動産を有効に活用するためには、相続登記は避けて通れない手続きです。

そこで本記事では、相続した不動産を売却したいが、登記の壁に躊躇しているという方向けに、不動産の名義変更と売却をスムーズに進めるための方法を詳しく解説していきます。所有する不動産を問題物件にしないために、本記事を参考に登記手続きを進めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を監修した人

売買事業部岩富係長

岩冨 良二

後楽不動産 売買事業部 係長

不動産業界歴26年のベテランで、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格を持つエキスパート。豊富な知識と実績でお客様から厚い信頼を得ており、売買事業部のエースとして活躍中。複雑な取引もスムーズにサポートし、最適な提案を行う頼れるプロフェッショナルでありながら、社内のムードメーカーとしても周囲を明るくする存在。

目次

令和6年4月より相続登記が義務化

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなって土地や建物を相続した場合、名義の変更を法務局へ申請する手続きのことです。相続登記を行うことで、法務局で管理される登記簿に名義人が記録され、所有権の移転が正式に証明されます。

相続登記を行うのは不動産を取得した相続人で、相続人が複数存在する場合は共同で申請することになります。相続人が依頼した弁護士・司法書士が代理で行うことも可能です。

これまで任意だった相続登記手続きは、令和3年に法律が改正され令和6年4月から義務化されました

相続不動産の登記が義務化された背景

これまで任意だった相続登記が義務化された理由は、所有者不明土地の増加が深刻な社会問題となったためです。特に、所有者不明で放置されたままの空き家は、倒壊の危険性や害獣の発生など、周辺環境にも大きな悪影響をもたらします。

また、所有者不明の土地は公共事業において所有者の特定のために多大な時間と労力を要し、事業の円滑な実施への妨げとなっていました。こうした問題を解決するため、令和6年4月から相続発生後3年以内の登記義務化が導入され、違反者には過料が科される可能性があります

相続登記の期限

相続不動産は、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記が必要で、正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。また、義務化前の相続も対象で、義務化前に相続したことを知った不動産は、令和9年3月末までに登記する必要があります。

相続登記を怠ると発生する問題は?

正当な理由なしに相続登記を怠った場合、数々の問題が発生する可能性があります。そのため、不動産を相続した場合は、すみやかに相続登記手続きを進めていかなくてはなりません。

本章では、相続登記を怠った場合の問題について詳しく解説します。

過料が科される可能性がある

法務局が相続登記の申請義務違反を把握すると、相続人に相続登記の義務履行が催告されます。相続人がこの催告に応じず、正当な理由なく申請しなかった場合は、10万円以下の過料が科せられることになります

売却・融資が不可能になる

不動産の売買では、登記簿上の所有者と売主が一致していることが、所有権移転登記を行う上で必要です。相続登記をしていない場合は名義が故人のままであるため、原則として売却手続きが進められず、契約の締結や引き渡しができない状況となります。

また、不動産を担保に融資を受ける場合、金融機関は登記簿上の所有者を確認します。その際に相続登記が未完了だと、誰が正式な所有者なのか不明確なため、融資の審査が通らないという問題が発生します

不動産の売却や融資には、相続登記手続きが必要不可欠です

相続人が増え、手続きが複雑化

相続は世代が進むにつれて相続人の数が増えていきますが、売却や登記を進めるにはすべての相続人の同意が必要なため、人数が増えるほど手続きに時間がかかってしまいます。相続人の数が多いと全員と連絡を取るのが難しく、一部の相続人と連絡が取れない場合は手続きを進めることができません。

こうした問題を避けるために、相続後はすみやかに登記手続きを行う必要があります

固定資産税の負担継続

相続登記が未了の不動産でも、実質的に不動産を所有・使用している相続人には固定資産税の負担が生じる可能性があります。固定資産税は毎年1月1日時点の登記簿上の所有者に課税されますが、名義が故人のままの場合、自治体は相続人の中から代表者とみなされる人物に対して納税通知書を送付するのが一般的です。

納税を怠ると延滞税が加算され、状況によっては不動産が差し押さえの対象となることもあります。相続登記を完了させることで、正式な所有者に税金の通知が届くようになり、責任の所在が明確になります。こうしたトラブルを防ぐためにも、早めの手続きが重要です。

所有者不明土地の増加による社会問題

相続登記が義務化された背景には、所有者不明土地の増加が大きく影響しています。登記が行われないことで、空き家問題が深刻化し、公共工事の遅延や地域の環境悪化につながるケースも少なくありません。現在問題のない土地や建物でも、登記を怠ると将来的に所有者不明となり、周辺住民や自治体に大きな負担をかけるリスクを抱えています。

相続登記の手続きは、相続人の捜索や書類準備に時間と労力がかかるため、ついつい後回しにされがちです。しかし、適切な対応を怠ると、相続人間のトラブルや不動産の適正な管理が困難になる恐れがあります

将来の問題を防ぐためにも、相続が判明した時点で速やかに登記手続きを進めましょう。

相続不動産の名義変更のための登記手続きの流れ

登記手続きをスムーズに進めるためには、登記手続きに必要な書類の準備や事前の話し合いを速やかに行っておく必要があります。本章では、時系列に沿って登記手続きの流れを解説していきます。

各過程で押さえておくべきポイントを把握し、名義変更がトラブルなく進むように準備しましょう。

相続人の確定

相続不動産の登記手続きをするためには、まずは相続人を確定させなければなりません。相続人を明確にするには、戸籍謄本を取得し、被相続人の出生から死亡までの戸籍の確認が必要です。

書類に不備があると、登記の際に法務局で受け付けてもらえなかったり遺産分割協議が無効になったりする可能性があるため、誰が相続人にあたるのかを正確に調査しましょう。なお、戸籍の附票を取得すれば、相続人の住所も確認できます。

相続財産の調査

次に行うのは相続財産の調査です。相続の対象となる土地や建物について、登記簿謄本を取得し所有者の確認をします。

土地が分筆されていたり、私道があったりする場合は、登記情報の確認や共有者との調整に時間がかかり、手続きが長期化する可能性もあります。分筆や私道により適正評価額の算出が難しい場合は、司法書士や税理士に早めに相談しておきましょう

遺産分割協議書の作成

相続人が確定し相続対象となる不動産が明確になったら、相続人全員で遺産分割協議を行い誰が相続するのかを決定します複数の相続人がいる場合は、全員の合意が必要です

協議がまとまったら、合意した内容を遺産分割協議書という書面にして残します。誰が何の財産を相続するのかを証拠として残すための重要な書類になりますので、以下のポイントを押さえて記入しましょう。

遺産分割協議書に記載する主要項目内容
タイトル「遺産分割協議書」と明記する
被相続人の情報氏名、生年月日、死亡日、本籍地、最後の住所
相続人の情報氏名、住所、続柄(例:妻、子など)
遺産分割の内容不動産(所在地・地番・面積など)、預貯金(銀行名・口座番号)、株式(銘柄・株数)、その他財産(車・貴金属等)
債務の承継借入金、未払い税金の処理方法
後日判明した財産の取り扱い新たに発見された財産の分割方法
協議成立日遺産分割協議が成立した日付
相続人の署名・押印相続人全員が署名し、実印を押印

法務局での登記手続き

戸籍謄本、遺産分割協議書などの書類が揃ったら、法務局で登記手続きを行います。登記手続きに必要な登記申請書は、法務局の窓口で取得するか、法務局のホームページで申請書の様式をダウンロードし入手します。

登記申請書に必要事項を記入後、添付書類(戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書など)とともに法務局窓口に提出してください。もしくは郵送での申請、法務局の電子申請システムを利用したオンライン申請も選択できます。

登録免許税の支払い

相続登記を行う際には、登録免許税の納付が必要です。登録免許税は、相続する不動産の固定資産評価額に基づいて算出され、通常は評価額の0.4%が課税されます。ただし、状況によっては軽減措置が適用される場合もあります。

固定資産評価額は、毎年4月に自治体から送付される固定資産税の納税通知書や、税務課で取得できる固定資産評価証明書で確認できます。

登記申請が受理され、必要書類に不備がなければ、通常は申請から1〜2週間程度で登記が完了します。

相続した不動産を売却する時の流れ

相続不動産の登記手続きが完了し名義人の変更が済むと、財産は自分のものとなり自由に売却することが可能になります。登記完了後に相続不動産を売却する時の流れは、以下のようになります。

相続した不動産を売却する時の流れ
  1. 不動産会社に査定を依頼する
  2. 売却方法の決定
  3. 測量・境界確認
  4. 売却価格の設定
  5. 買い手探し
  6. 売買契約の締結
  7. 引き渡しと決済
  8. 税金の申告

まずは信頼できる不動産会社に査定を依頼し、物件の相場や売却方針を明確にしましょう。その後、土地の場合は測量や境界確認を行い、正確な情報を整理することで売却がスムーズに進みます。

売却価格を決定したあとは、買主との交渉、契約の締結、そして引き渡しと決済を行います。売却益が出た場合は、譲渡所得税などの税務申告も必要になります。

不動産売却に関する詳細な流れはこちら▼

相続不動産の名義変更や売却でトラブルを避けるために

本章では、相続不動産を売却したい方や、これから名義変更を行う予定の方に知っておいてほしいポイントを紹介します。不動産の相続には、自分以外の相続人が多数関わる可能性があるため、トラブルに発展することも少なくありません。

スムーズで満足できる売却を実現するために、事前にトラブルを回避するためのポイントを押さえて、準備を進めていきましょう。

遺言書

遺言書があると、相続人間のトラブルを防ぎ、スムーズな名義変更や売却が可能になります。特に、不動産の分割方法を明確にしておくことで、相続人同士の争いを避けることができます。

遺言書がない場合、遺産分割協議を行い相続人全員の合意が必要です。公正証書遺言を作成すれば、法的効力が強く、後の紛争を防ぐことができます。

相続登記をスムーズに進めるためにも、親が元気なうちに遺言を残してもらいましょう。

家族信託

家族信託とは、財産の管理・運用を信頼できる家族に託す制度です。委託者(財産所有者)が受託者(管理者)に財産を信託し、受益者がその利益を受け取ります。

相続不動産の名義変更や売却において、家族信託は認知症対策として有効で、所有者が判断能力を失っても受託者が売却を進められます。また、相続発生後の名義変更手続きが不要になり、スムーズな財産承継が可能です。

相続不動産の名義変更や売却でトラブルを避けるためには、遺言書の準備とともに、家族信託の活用も検討してみましょう

税金や費用の負担を事前に把握しておく

相続した不動産を売却する際には、さまざまな税金や費用が発生します。まず、相続登記時には登録免許税がかかり、通常は不動産の固定資産評価額の0.4%が課税されます。

また、売却によって利益が出た場合は譲渡所得税が課されます。譲渡所得税は、所有期間が5年以下の場合は所得税30%・住民税9%の合計約39%5年を超える場合は所得税15%・住民税5%の合計約20%が目安となります(※復興特別所得税は別途加算されます)。

そのほかにも、仲介手数料や測量費、印紙税などの諸費用がかかるため、事前に全体の費用を試算し、資金計画を立てておくことが大切です。予想外の出費に慌てないよう、早めの準備を心がけましょう。

信頼できる不動産業者を選ぶ

相続した不動産を売却する際は、信頼できる不動産業者を選ぶことが重要です。適正な価格で売却するためには、まず複数の業者に査定を依頼し、相場を把握しましょう。業者によって査定額が異なるため、比較することで適正価格を見極めることができます

また、売却方法には「仲介」と「買取」の2種類があります。仲介は市場価格で売却できる可能性が高いですが、買い手が見つかるまで時間がかかることがあります。一方、買取は業者が直接購入するため、短期間で売却できるメリットがありますが、価格が市場より低くなることが一般的です。

不動産会社を選ぶ際は、口コミや過去の売却実績を参考に、納得できる業者を選びましょう

まとめ

相続不動産について、「売却が難しそう」「登記が面倒そう」と感じて手続きを後回しにしてしまう方は少なくありません。しかし、登記が行われないまま放置された不動産は、やがて所有者不明土地となり、社会的にも個人の生活にも大きな問題を引き起こす可能性があります。

相続登記は、相続した不動産を適切に管理・売却するための第一歩です。特に、2024年(令和6年)4月の法改正により、相続登記は義務化され、正当な理由なく怠ると過料(罰金)の対象にもなります。

本記事では、相続登記の基本から具体的な手続きの流れ、売却時の注意点までを丁寧に解説しました。名義変更が済めば不動産をスムーズに活用・売却でき、税金や将来の相続人間のトラブルも未然に防ぐことができます。

不動産の相続では、

  • 早めの登記手続き
  • 遺言書家族信託の活用
  • 税金・費用の試算
  • 信頼できる不動産会社の選定

といった事前準備が、後の安心と円滑な手続きにつながります。

大切な資産を「放置資産」にしないためにも、相続が発生したらできるだけ早く動き出しましょう。不安な点や不明な点があれば、専門家への相談も視野に入れて、確実な一歩を踏み出してください。

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